「置きに行き過ぎた」「感触と合わないのが引っかかる」ルーキーデー2&3番手となったトヨタ育成勢の伸び代

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2025年12月12日 19:00  AUTOSPORT web

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鈴木斗輝哉(Kids com Team KCMG) 2025スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト/ルーキーテスト
 12月12日、三重県の鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同/ルーキーテストの3日目のセッションが行われた。この日は出走が出場4戦未満のルーキーに限定されるなか、午後の最後にウーゴ・ウゴチュクウ(VANTELIN TEAM TOM’S)が1分36秒862を記録。SF初乗りながら、レギュラー組らも走行した1・2日目を含めた3日間の全体ベストを叩き出し、パドックに激震が走った。

 そんなウゴチュクウからはややタイムで離されたものの、日本の若手ドライバーも2番手、3番手に続いた。


■「山下選手のクルマなので、速いのは当たり前」と鈴木斗輝哉

 2番手に飛び込んだのは、TOYOTA GAZOO Racingドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC)育成ドライバーである鈴木斗輝哉(Kids com Team KCMG)だった。2025年シーズンはFIA-F4を制し、フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップではランキング2位に入った19歳だ。

 当初、3日目から搭乗予定だったが、カッレ・ロバンペラのドクターストップにより、2日目からスーパーフォーミュラマシンを初ドライブ。前日はロバンペラの8号車を、この最終日は山下健太が前日まで走らせた7号車のステアリングを握った。

 山下車はテスト1・2日目を通して好調だったが、鈴木もその流れに乗るように、最後のアタックで好タイムを残して2番手でテストを終えた形だ。

「初日(テスト2日目)は代役として急遽出させていただいて、いままで乗ってきたクルマとは次元が違う領域のなかで最初は戸惑いもありましたが、問題なく1日を終えられて良かったです。今日は(7号車になって)変化もかなり大きくて、たまたま僕の乗り方にセットアップがうまく行っていた部分もあるのですが、初日悪かったところを改善して走れて、最後のニュータイヤのアタックをいい形で終われたので良かったです」

 自己ベストとなった1分37秒335は、セッション最終盤のアタックシミュレーションでマーク。そのアタックラップは、意外にも“置きに行った”部分があったという。

「セクター1はもう『決まったな』という感覚がありました。実際、赤(全体ベスト)も点いていたようですし。ただセクター2が、逆バンクのところが西陽で見えづらくてあまり速度を上げられなかったのと、S字と逆バンクで全体的にちょっと置きに行きすぎたというか、そこでタイムがコンマ1くらい、落ちてしまったかもしれません。デグナーふたつ目もちょっと失敗してしまい、もったいなかったですね」

「それもあってセクター2が伸びなかったのと、ヘアピンのボトム(スピード)が上げられなかったのでスプーンひとつ目の進入速度が遅かったりと、“詰め”が少しずつ良くなかった。自己ベストは出したのですが、あまりうまくいったラップではなかったかなと思っています」

 首位ウゴチュクウからは0.473秒という大差をつけられたものの、前日までのレギュラー陣上位勢と遜色ないタイムをマークした鈴木。とはいえ、必要以上に順位とタイムを喜ぶ様子は見られず、「前日山下選手が調子良かったので、速いのは当たり前」と冷静に現状を見つめる。

「僕がいま必要としているのは、どんどんパフォーマンスが上がるマシンの作り方、セットアップを学ぶこと。その意味では速いマシンでタイム出せたのは良かったと思っていますが、それ以外の“経験”の部分で大きな収穫があったので、今後の自分のレースにつなげていけたらと思っています」


■“ルーキー”ながら4チーム目のマシンを経験した小林利徠斗

 一方、昨年のルーキーテストにも参加し、2025年は第3・4戦に代役出場した小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)は、最終アタックラップで他車と近づく場面もあったなか、1分37秒430をマークして鈴木に次ぐ3番手で最終セッションを終えた。レース出場経験もあり、今回のテストでも初日から6セッションをひとりで乗り通したこともあって上位進出は当然との見方もあるが、TGMGPのマシンに乗るのは今回が初。そこには、苦労もあったようだ。

「アタック2周目に、緑色のクルマでしたかね、S字のところで(引っかかった)。まぁ仕方ないというか、どうしようもできないので……タイムを縮められた可能性はなくはないですけど、たかが知れているというか、縮められてもコンマ1、2秒だったと思います。トップとの差は相当ありましたから」

 小林もまた冷静に、リザルトの数字を捉えている。

「これが予選であれば少しでもタイムを上げたいところですが、いまは根本的な速さを詰めていきたいところろなので……まぁ仕方ないと思うしかないですね。感触は悪くはないのですが、トップとの差はまだまだありそうなので、そこはドライビングにも、クルマにも、課題がいっぱいあるかなと思っています」

 小林は昨年12月のルーキーテストにはVANTELIN TEAM TOM’Sから、2025年4月のもてぎ大会にはITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULから、そして6月の富士公式テストにはKids com Team KCMGからそれぞれ出走。今回は4チーム目のマシンを経験したわけだが、2025シーズンに苦戦したKDDI TGMGP TGR-DCということもあり、課題は多いと感じているよう。

「3日間でだいぶ乗りやすい方向にはなったのですが、正直、現状ではこれまで乗った他のクルマに比べて、『感触』と『他車との相対的なタイム』が合わないなと。そこがちょっと違うのが引っ掛かりますね」

 3日間通して1台のクルマを煮詰めていったことで、セットアップのスキル面でも「いい勉強になった」と小林。体力的にも「ひとまず大丈夫そう」ということで、2026年にフル参戦となった場合の備えは着々と進められたようだ。

「このクルマでレースできたら楽しいと思いますし、レースとして非常にレベルが高いので、そういうところで争えるドライバーになりたいなと思っています」

[オートスポーツweb 2025年12月12日]

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