アレックス・ブルツが語る息子チャーリーのテスト参加理由と欧州にはないメリット「人は高いレベルのものを見て初めて成長する」

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2025年12月12日 15:20  AUTOSPORT web

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アレックス・ブルツとチャーリー・ブルツ(TEAM GOH)。チャーリーの弟、オスカーも合わせて来日している。
 鈴鹿サーキットで12月10日から行われている全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同/ルーキーテスト。TEAM GOHからは、元F1ドライバーであるアレックス・ブルツの息子、チャーリーが3日間のセッションに臨んでいる。


■FIA F2のメリット、スーパーフォーミュラのメリット

 チャーリーは、2021年と2022年にUAE F4でチャンピオンになり、2023年にはフォーミュラ・リージョナル・オセアニア選手権でもタイトルを獲得。2024年と2025年はFIA F3に参戦した。

 チャーリーに帯同して来日した父アレックスは、今回テストに参加している理由について、日本での参戦機会の模索であることを明言した。

「チャーリーに対しての次のステップは、3つの選択肢があると思っている。FIA F3に残るか、FIA F2に行くか、それともスーパーフォーミュラに行くかだ」

「僕にとっては明らかだったのはスーパーフォーミュラが最良の方向だということ。だから、ここでテストができることをとても嬉しく思っているし、チーム(TEAM GOH)の目標である2026年シーズンのスーパーフォーミュラを目指し、一緒にテストできたことを嬉しく思っている」とアレックス。

 アレックスといえば、WEC世界耐久選手権のトヨタGAZOO RacingでLMP1のドライバーを務めた後、長きにわたってチームのアドバイザー役に就いている。中嶋一貴や小林可夢偉、平川亮らとともに仕事をしてきたこともあり、普段から周囲にスーパーフォーミュラをよく知るドライバーが多い環境だ。

 それもあってか、「何年も前からドライバーのキャリアアップに興味深いシリーズだと考えている」と、日本最高峰のフォーミュラカーシリーズを高く評価している様子。その理由についても聞いてみた。

「まず、非常に速いクルマに乗ると、それによって反射神経、視力も研ぎ澄まされていく。また、日本には5つ、6つのサーキットがあり、レベルが非常に高い。チーム・ドライバーともに、それらをよく知っているなか、ヨーロッパから来たドライバーはサーキットをよく知らないまま、多くのことを学ばなければならない。本当に大変なことだけど、それは良いことだと思う。なぜなら、人間は高いレベルのものを見て初めて成長するからだ」

「実は、日本に来ることについて、2週間前にリアム・ローソンと話をしたんだ。彼は『最初は “うわ、これは大変だ!” と思うかもしれないし、忍耐も必要だと思う、それはスーパーフォーミュラのチームやドライバーのレベルが非常に高いから。だからこそ、競争が激しい場所に行かなければならない』とチャーリーに話をしてくれた」

「僕はスーパーフォーミュラもそうだし、スーパーフォーミュラ・ライツのクルマも、ドライバーにとってはトレーニングをするのに非常に良いクルマだと思っている」

 最近のトレンドとしてはF1へのステップアップとしてヨーロッパのFIA F2を目指すドライバーが増えている状況だ。しかしアレックスは、そのメリットと日本に来るメリットも分析済み。チャーリーに対しては、日本での挑戦を勧めるという。

「どちらの選手権も素晴らしい。もちろん、(FIA F2やFIA F3など)ヨーロッパでF1を観戦していると、どのレースもF1チームのボスが見ているところでレースが行われる。彼らは観察力が高くて、予選だけでなくプラクティスの段階からよく見ている。だから、F1チームのボスに好印象を与えたいなら、FIA F2に参戦する方が有利かもしれない」

「またCOVID-19(新型コロナウイルス)の影響でヨーロッパ重視の傾向が強くなり、FIAライセンスポイントもヨーロッパ重視になった。ただ、ドライバー育成の観点から言えば、もちろんFIA F2やFIA F3は素晴らしいが、スーパーフォーミュラも非常に優れている。とにかくクルマは軽量で速いのが何よりの特徴だ。ラップタイムで言えば間違いなくスーパーフォーミュラの方が速いだろう」

「どちらの選手権も素晴らしいが、自分のキャリア開発の方向性、目指す方向を決める必要がある。どのドライバーも、毎年、キャリアマネジメントにおいて非常にダイナミックになる。そのなかで我々の場合は、トヨタや他のレーシングドライバーの友人たちと話をしてきた」

「僕は『もし自分の子どもたちがチームを見つけることができれば、スーパーフォーミュラに参戦させたい』と長年言ってきた。なぜなら、スーパーフォーミュラはドライバー育成において非常に高い評価を受けているからだ」

 スーパーフォーミュラのマシン、そして日本のサーキットも初経験となるチャーリー。今回のテストではタイムシート上位に顔を見せてはいないが、アレックスは「経験を積むこと」に重きを置いていると強調する。

「僕たちは日本での経験が浅く、日々学んでいる最中だ。興味深い傾向や課題も見えてきているし、それは初日としてはよくあることだ。また、鈴鹿サーキットも初めてで、決して簡単なサーキットではないことは分かっている。だからこそ、今回勉強に来ているんだ。チームも非常に協力的で、この2日間ですでに素晴らしい仕事ぶりを見せてくれているので、とても嬉しい」

 現段階でチャーリーの来季去就は明らかにされていないものの、日本でのレース参戦をとても前向きに捉えているブルツ親子。果たしてどんな2026シーズンが待ち受けているのだろうか。

[オートスポーツweb 2025年12月12日]

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