フードデリバリーの枠を超えた総合インフラへ - Uber Eats代表が見据える「未来の配送」の姿

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2026年02月13日 14:30  マイナビニュース

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日本上陸から10周年という大きな節目を2026年に迎える「Uber Eats」。フードデリバリーを生活に定着させてきたUberのプラットフォームは、いまや食品だけでなく日用品、医薬品、さらには「Uber Courier」による個人間配送までを担っており、日本の物流を支えるデリバリー・プラットフォームへと進化を遂げている。



さらなる発展を見込むUberのサービスは、これからどのように私たちの生活を変えていくのか。Uber Japan代表のブロヴキナ・ユリア氏に、これまでの歩みから2026年以降に描くビジョンまでを語ってもらった。


「Go Anywhere, Get Anything」がもたらした生活の変化



――2025年までを振り返って、事業成長において象徴的だった取り組みや、手応えを感じている部分について教えてください。



「私たちは、日本における成長戦略として『Go Anywhere, Get Anything』というサービスコンセプトを数年前に掲げました。2025年はこの戦略が単なるスローガンではなく、実体験として日本のお客さまに浸透した年だったと確信しています。『Anywhere』という点では、2025年末までに日本全国100都市への展開を達成しました。単にエリアを広げるだけでなく、その地域に深く根ざすことを目指しています。また、『Anything』という点では、レストランの食事はもちろんですが、非飲食(リテール)分野の拡充が大きな転換点となりました。西友との提携に象徴される大手スーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストア、酒屋、さらには花屋まで、地域のローカルコマースにあるほぼすべての商品がUber Eatsのプラットフォーム上で扱われるようになっています。これらを『Affordability(手頃な価格)』に、なおかつ注文から30分程度で、何でも手に入るという体験が、日本中に広がり始めています」



――「Affordability(手頃さ)」についても非常に重要な観点ととらえていらっしゃいますね。



「私たちは『手頃な価格で、いつでも、どこでも何でもお届けする』ことを使命としています。昨今のインフレは日本社会でも無視できない課題ですが、私たちはテクノロジーとパートナーシップによって、お買い物の障壁を取り除くことに注力してきました。象徴的なのは楽天との提携強化です。2025年、私たちは楽天ポイントをUberのプラットフォームに統合しました。現在は200円につき1ポイントの楽天ポイントが貯まりますが、これは多くの方にとってUberをより身近な存在にする大きなきっかけになっていると考えています。将来的には、貯まった楽天ポイントをUber Eatsの支払いに直接利用できる機能を実装することを考えています」



――価格面での取り組みとして、他にも新しい動きはありますか。



「ピックアップ(お持ち帰り)機能において、店頭と同じ価格で提供する取り組みを強化しています。ランチタイムの忙しい時間帯に、行列に並ぶストレスを避けたい。でも、デリバリー料金を払うのは控えたい。そうしたニーズに対し、私たちのアプリを通じて店頭価格で事前に注文し、待ち時間ゼロで商品を受け取れる利便性を、追加コストなしで提供しています。また、私たちのメンバーシップ制度である『Uber One』も、手ごろな価格であることを支えている強力なエンジンです。月額500円を切る価格(498円)で、レストランだけでなく、スーパーやドラッグストアでの注文も配達手数料が無制限に無料になります」


Uber Eatsの「競争優位性」とは



――2026年以降、Uberは日本でどのような展開を予定していますか。



「2026年は、私たちが日本でサービスを開始してから10周年となる記念すべき年です。この年、私たちは既存の戦略をさらに強化する『Doubling down(二倍の力を注ぐ)』フェーズに入り、手ごろな価格でご利用いただけるよう、メンバーシップをさらに進化させます。この2月からUber Oneのメンバーであれば、アプリに表示されている対象レストランのメニュー価格そのままで商品が手に入るようになりました。配送料だけでなく、サービス料などの追加手数料も実質的に排除し、『店頭で買うのと変わらない感覚』でデリバリーを利用できるようにすることを日本中のお客様に体感していただきたいと考えています」



