
1999年から26年にわたり続いた自民党と公明党の協力関係に、きょう終止符が打たれました。両党のトップが連立継続をめぐり協議しましたが、「政治とカネ」への対応をめぐり、最後まで折り合うことはありませんでした。
きょう午後1時45分から始まった自民・公明両党の党首会談。連立を継続するのか、それとも解消するのか。両党の幹事長も交えて詰めの協議が行われました。
1時間半に及んだ協議のあと、公明党の斉藤代表は淡々と、こう結論を口にしました。
公明党 斉藤鉄夫 代表
「自公連立政権については、いったん白紙とし、これまでの関係に区切りをつけることとしたい」
選択したのは連立からの離脱。「政治とカネ」をめぐる、自民党への不信感をぬぐい去ることは出来ませんでした。
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自民と公明の連立が始まったのは1999年のこと。自民党と自由党の連立政権に公明党が加わる「自自公連立」でした。
野党に転落した時も変わらず保たれてきた自公の協力関係。それにもかかわらず、今回、終止符が打たれた原因は「政治とカネ」です。
連立に加わった当初から「クリーンな政治」を標榜してきた公明党。かつて放送された党のCMでは、悪事をはたらく代官らに対して、当時の神崎代表が…
公明党 神崎武法 代表(当時)
「そうはいかんざき!」
このフレーズで話題になったことも。
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しかし、去年と今年の国政選挙では、連立を組む自民党の裏金問題に巻き込まれる形で大敗。
高市総裁が就任の挨拶に訪れたときも公明党の斉藤代表は…
公明党 斉藤鉄夫 代表
「我が党の支持者の方々から不安や懸念があることを率直に申し上げ、その解消なくして連立政権はない」
こう話し、連立を継続する条件として政治とカネに対する「ケジメ」を求めていました。
なかでも、「企業・団体献金」については、受け皿を大幅に絞り込む規制強化案を受け入れるよう迫りましたが、きょうの会談では…
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公明党 斉藤鉄夫 代表
「自民党の回答は『基本的にはこれから検討する』という、誠に不十分なものでありまして、極めて残念でございます」
自民党側は、公明案では地方議員が直接献金を受け取れないことから猛反発していました。
自民党幹部
「絶対にダメだ。地方組織がガッタガタになってしまう」
最後まで折り合うことはなく、別れを選んだ自公の協力関係。
斉藤氏は、石破総理の後任を決める総理指名選挙での対応について…
公明党 斉藤鉄夫 代表
「首班指名(総理指名選挙)が迫るなか、時間もございません。我々の要望に対して、自民党からの明確かつ具体的な協力が得られず、これらの改革が実現不可能なのであれば、とても首班指名(総理指名選挙)で『高市早苗』と書くことはできない。首班指名(総理指名選挙)では、公明党代表である『斉藤鉄夫』に票を投じます」
今後の政策協議については、是々非々で対応していく考えを示しました。
公明党 斉藤鉄夫 代表
「何でも反対の敵方になるわけではありません。我が党にも責任がある、これまで準備してきたいろいろな予算案や法律、また、政策ごとに賛成すべきものは賛成してまいります」
これまでの協力に感謝し、握手をして別れたと話す斉藤氏。しかし、自民党との選挙協力は「白紙」にすると述べました。
公明党との連立維持を求めたものの、一方的に別れを切り出された高市氏は。
自民党 高市早苗 総裁
「公明党から政治資金規正法の改正に関する公明党案について、この場で賛否を示すように求められました。この場で私1人で判断するとか、2人だけで判断することはできないので、党内で持ち帰って協議をして手続きに則って速やかに対応したいとお返事を申し上げました。しかしながら、先方からはそれは具体的な回答ではないということで、一方的に連立政権からの離脱を伝えられました」
いきなり「企業・団体献金」の規制強化案の賛否を求められた上、一方的に連立離脱を伝えられたと話す高市氏。斉藤氏に対し、こう尋ねたことを明らかにしました。
自民党 高市早苗 総裁
「『例えば総裁が私でなかったら、このような連立離脱はないのですか』と。(斉藤氏は)『今回の総裁選挙で誰が選ばれていても同じです』と。総裁が誰かということではなく」
連立離脱という結果に、自公関係に深く関わってきた自民党の重鎮はこう憤ります。
自民党重鎮
「自民党がね、公明党をなめてかかったから、こういうことになったんだ」
自民党中堅議員
「なんでこんなことになったんだろうか?誰も望んでいないでしょう。公明の協力がないと、うちは選挙なんてできないと思う」
公明党との連立協議という「一丁目一番地」からつまずいた形の高市氏。悔しさを滲ませました。
自民党 高市早苗 総裁
「これまで26年間にわたって、野党の時代も含めて協力をし合ってきた関係でございますので、大変残念ではございましたけれども、そういった結論になりました」
公明党が離脱することで、臨時国会で行われる総理指名選挙で高市氏以外の議員が選出される可能性もありますが…
自民党 高市早苗 総裁
「(Q.総理指名選挙やその決選投票で自身の名前を書いてもらうために、公明党や野党に働きかける考えは?)それは召集日まで一生懸命、できる限りのことはしていきたいと思っております」
公明党の連立離脱方針に野党側は。
立憲民主党 安住淳 幹事長
「本当に歴史的な1日になったんじゃないかと。政治とカネの問題で、公明党から見ればやっぱり自民党の対応というのは、我慢の限界を超えたんだろうと思います」
野党第一党の立憲はこれまで総理指名選挙での対応をめぐり、野党各党に野党候補の一本化の呼びかけを続けてきました。
立憲民主党 安住淳 幹事長
「(総理指名選挙の)決選投票というのは組み合わせいかんによっては、十分、政権交代の可能性が出てきたんではないかと思います。これからちょっと視点を変えて、歩き方をしたいと」
安住幹事長は、公明党が総理指名選挙で高市総裁に投票しないと明言したことを受け、指名選挙での勝利、政権交代に向けて動きを活発化させる考えを示しました。
また、野田代表は。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「連立から離脱をするということは、これは極めて重たい結論だったと思います。それだけ26年間、いろいろあったのでしょうけれども、懸案事項で取り上げていた政治とカネの問題で、あまり自民党に反省が見られないということに対して、相当な危機感を持ったということだと思います」
国民民主党の玉木代表は。
国民民主党 玉木雄一郎 代表
「政治資金の受け手規制の強化ということについては、今年の3月、国民民主党と公明党で考え方をまとめた経緯もございますので、与野党を問わず、各党各会派に受け手規制の強化ということについて、同意できる内容だと思っていますので、ぜひ政治とカネの問題、この問題に終止符を打てるよう、これからもともに取り組んでまいりたいと思っております」
ただ、立憲が呼びかける総理指名選挙での野党候補の一本化について否定的な考えを示し、「原則は玉木雄一郎と書くという方針に変わりはない」と述べました。