
ダンサー田中泯(80)が12日、東京・品川区の喜多能楽堂で「田中泯+谷口裕和 独独座−コレモコテン−」(26年2月28日〜3月1日、同所)の記者会見に出席した。
田中が出演し、絶賛上映中の映画「国宝」で振り付け指導にあたった日本舞踊家・谷口裕和(48)と能舞台を共にする公演。喜多能楽堂は大規模改修工事を終えて演目の幅を広げており、初めての日本舞踊・ダンスジャンルの上演となる。
田中は映画撮影後も日本舞踊の稽古を続けているという。「『国宝』でド素人の私が実際に舞台で踊る撮影があって、2〜3カ月ですかね。一から熱心に教えていただいて。よし、これは絶好の機会だと。これまで全く伝統に触れずに生きてきた私が、習ってみようと思いまして。先生に『弟子にしてほしい』とお願いして習い始めて、その流れでこういうことになっちゃったという状況です」と、実現の経緯を明かした。
今公演では、おのおのが個人で踊りを披露する。「独独座」という題について、田中は「1人を尊重してやってみよう。それが対立するものでもなくて、1人ということを公然と、誰にでも分かるように存在する、意志をはっきりと持った会をやろうじゃないかということです」と説明した。
26歳から流派に所属しない舞踊家として活動する谷口は「独立して1人で、一番支えになってくださったのがお茶の宗和流の家元でして」と、独立当時を懐古。「その先生が最初、お言葉をあなたにあげますと言って『独座』と書いてくださったんですけど、3日後に『あなたはまだ独座まではいってないわね』と言って新たに『一歩』と書いてくださった」と明かし、「先生はお亡くなりになったんですけど、今『独座』という言葉を使いたかった」と「独独座」に込めた思いを語った。
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田中は今回、世阿弥にインスパイアされた「少な少なに感情す」というタイトルで即興で踊る。日本舞踊の稽古では、まだ時間のほとんどを「歩く」ことに費やしているが、谷口は「泯さんの『すり足』は美しいだけでなく、何十年も歩んでこられたすべてが入っている。それだけで作品。僕も引っ張られていく感じがして、見えないものを学ばせてもらえている」。田中の舞いからは「踊りで一番大切な情景」が浮かぶと称賛した。
田中は「今は歩くだけになってしまうけど、ひょっとしたら近い未来、一緒になって踊るかもしれない。2人の間では続けようと話しています。年に1回くらいは」とシリーズ化にも意欲を見せた。
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