29歳女優が明かす大ヒット朝ドラ共演者との交流「実は猪爪子ども会というものがありまして…」

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2025年10月16日 16:21  女子SPA!

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森田望智さん
 俳優の森田望智さん(29歳)が、原浩による第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作を、水上恒司さん主演で実写映画化した『火喰鳥を、喰う』に出演。事件を追う新聞記者・与沢一香役を熱演しています。

 2019年にNetflixの『全裸監督』の演技で高く評価され、その後も社会現象にもなったNHK連続テレビ小説『虎に翼』や鈴木亮平主演の配信ドラマ『シティーハンター』など、話題作へ続々と出演中。作品の反響やお芝居で大切にしていることなど、人気俳優のホンネに迫りました。

◆「どういう映像になるのか想像がつかなかった」

――『火喰鳥を、喰う』に出演が決まった時や、最初に脚本を読まれた時、どのような感想を抱かれましたか?

森田望智(以下、森田):最初に脚本をいただいた時、どういう映像になるのかまったく想像がつかなかったんです。登場人物が次々と火喰鳥に魅せられ巻き込まれていく様子に、ただ怖いだけではなくて、言葉には言い表せないような惹きつけられる魅力や念みたいなものも感じました。その魅せられていく感覚が映像になったとき、どうなるのがとても楽しみでした。

――火喰鳥にまつわる事件を追う地元紙「信州タイムス」の記者・与沢一香役は、どのような想いで演じられましたか?

森田:彼女は物語が進行するにつれていろいろなことに遭遇していくけれども、そこであきらめることはなく、どういうことなのか自分で調べて恐怖に打ち勝っていく記者魂みたいなものを感じました。怖いのにそれでも行こうとする気持ちは、そうとうなものですよね。火喰鳥がきっかけで始まるのですが、突き詰めたい想いみたいなものは演じていてすごく感じました。

一香の個性を強くして演じようとは思わなくて、地元の記者なので物腰柔らかく、どこにいても馴染めるような人物像なのかなと考えました。

――ちなみに本作にはホラー要素があると思いますが、ホラーは得意・不得意、どちらでしょうか?

森田:映画館で一人では観られなくて(苦笑)、テレビなら遠くから目を隠しながらなんとか観られるタイプですかね。今回、新聞記者についてたくさん調べました。地元の記者がどういう働き方をしているのかなど、そういうことをよく考えていました。社会に何か問題を伝えたいという記者が東京の新聞だとしたら、地元の記者は近くの人たちとのつながりを大切にしているようなイメージで、思い描いていたバリバリの新聞記者とは違うのだろうなと。温かいというか、楽しみながら役の資料を読んでいました。

◆芝居で大切にしているのは「嘘をつかないこと」

――撮影時、お芝居をするうえで大切にしていることは何でしょうか?

森田:一番難しいことなのですが、嘘をつかないようにしています。できる限りお芝居じゃなくすることを目指していて、苦戦をしている最中です。どうしても自分のエゴや「こうしたい」という想いがお芝居に出てしまうけれど、でもそうじゃなくて心からセリフを言っていて、心から仕草をしているということが大事なんです。だから演技じゃなくて、生きている人にしたいなという想いはずっとあります。

――そう思う何かきっかけがあったのですか?

森田:自分で自分のお芝居を見ていて、あるセリフを「こうしゃべろう」と決めて言っている姿が面白くないなと思ったんです。なので、自分の中だけで完結せず、他の人から受け取り、いろいろな方とその場その場で気持ちのやり取りをしてこそ、わたしが持っているものもよくなるような気がしています。自分で「こう」と決めつけていることの小ささを感じることがあるんですよね。なるべくその部分を広げたいので、決めないことを目指しています。それはとても難しいことなのですが。

――こうして映画が完成するとプロモーションに参加することもあると思いますが、一連の流れの中でどの瞬間が一番楽しいですか?

森田:もちろんお芝居をしている時が一番楽しいですが、でも取材じゃないと自分が言葉にする機会がないのも事実なんですよね。お話しすることで自分ってこんなことを考えていたのかという気づきにもなります。完成披露舞台挨拶に出て、自分の言葉で伝える時間があることで、改めて考えた時に消化されるような気持ちにはなります。

◆その役を生きている感覚

――お芝居の最中は、どのようなことを考えて演技をしていますか?