――多くの競合サービスが存在する中で、Uber Eatsの「競争優位性」をどこに設定していますか。



「私たちの最大の強みは、プラットフォームとしての規模の大きさと信頼性にあります。国内最大規模の加盟店数を抱え、あらゆるジャンルの商品を扱っていること。この圧倒的なスケールがあるからこそ、マッチングの精度が上がり、サービスの品質が安定します。また、私たちは配車サービスであるモビリティ事業も展開しており、『Uber One』はこの両方のベネフィットをつなぐ役割を果たしています」



――EatsとTaxiのシナジー効果も期待できそうですよね。

「そうですね。タクシー移動で貯まったポイント還元を食事に使い、Uber Eatsのヘビーユーザーが配車サービスをお得に利用するといったことが具体例としてあげられますね。このクロスプラットフォームの統合は、他社には決して真似できない大きなアドバンテージです」


配達パートナーの体験を向上させることもミッション



――配達パートナーの方々とのセッションを通じ、現場の声もサービスの充実につなげているとお聞きしました。フィードバックは、どのようにシステムに反映させているのでしょうか。



「まず、配達パートナーの皆さんがポジティブな体験を持てるようにすることは、私たちの最優先事項です。彼らの声をもとに、常にシステのアップデートを行っています。一例がクエスト機能です。これはパートナー自身が『今日は何回配達して、これだけの報酬を得たい』と、自分のワークスタイルに合わせて目標を選択できる仕組みで、非常に高い評価をいただいています」



――配達における安全対策についても、単なる注意喚起以上のテクノロジー活用が進んでいるようですね。



「安全は私たちのプラットフォームの基盤です。ミッションとして、配達パートナー、注文者、加盟店の三者が安全に使えることを最優先しています。その基準となるコミュニティガイドラインを設け、違反行為にはアカウント停止などの厳格な措置をとっています。具体的なテクノロジーとしては、配達パートナーがオンラインになる際、アプリ上でヘルメットの着用などを確認するセルフチェック機能や、AIを活用した厳格な本人確認システムを導入しています。また、不定期にアプリ上でパートナーの確認を行っており、お顔を動かしてもらうチェック機能で写真やなりすましではない本人であることをマメに確認しています」


フードデリバリーの枠を超えた「総合プラットフォーム」への展望



――配送手段の未来として、ロボットの導入状況についても教えてください。



「日本では現在、東京と大阪で自動配送ロボットの運用を行っています。この技術は、特に日本において重要な意味を持ちます。日本には人口密度が非常に低く、配達員を確保することが難しい地域があります。そうした場所で自動配送ロボットという選択肢を広げることで、移動のギャップを埋め、どんな場所に住んでいても食料品や日用品にアクセスできる環境を作っていきたい。これはダラ・コスロシャヒCEOが、日本におけるUber Eatsを含むUberサービスに20億ドル(3,100億円)の投資を表明した際にも強調した『社会インフラとしての構築』の一環です。」



――フードデリバリーの枠を超えた「総合プラットフォーム」としての展望をどう描いていますか。



「私たちは、人の動きとモノの動きの両方においてイノベーションを起こし、それらを統合した『総合インフラ』を目指しています。その象徴的なサービスが、昨年日本でもローンチした『Uber Courier(ウーバー・クーリエ)』です。これは韓国などで先行していた『個人から個人へ』荷物を送ることができるクーリエ・サービスです。忘れ物を届けたり、友人にプレゼントを贈ったりと、Uberのアプリ一つで、タクシーを呼ぶのと同じような手頃さで物を送ることができます。先日の来日時にダラCEOが石川県加賀市を訪れましたが、そこではコミュニティベースの公共ライドシェアが始まっています。こうしたモビリティの空白を埋める取り組みと、Uber Eatsの『何でも届ける力』が合わさることで、日本のどんな地域に住んでいても豊かな生活を享受できる未来を作りたいと考えています」


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日本への上陸10周年を節目に、20億ドルの投資で事業を加速させるUber Eats。ユリア氏が語ったのは、単なる外資系デリバリー企業の戦略ではなく、日本の人口減少や物流クライシス、インフレといった切実な社会課題に対し、グローバルな知見とローカライズされた技術で真っ向から挑む「公共インフラ」としての姿だ。



楽天との融合によるコストパフォーマンスの追求、ロボットやAIによる配送の最適化、そして離島までをも網羅しようとする「Go Anywhere, Get Anything」への熱意。Uberが日本の「移動」と「物流」のあり方を変えていくのか、その動向に期待したい。(宮崎新之)

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