Windows 10からの賢い移行とは? 2025年10月14日、Windows 10のサポートが終了します(EoS:End of Support)。Windows 10を使っている人は、冷静かつ計画的に動く必要があります。そこで、まだWindows 11に移行していない人に、限られた時間で最大の効果を得るためのアクションを緊急度順に整理しました。
その他の画像はこちら ●サポート終了で「具体的に」失うものを理解する
10月14日を境に、Windows 10は月例のセキュリティ更新・品質更新が止まり、無償の技術サポートが提供されなくなります。PC自体は起動して使い続けられるものの、新たに見つかった脆弱性に対する修正は届かず、時間の経過とともにリスクが積み上がっていきます。これは「機能は動くが守られない」状態への移行だと捉えてください。
なお、Microsoft 365アプリ(Word/Excelなど)は、Windows 10上で28年10月10日までセキュリティ更新のみ継続される予定です。ただしOSとしてのWindows 10は非サポートとなるため、あくまで移行のための猶予期間と考えた方が良いでしょう。
●PCがWindows 11に対応するか判定する
最初の分岐は、いま使っているPCがWindows 11の要件を満たしているかどうかです。確認方法は次の二つ。
(1)「設定」→「Windows Update」の画面にWindows 11 へのアップグレード案内が出ているかを確認
(2)詳細は「PC正常性チェック(PC Health Check)」アプリで判定
Windows 11ではTPM 2.0/UEFI/セキュアブートなどが必須要件です。条件を満たしていれば無償アップグレードが可能。非対応なら新PCの購入、もしくはESU(Extended Security Updates:延長セキュリティ更新)の利用を検討します。
●重要データの完全バックアップから着手する
移行作業には常にリスクが伴います。まずはバックアップを始めましょう。外付けディスクなどへのローカルバックアップとクラウドへの冗長化をセットで行うのが基本です。業務文書、写真・動画、メールデータ、ブラウザーのお気に入り、会計・年賀状などアプリのデータ、そしてアカウント情報(Microsoft 365やAdobeなど)を確実に保全しておくと、復元がスムーズです。
●方針を決めて実行の準備に入る
ここからは選択肢ごとに「何をどう進めるか」を決めます。
Windows 11 にアップグレード(対応PC)
最もコスト効率が良く、環境引き継ぎの手間も少なめです。実行時間はPC性能や回線状況で変わりますが、数時間の余裕が取れるタイミングを確保して行いましょう。
新PCを購入(非対応PC/性能更新も狙う)
EoS前後は需要が集中し、在庫や納期が動きやすくなります。希望スペックと納期の確認を先に行い、「バックアップ→環境移行」の段取りを組んでおきましょう。場合によってはリースや機種変更補助なども検討材料となり得ます(※在庫・納期は販売店やモデルによって変動します)。
ESU(延長セキュリティ更新)を1年だけ活用して時間を買う
個人向けには、25年10月15日から26年10月13日までの1年間、無償でWindows 10のセキュリティ更新を受け取れるESU(拡張セキュリティ更新プログラム)が用意されています。手続き方法は、「Windows Backupで設定同期」「Microsoft Rewardsのポイント利用」「直接購入」という3通りからいずれかを選ぶことになります。
初年度は全ユーザーが無料で受けられます。新たな機能追加や電話・チャットによる技術サポートは受けられず、あくまで脆弱性修正だけの延命策です。2年目以降の提供や料金体系は記事作成時点では未定ですので、必ず公式情報を確認してください。
企業・組織向けには商用ESUが提供されます。初年度は年61米ドル/台で、年ごとに倍増し、最大3年まで。Windows 10 バージョン22H2が前提で、技術サポートは含まれません。当面の継続利用が必要な場合の現実的な解決策です。
●移行後も「運用」を続ける――Windows 11の寿命設計
Windows 11は年1回の大型アップデートで、Home/Proは各バージョン24カ月のサポート期間です。現行の23H2(Home/Pro)が25年11月11日まで、24H2(Home/Pro)が26年10月13日までが目安です。
自動更新を有効にし、ブラウザーや主要アプリ、セキュリティソフトも合わせて最新状態を維持するのが基本運用です。組織利用ならIntune/WSUSなどで一元管理することによって、更新漏れによるセキュリティホールを防げます。
なお上述のとおり、Microsoft 365 アプリのセキュリティ更新はWindows 10上で28年10月10日まで提供されます。ただし、これは「アプリ側の延命」に過ぎず、OSとしてのWindows 10が非サポートである状況は変わりません。OS移行を前提に据えたスケジュールを組んでください。
●移行完了後の「ならし運転」を忘れない
移行作業が終わったら、日常業務に影響しないか実地での確認を行います。
・日常的に使うアプリが問題なく起動し、基本機能が動作するか
・プリンター、スキャナー、Webカメラ、外付けドライブなど周辺機器が使えるか(必要に応じてドライバー更新)
・ネットワークやメール、クラウド同期、VPNなどが正常に接続できるか(組織利用の場合)
・Windows Updateが正常に動いて最新パッチが当たっているか
ここまで見届ければ、移行は実質的に完了です(※対応ドライバーの提供状況は機器・メーカーごとに異なります)。
●対応を先延ばしにしない
Windows 10のサポート終了は延期されない確定事項です。対応を先延ばしにする余地はありません。
まずは対応可否の判定、続いてバックアップ、そして方針決定と実行へ。ESUは「時間を買う」ための手段に過ぎず、恒久策にはなりません。Windows 11への移行または新PCへの更新を基本方針とし、実行して、本番運用に入ってください。(マイカ・秋葉けんた)
※この記事は2025年9月時点の公式情報をもとにしています。各種キャンペーンや制度の最新情報はMicrosoft公式サイトなどでご確認ください。