WRC27規則は、ラリー1の安全性や基本コンセプトを維持しつつも、共通設計によるコスト削減と、基準容積内でのボディワーク自由化を認める新技術規則だ。導入の背景には、既存のラリー1規定が抱える複雑さや高コスト、さらにハイブリッドユニットの維持に伴う負担があり、これを解消してメーカー参入の裾野を広げる狙いがあり、ラリー1よりもさらに多様な市販車モデルをベースにした参戦が可能かつ競技の持続性と魅力の両立を目指している。
今回承認されたホモロゲーション規則は、その適用手続きや有効期間、最低生産台数などを明確化し、コンストラクターにとって安定した開発環境を提供するものとなっている。
WRC27におけるコンストラクターが改めて定義され、WRC27型車両の設計・製造、FIAへのホモロゲーション申請、そして車両や関連部品の商業化までを担う主体と位置付けられる。
ホモロゲーション条件としては、承認から24カ月以内に最低10台の生産が義務付けられ、さらに年間で10台の競技仕様車を顧客に供給できる体制を整える必要がある。また、他のコンストラクターにベース車両を供給する場合には最低生産台数が調整される場合もあるという。そしてホモロゲーションの有効期間は10年間と定められた。
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■2026年スポーティング・レギュレーションも改訂
さらに、世界モータースポーツ評議会は電子投票により、2026年シーズンのWRCスポーティング・レギュレーションに関する一連の改定を承認した。これらの変更は競技運営の透明性や安全性を高めることを目的としており、休養時間の義務化、候補イベント（Candidate Rally）の枠組み整備、サービスパーク運営の見直し、エンジン交換規定の改訂など多岐にわたる。
まずはラリーウィーク中の休養時間が義務化されることとなり、各ラリーにおいて競技時間と休養時間の定義が明確化された。総休養時間は競技時間と同等以上とされ、1日の休養時間は最低10時間、さらに1日は12時間以上の休養を確保することが規則で規定された。これにより、選手やチーム、オフィシャル、ボランティアの負担軽減が期待される。
競技運営面ではシケインの適用が明文化され、安全上の理由で設置される場合は安全計画書やロードブックに記載され、レッキ前に標識・設置が完了している必要がある。選手が通過する際、バリアへのヒットなどによってシケインを構成する物体が完全に移動した場合は5秒のペナルティが科され、違反は競技委員長が判断し、必要に応じてスチュワードに付託される。
加えてエンジン交換規定についても改訂。競技開始後にエンジン故障が発生した場合、ラリー1のマニュファクチャラー登録車を除き交換が認められることとなった。ただし交換には60分のタイムペナルティが科され、当該イベントでの選手権ポイント獲得は不可能となる。これにより重大なメカニカルトラブルでも走行継続は可能だが、競技結果には反映されない。
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[オートスポーツweb 2025年12月12日]
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