東京国際映画祭は14日、27日に開幕する第38回同映画祭のオープニング作品に決定している「てっぺんの向こうにあなたがいる」(阪本順治監督、31日公開)主演の吉永小百合(80)に、特別功労賞を授与すると発表した。
特別功労賞は、永年の国内外を含めた映画界への貢献が目覚ましい映画人に贈るもので、同映画祭は、常に挑戦者として、そして女優としての品格をもって、日本の映画文化の向上に多大な貢献を果たした功績に対し、心からの敬意を表し、授与するとした。
吉永は、1959年(昭34)の「朝を呼ぶ口笛」で本格的な映画デビューを果たして以来、常に第一線で活躍し、「てっぺんの向こうにあなたがいる」が124本目の映画となる。キャリアを通じて、芸術性と大衆性を兼ね備えた数多くの傑作に出演され、日本アカデミー賞では史上最多となる最優秀主演女優賞を4度受賞(84年『おはん』、『天国の駅HEAVEN STATION』、88年『つる−鶴−』、『華の乱』、00年『長崎ぶらぶら節』、05年『北の零年』)。また、文化功労者としての選出をはじめ、紫綬褒章を受章するなど、その功績は国家レベルで高く評価されている。自ら企画を手掛けた14年「ふしぎな岬の物語」ではモントリオール世界映画祭で審査員特別賞グランプリ&エキュメニカル審査員賞を受賞。以降も15年「母と暮せば」、23年「こんにちは、母さん」などで戦争の記憶や命の尊厳をテーマにした作品にも精力的に取り組んできた。
安藤裕康チェアマンは「吉永さんは、長年にわたり幾多の困難に立ち向かいながら日本映画の頂点に上りつめた方です。その姿は、この度主演された『てっぺんの向こうにあなたがいる』の中で女性として世界初のエベレスト登頂を成し遂げた不屈の登山家の姿と重なります。その映画が東京国際映画祭のオープニング作品として上映される機会に、吉永さんの偉大なご功績に対する敬意と感謝の証として特別功労賞を贈呈できること栄誉に思います」とコメントした。
「てっぺんの向こうにあなたがいる」は、女性として初めて世界最高峰のエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さんの15年の著書「人生、山あり“時々”谷あり」(潮出版社)が原案。吉永は田部井さんを元にした多部純子を演じた。阪本監督とは、12年「北のカナリアたち」以来13年ぶりに再タッグを組んだ。
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吉永は田部井さんと、12年にTBSラジオ「こんばんは 吉永小百合です」(日曜午後10時半)で対談。田部井さんは16年10月に腹膜がんのため77歳で亡くなったが、その3カ月前に高校生と富士山に登ったのが人生最後の登山となった。そうした事実を踏まえ、24年8月にクランクインした撮影中、79歳だった吉永が田部井さんにならい、耳にピアスの穴を開けたことも話題となった。純子の青年期を、のん(32)が、佐藤浩市(64)が、田部井さんの夫政伸さんをモデルにした夫の正明、正明の青年期を工藤阿須加(34)が演じる。元読売新聞記者の北村節子さんがモデルとなった、純子の山仲間で親友の編集者北山悦子を天海祐希(58)が演じる。
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