俳優佐藤隆太(45)が、今日16日まで阪神・淡路大震災をテーマにした主演舞台「明日を落としても」(兵庫県立芸術文化センター)に出演中だ。22〜27日は東京・EXシアター六本木で上演される。25歳と55歳を演じる、現在45歳の佐藤に聞いてみた。【小谷野俊哉】
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1999年(平11)に宮本亞門演出の舞台「BOYS TIME」で俳優デビュー。日大芸術学映画学科2年に在学中だった。
「舞台は、やっぱり自分にとって特別な場所ですね。仕事を始めてから25年以上たちましたけど、デビューが舞台からですから。もちろんドラマも映画も大好きなんですけど、映像の作品っていうのは仕上がったものを、もう皆さんに見ていただくしかない。それは嫌な意味じゃないんですけど、分かりやすく言うと一方通行な感覚があるけれども、舞台っていうのは、その日、その場所に集まった皆さんと両方通じ合えるところがある」
5年前に世界中を覆い尽くしたコロナ禍。次々と舞台が中止になった。
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「やっぱりちゃんとしっかりと、人と人同士がその場にあって、熱量を交わし合うっていう時間が、実にこう豊かでいとおしいものだなぁっていうのを、すごく感じるようになったんです。以前から舞台の世界はすごい好きではありましたけど、ああいう時期を経験して、ぜいたくな時間であるということを再認識しました。今は舞台に立ちたいという欲が、これまで以上に強くなってますね」
2020年(令2)、コロナ禍で一人芝居「エブリ・ブリリアント・シング〜ありとあらゆるステキなこと〜」に主演した。
「舞台っていうのは、再開するのも特に一番ハードルが高かった。映像作品だと技術的なところで距離を取ったりとかできますけど、舞台って難しい。お客さんが劇場っていう箱の中に入ってくださるので、一人芝居で日本各地を回ってたんですけど、東京からスタートして、最後の高知公演だけアウト。そこまで何とかギリギリ頑張ってたんですけど、大千秋楽の高知公演だけ、どうしてもストップせざるを得なくなった。そういうのを経験しているのでね。仕方ないと思っていながらも悔しいっていうのとは、違うんですね。当然仕方ない、そうするべきだと思ってるんです。だけど、実際にそういう経験しているのですごくコロナの影響を感じました。その後、再演できて高知に行った時に報われた気持ちになりました」
関西での上演会場となっている兵庫県立芸術文化センターは、阪神・淡路大震災からちょうど10年後、被害の大きかった神戸に開館した。
「(出演の)頻度はそんなに多くないんですけど、劇場としてもすごく大好きな場所です。震災から30年たって、表面的な傷痕は大分消えて来ている。でも、僕はホテルから劇場に行って、芝居をして帰って来るので、神戸の街並みとかをゆっくり見られるわけではない。当時のことで印象的だったのは、仲のいい友人の親戚がいて、震災の年の夏休みに神戸に行ってるんですよね。15歳、高校1年で野球部の男3人で甲子園に行ったんです。それで歩いてる時に、アスファルトとかの切れ目が見えて、その時に改めて、すごく怖さを感じましたね。ハイスピードでいろんなところが修復されてたけど、もう至る所にそういう爪痕が残っていた。いつもバカ騒ぎをしてるような仲良し3人だけど、本当に言葉が出ずに無言で歩いて行った景色が忘れられないです」
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(続く)
◆佐藤隆太(さとう・りゅうた)1980年(昭55)2月27日、東京都生まれ。日大芸術学部映画学科在学中の99年(平11)に舞台「BOYS TIME」で俳優デビュー。00年TBS系「池袋ウエストゲートパーク」。02年TBS系「木更津キャッツアイ」。05年「絶対恐怖Boothブース」で映画初主演。07年「日芸賞」。08年TBS系「ROOKIES」で連続ドラマ初主演。09年「ビロクシー・ブルース」で舞台初主演。10年フジテレビ系「まっすぐな男」。179センチ。A型。
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