2025年度税制改正(前編) 12月から所得税の基礎控除が大きく変わる!

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2025年11月11日 18:01  BCN+R

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控除の見直しのあった年は年末調整や確定申告の際に注意が必要だ
【家電コンサルのお得な話・273】 2025年12月から、所得税の仕組みが少し変わる。なかでも、「基礎控除」と「給与所得控除」の2つの控除の見直しは、多くの人に関係するものだ。

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●2025年度税制改正のポイントは?

 「控除」とは「税金を計算するときに、あらかじめ差し引ける金額」であり、「ここまでは税金をかけません」という線引きである。

 まず、基礎控除が大きく変わる。これまでは一律48万円だったが、今後は所得が少ない人ほど控除が大きくなる「段階制」が導入される。なじみのある「年収」で目安を示すと、おおよそ年収200万円以下、年収200万円超から2545万円以下の間で4段階、あわせて5段階に分かれる。控除額は年収が少ないほうから95万/88万/68万/63万/58万円だ。

 ただしこの段階は時限措置であり、2027年分以降、年収約200万円超2545万円以下の間は全て58万円となる。これは単純に「金持ちから多く取る」という話ではなく、「生活に必要なお金はまず守る」という考え方に近い。

 この改正で、年収850万円を超える人でも改正前よりは控除額は15万円増える。つまりすべての層で控除額は増えることになるが、増え方が所得に応じて小さくなる。結果として、「低所得者により手厚く」という応能負担の考え方を形にした改正である。社会全体で見れば、税を取る側が「公平さ」をより細かく設計し直したといえる。

 もう一つの改正は給与所得控除だ。これは会社員やパートなど、給与で働く人が仕事上の経費とみなして自動的に差し引かれる金額である。この給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げられる。例えば年収が160万円前後の人は、控除が10万円分アップする形だ。特に非正規や若年層、再就職者など、収入の少ない層にはありがたい改正といえる。

 この改正は、25年11月までは旧制度のままで、12月の年末調整で新制度に切り替わる。したがって、12月の給与明細で還付額がわかるので去年と比べてみてはいかがだろうか。

 政府としては、今回の見直しを「賃上げと税制のバランス」として位置づけている。物価上昇が続く中、名目上の収入が増えても収入増の実感はない。そうした状況下で、少しでも手取り増を感じさせる狙いもある。

 ただ、基礎控除が25年分以降、一部を除き58万円になるなど、一時しのぎの感が強いのは確かだ。国民が望んでいるのは、恒久的な減税、納得感のある抜本的な制度見直しだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

・2025年11月18日掲載予定の後編に続く

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。

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