順調なスタートから一転、接触と不手際で後退。ロスがなければ後方からの入賞も可能だった決勝【角田裕毅F1第21戦分析】

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2025年11月10日 17:00  AUTOSPORT web

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2025年F1第21戦サンパウロGP 角田裕毅(レッドブル)
 チームメイトのマックス・フェルスタッペンがパワーユニットをすべて新品に交換してピットレーンからスタートした今年の第21戦サンパウロGP。ピットレーンスタートを選択したフェルスタッペンがレースに向けてセットアップを変更したのに対して、予選19番手に終わったレッドブルの角田裕毅はセットアップを変更することなく、フェルスタッペンに加えて、エステバン・オコン(ハース)もピットレーンスタートを選んだことから、ふたつポジションを上げて、17番手からスタートした。

 スタート直後に、フランコ・コラピント(アルピーヌ)とランス・ストロール(アストンマーティン)をかわした角田。1コーナーでは前方にいたカルロス・サインツ(ウイリアムズ)と接触してコースオフしたルイス・ハミルトン(フェラーリ)をかわして、14番手でエス・ド・セナを通過していった。

 直後にガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)とランス・ストロール(アストンマーティン)が接触し、ボルトレートがバリアにクラッシュしてセーフティカーが出動した。ここでチームは角田をピットに呼び、ハードタイヤからミディアムタイヤへと交換する。セーフティカーラン中にハードタイヤに見切りをつけた角田は、ここから新品のミディアムタイヤで追い上げる作戦に出る。ここまでは順調にレースを進行した角田。しかし、セーフティカーランが終了し、レースが再開された6周目に流れが変わってしまった。

 レース再開直後の1コーナーでオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)の3台が接触する事故が発生したことで、後方が大混乱。1コーナーを過ぎても激しいポジション争いが続いた。

 角田もコラピントと4コーナーでサイド・バイ・サイドのバトルを展開。4コーナーでは一旦引いた角田だったが、7コーナーを立ち上がった直後に再びコラピントのインに飛び込む。今度はブレーキングで引かず、コラピント側にとどまって8コーナーへ進入していった角田だが、直後のブレーキングでその前にいたストロールに追突してしまった。

 この接触は記録された後に、レーススチュワード(審議委員)によって審議され、次のように決定が下された。

「6周目、22号車(角田)は、先行車よりもはるかに高速で8コーナーに進入し、18号車(ストロール)のイン側に接近。同車のリヤに接触し、衝突を引き起こして18号車をスピンさせた。スチュワードは、この事故の責任は完全に22号車にあると判断し、衝突を引き起こしたことに対して標準的なペナルティである10秒のタイムペナルティを適用した」

 スポーツにはルールがあり、それを裁く審判がいる。したがって、ルールを遵守し、審判の判定は尊重されなければならない。ただし、この接触は角田の無謀な運転によるものだと思わない。角田が先行車(コラピント)よりもはるかに高速で8コーナーに進入したのは、コラピントを抜くためだった。しかも、角田はブレーキをロックさせていない。

 ではなぜ追突したのかといえば、ストロールが後方を警戒してイン側の走行ラインを閉めるために、通常より早くターンインしてきたからだった。

 角田にとって痛かったのは、このペナルティによって科せられた10秒のタイムペナルティを消化するために行った2度目のピットストップの際、ピットクルーの不手際で、10秒ペナルティをやり直さなければならなかったことだ。

「ペナルティ履行のため車両が停止していた際に、メカニックが10秒経過前にホイールガンで左後輪ナットを緩める作業を開始した。タイムペナルティ履行中はいかなる作業も禁止される。疑義を避けるため付言すると、手・工具・装備を問わず車両への物理的接触はすべて『作業』に該当する。メカニックがペナルティ期間満了前に作業を開始したため、ペナルティは正しく履行されなかった。よって審判団は追加10秒のタイムペナルティを科すことにした」

 これにより、角田は大きく脱落し、最終的に17位でフィニッシュ。もし、タイムペナルティで失った20秒がなければ、7位入賞も可能だっただけに、このペナルティと作業ミスは非常に悔やまれる。

[オートスポーツweb 2025年11月10日]

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