森田:シーンにもよりますが、その役を生きている感覚を大事にしています。もちろん今の今も生きているけれど、たとえばけんかして泣いて、誰かが疾走してっていう出来事は普段はなく、家族でほっこりご飯を食べ、幸せを感じて、犬と散歩して、わたしの人生はなだらかに過ぎていきます。

今回の作品もそうですが、感情のふり幅が大きな部分を切り取っているものが映画やドラマだったりするイメージがあります。なので、普段生きている時よりも、感情をゆさぶられることが大きい。喜びも怒りもフォーカスされる部分が普段はなかなかないので、お芝居の最中にすごく人間をしている気持ちになります。それと同時にお芝居をしていると普段のわたしの、何でもない幸せを感じている状態もすごく好きだなと思うんです。なので、そういう意味では特殊な仕事なのかと思っています。

――20代、『全裸監督』や『虎に翼』『シティーハンター』など、大変充実されていたと思いますが、ご本人としてはどう受け止めていますか?

森田:コツコツ、一歩一歩なイメージですかね。自分がやってきたことが弾けて、飛び越えていけているということはなく、着実にやっていることがつながっている感じがあります。20代前半からやってきたことが、人としてもお仕事としても、環境としてもつながっていっている感じなんです。本当に一歩一歩のイメージですね。年々ひとつひとつの役をより大切にできている感覚はあります。たとえ失敗しても、前に進む際の栄養になっているような気がしているんです。

反響についてはもちろんうれしいです。その中でも自分が役を納得して楽しく演じられて、その役を好きでいられているかということを一番大切だと思っています。

◆『虎に翼』共演者との「猪爪子ども会」

――第50回放送文化基金賞で最優秀賞を受賞した『虎に翼』で共演したキャストのみなさんとは、いまでもつながりがあるそうですね。そういう関係性は、お芝居にもよい影響をもたらすものですか?

森田:(受賞は)本当にすごいですよね。実は「猪爪子ども会」というものがありまして、優三さん役の仲野太賀さん、直道さん役の上川周作さん、伊藤沙莉ちゃんと私の4人で集まる会が定期的にあるんです。『虎に翼』に関しては、撮影前にみんなで折り紙をしたり、役じゃないところで時間を共有することも多かったので、その仲良しさがたぶん画面に映っていたと思います。

家族だから仲よくしようというわけではなく、結果としてなっていたなと思うので、そういうつながりはきっとお芝居をする上において、先ほど言ったお芝居をしないというわたしの目標と近いものだと思うんです。大切だったなと思います。みんなのことが大好きだから集まると思うんですけど、花江ちゃんも家族のことが大好きだったから、そこはウソなくできていたので、とても助けられました。役じゃない時のみんなが好きという空間にとても助けられた作品でした。

――初舞台で新しいことに挑戦し続ける原動力はどこにあるのでしょうか?

森田:経験を重ねていくと、どうしても新しいことに挑戦する機会が減ってしまうじゃないですか。新鮮さがなくなると、自分が少し物足りなく感じてしまうんですよね。きっと、まだ見たことのない景色を見たいという気持ちが強いんだと思います。だからやったことがない、できるかわからない役をやりたいですし、想像ができないような作品、それこそ海外の作品にも興味があります。

違うことを知れば、今までのやり方もグレードアップできるような気もしています。たぶん新しいことをやりたいという想いがあるので、いろいろ挑戦しているように見えるんだと思います(笑)。

――30代を前に俳優として女性として準備していることはありますか?

森田:実は特にないんです(笑)。頭ではもうすぐ30代だと思っているけれど、特別に変わるわけでもなく、延長として日々がある、つながっているイメージがあるので、あえて無理せず、今あることを一生懸命やっていたらいいのかなと思っています。

自分が一番納得できる生活をしたいですし、役をやるにしてもちゃんと自分がやりたくてやっている状態になりたい。自分が好きなものをちゃんとわかっている人になりたいという想いがあるので、自分のことを大切にできる人に今から徐々になっていきたいなと思っています。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>

【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。

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