モデルの菅野結以さん 12月初旬、X(元Twitter)で平成のギャルカルチャーが話題に。なかでも『Popteen』モデルとして活躍した菅野結以さんが「菅野結以、平成ガーリーファッションの象徴として再注目」とトレンド入りし、タイムラインは当時を懐かしむ声であふれました。
突然のバズを経験した感想と、平成ギャルカルチャーへの想いについて、菅野結以さん本人に話を聞きました。
◆当時の過酷ロケを振り返る
――今回のバズは、同じく『Popteen』出身であるモデルの益若つばささんが「菅野結以様は白くて可愛くて顔整いで今も昔もガーリーの神なの」とXに投稿したことに端を発しています。益若さんの投稿を受けて「菅野結以ちゃんは平成のカリスマギャルだしみんなの憧れだった」「菅野結以は美白の姫系ギャルだしリズリサの象徴みたいな存在」などのコメントが盛り上がりましたが、突然バズった感想はいかがでしたか?
菅野結以さん(以下、菅野):みんなこんなにわたしのこと好きだったの!? と驚きました(笑)。ともに時代を生きた平成女子たちの熱き想いがとめどなく届き続けて、無我夢中でぼろぼろになりながらもぜんぶさらけ出してあの時代を本気で駆け抜けた甲斐があったな、とじーんとしました。
――益若さんが投稿した『Popteen』のサハラ砂漠ロケの誌面は、「あっっ、サハラ砂漠にギャルがいる! ありえないっつーの‼ リズリサインモロッコ」という突き抜けたタイトル&菅野さんたちがギャル服でラクダにまたがった写真がインパクト大でした。
菅野:このロケは、モロッコのサハラ砂漠の真ん中までラクダに乗って移動して、水道も電気もない場所でテントを張って寝袋で眠り、目が覚めるとまず虫さんと目が合うという日々。トイレは? あの丘の向こうでどうぞ、メイクは? 崩れないようにまっすぐ寝て! という環境で、強くたくましくなりました。この大きな地球では自然界に人間がお邪魔してる側なんだ、と気付き視野が広がるきっかけにもなりました。
サハラ砂漠は暑いかと思いきや、陽が落ちている時間は極寒なんです。キャミソールにミニスカサンダルでラクダに乗って朝日を待ちながら撮影したシーンは、あまりの寒さに涙が止まらず、仕上がりをよく見ると泣いています(笑)。
◆全てが“リアル”だった撮影
――体を張ったロケだったんですね。ギャル誌である『Popteen』は、読者モデルを起用し、リアルなファッションや美容を紹介していたのが印象的でした。
菅野:当時の雑誌は超リアル主義だったので、絶叫マシンやバンジーにカメラをつけて乗って撮影したり、抜き打ちで身体測定をされたり。「私服1か月着回し企画」はヘアメイクもスタイリングも本当にすべて自前だったし、すっぴんもプライベートも過去もすべてさらけ出してました。一日100体撮影するなんてのもザラで、撮影期間はとにかく眠れず、クマや肌荒れもそのまんま掲載。フィルム写真で、現在のような加工やレタッチもなかったので、すべてがリアルでした。
◆リアルだったからこそ輝いた個性
――益若さんも、当時を振り返って「みんなが個性を受け入れてくれて結果売れたの。コンプレックスを抱えながらもメイクと髪型とファッションを鬼盛りしてどの個性も素晴らしいよねって時代なの」「だから平成のモデルは今でもリアルで可愛いをとても大切にしてる人が多いの」と語っていました。
菅野:今回、盟友である益若つばちゃんがわたしと平成への愛を熱弁してくれたところから、みんなの中に眠っていたギャル魂が目覚めて瞬く間に覚醒していく様は、あの頃いつも現場の熱気と渦から流行が生まれていった現象にもよく似ていたと思います。
現代の均一化した美の基準や、少しでもその型から外れたら批判されたり、常に他人から評価を下されるような風潮にストレスを感じていたひとがたくさんいたんだなと。
――おっしゃるように、令和では多様性が重んじられる一方で、SNSを通じて常に見た目をジャッジされているような風潮もあると思います。菅野さんはこの風潮について、どのように感じていますか?
菅野:わたしは骨格診断もパーソナルカラー診断もしたことがありません。なぜなら基本どうでもいいと思ってるから。もちろん参考にするのはいいと思うけど縛られるのは違うし、好きな服を着て好きなメイクをしてときめいて、自分の気分をぶちあげながら過ごすことが一番大事。人からもらういいね! より、自分の好き! を大事に生きていきたいと考えています。縛られる必要のない呪縛から解放されて、のびのび心地よく生きられるひとが増えたらいいなあと願います。
◆平成ギャルカルチャーの魅力
――改めて、平成ギャルカルチャーの魅力とは何だったと思いますか?
菅野:美容もファッションも、人の目を気にするよりとにかく自己探求で全員個性爆発、そのリアルさがカルチャーになったと思います。じぶんを貫くスピリットこそがギャルで、「みんなちがってみんな最高♡」という、他人の目より自分の好きを信じる姿勢がありました。お気に入りの我が青春であり、一生待ち続けていたいマインドセットです。
――10代から活躍されている菅野さんも、アラフォーと呼ばれる年齢になられました。「平成の姫ギャル代表の菅野結以ちゃんが最近話題になってたけど、インスタ見たら今もめちゃくちゃ可愛くてびっくり」など、現在の姿にも驚きの声が上がっています。昨年出版した美容本『オルタナ美容 非常識美人の哲学』も再注目されていますが、この先どんなふうに歳を重ねていきたいですか?
菅野:年齢やこの世の謎な価値観に縛られず、常識に囚われず他人に惑わされず、自分の正解は自分でつくっていきたいです。自分と自分が好きなひと以外からの評価って、実際かなりどうでもいいもの。世の普通ベースで話されると話すことがなくなるし、正解はたぶん100億通りくらいあるので、人と同じところを目指す必要はまったくなくて、評価基準はいつも天高くこの胸のなかに持ち続けていたい。
『オルタナ美容』に「うちの芝生、ピンクでいかせていただきます」という格言を掲載したのですが、隣の芝生って、必ず青く見えるもの。だからわたしは、もう青さで競わない。向こうが青なら、こっちはピンクの芝生で勝負。「うちの芝生、ピンクでいかせていただきます」という気持ちでいることが大事……というメッセージを込めています。これからも、自分軸でピンクの芝生を育てていきます♡
<取材・文/女子SPA!編集部>
【女子SPA!編集部】
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