63歳で年金を受け取り始めました。収入が増えた場合、51万円超で年金はどれくらい減らされる?

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2025年12月08日 18:30  All About

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年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、収入が増え年金がカットされるかを心配している男性からの質問です。※サムネイル画像:PIXTA
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、収入が増え年金がカットされるかを心配している男性からの質問です。

Q:63歳で年金を受け取り始めました。収入が増えた場合、51万円超で年金はどれくらい減らされる?

「63歳で年金を受け取り始めましたが、昇給や残業で収入が増えそうです。年金と給与の合計が51万円を超えたら、年金はどれくらい減らされますか?」(山下さん・63歳男性)

A:在職老齢年金の仕組みにより、年金(基本月額)と給与(総報酬月額相当額)の合計が51万円を超えた場合、超えた分の「半分」だけ年金が調整されます

63歳で受け取っている老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)を受給しながら厚生年金に加入して働くと、「在職老齢年金」の制度が適用されます。在職老齢年金とは、年金(基本月額)と給与(総報酬月額相当額)の合計が支給停止基準額を超えた場合に、老齢厚生年金の一部が調整される制度のことです。

2025年度(令和7年度)の支給停止基準額は51万円です。

支給停止(調整)額の計算式

老齢厚生年金がどれだけ調整されるかは、次の計算式で求めます。

●基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円以下
→老齢厚生年金は全額支給されます

●基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円を超える
→支給される老齢厚生年金額は次の式で計算されます
基本月額−(基本月額+総報酬月額相当額−51万円)÷2

※基本月額……老齢厚生年金の報酬比例部分の月額
※総報酬月額相当額……給与+賞与の1/12

計算例

基本月額:20万円
給与(総報酬月額相当額):40万円
→合計60万円(51万円を9万円超過)

支給される老齢厚生年金は、
20万円−(20万円+40万円−51万円)÷2
=20万円−9万円÷2
=20万円−4万5000円
=15万5000円

このように、「51万円を超えた分の半額」が調整されます。

山下さんの場合

63歳で年金を受け取っているとのことなので、現在受給している年金は老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰り上げ受給している可能性が高いと考えられます。繰り上げ受給した老齢年金も在職老齢年金の対象となり、年金(基本月額)と給与(総報酬月額相当額)の合計が支給停止基準額の51万円(令和7年度)を超えた場合には、年金の一部が調整されます。

給与の増加や残業により収入が増えた場合は、ご自身の基本月額(年金の報酬比例分)と総報酬月額相当額(給与+賞与の1/12)を上記の式に当てはめれば、調整額が計算できます。

老齢基礎年金(国民年金)は、在職老齢年金制度の対象外です。給与がいくら増えても支給停止されることはありません。年金額は人によって大きく異なるため、具体的な金額を知りたい場合は年金事務所での確認がおすすめです。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)

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