日銀本店 衆院選で与党が圧勝し、積極財政・金融緩和により高成長を目指す「高圧経済」を志向する高市早苗首相の政権基盤は盤石になった。この結果、金融政策の正常化に向け、利上げ路線を維持する日銀の金融政策運営にも影響が及ぶ可能性が出てきた。政府の意向が反映される日銀の政策委員会の人事も焦点となる。
日銀は昨年12月、高市政権下で初となる利上げに踏み切った。金融市場では、今春の追加利上げを織り込む動きが広がっているが、高市首相の経済ブレーンの中には1年間は政策変更を見送るべきだとの主張もある。
現在の政策金利は0.75%。次に利上げすれば、景気を刺激も抑制もしない中立金利の下限とされる1%となる。高市首相は過去に「金利を今、上げるのはあほ」と発言するなど、もともと金融緩和派とみられるだけに、今後の利上げにすんなりと理解を示すのか不透明だ。ただ、急激に円安が進めば、輸入インフレを抑えるため、利上げのタイミングが前倒しとなる可能性もある。
一方、金融政策決定に投票権を持つ日銀の政策委員会メンバーのうち、野口旭氏は3月31日、中川順子氏は6月29日にそれぞれ審議委員の任期満了を迎える。
高市首相は経済財政諮問会議の民間議員に積極緩和を唱えるリフレ派の若田部昌澄前日銀副総裁を起用するなど、利上げに慎重なメンバーを抜てきしてきた。野口、中川両氏の後任に、安倍政権と同じように金融緩和派を次々と送り込めば、利上げを巡る議論にも変化が生じかねない。
与党圧勝で長期政権の足場を築いた高市首相は、2028年に任期満了となる植田和男総裁の後任選びに関わることも考えられる。このため、今年の審議委員の人選がどうなるかが「次期総裁選びの試金石になる」(市場関係者)との声も出ている。