降雪と低気温で急きょ開催中止となったニュルブルクリンクでの2026年NLS開幕戦 ADAC RAVENOL Nurburgring Langstrecken Series(NLS/ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の2026年開幕戦、第71回ADACヴェストファーレンファートが3月14日にドイツ・ニュルブルクリンクで開催予定だったが、前夜からの降雪と低気温のため、安全上の理由から中止された。
133台ものエントリーを誇り、待ちに待った2026年NLSの開幕戦。参加者はもちろんのこと、数多くのファンが非常に楽しみにしていたイベントだ。時代とともに大会の名称は変化があったものの、今年はNSLが50周年を迎える記念すべき年を迎えた。
日本からはSP-9クラスに32号車メルセデスAMG GT3をドライブするTOYO TIRES with Ring Racingの中山雄一、フェラーリ296 GT3エボの45号車REALIZE KONDO RACING with Rinaldi、SP-10クラスには170号車トヨタGRスープラGT4でエントリーするTOYO TIRES with Ring Racingから中山と奥本隼士、SP-2Tクラスに109号車と110号車でダブルエントリーしたTOYOTA GAZOO ROOKIE Racingには豊田大輔と中嶋一貴がトヨタGRヤリスをドライブ。VT2-RWDクラスの520号車TOYO TIRES with Ring RacingのトヨタGRスープラGT4にはトーヨータイヤ社員でありグランツーリスモ世界王者の宮園拓真に加え、川畑真人と堀野仁というドリフト界のトップドライバーが名を連ねるなど、バラエティ豊かなラインアップがニュルブルクリンクに集った。
KONDO RACINGを率いる近藤真彦監督は、新ドライバーとの顔合わせやニュルブルクリンク24時間レースの本番を迎えるまでの準備にあたり、スーパーGTや全日本スーパーフォーミュラ選手権などが開幕を間近に控える多忙のなか、さまざまな打ち合わせのために超短期滞在ではあったが、ニュルまで足を運んだ。
設営日の3月12日には穏やかな天候に恵まれていたのだが、その翌日の専有走行の時間帯からニュルブルクリンクは激しく冷たい雨と強風に見舞われて寒さに震え、翌日の天候がすでに危ぶまれていた。
ニュルブルクリンクが位置するアイフェル地方は、森に包まれた丘陵地が広がるために天候が変わりやすく、天気予報はあまりあてにならないほどに気まぐれ。地元人には典型的な『アイフェルヴェッター(アイフェルウェザー)』と称され、日本人には『ニュルウェザー』として有名。特に毎年のNLS開幕戦の時期は、ちょうど冬から春への季節の変わり目でもあり、そのニュルウェザーに振り回されることも多く、あえて開幕戦の参戦を見送るチームもあるほど。
ここ最近のドイツは春らしい陽気に包まれ、穏やかな天候の日々が続いていたため、今季のNLS開幕戦は素晴らしい天候下で開催されることに期待を寄せられていたものの、悪天候の影響で中止となり、見事に裏切られる結果となった。
ニュルウェザーを初体験した奥本は「こんなに寒いとは思いませんでした。これぞ初めて体験するニュルウェザーで、いきなりその洗礼を受けました」と語った。奥本はニュルへの挑戦を始めたばかりとあり、いち早い天候の回復と1周でも多く走ることを待ち望んでいたものの、残念ながらそれが叶う事はなかった。
NLS開幕戦が開催されるはずだった3月14日は、ニュルブルクリンク近郊の市町村はもちろんのこと、パドックやノルドシュライフェ(北コース)にも積雪が見られた。部分的に濃霧にも苛まれていたものの、8時30分開始予定の予選に向けて、各チームは早朝から準備に勤しんでいた。
しかし、まずは予選開始を前にしてレースディレクターから『予選延期』の告知があり、その後も何度かレースコントロールとの協議が行われ、この日の天候や気温の回復が見込めるのか、レース開催が可能かどうかの路面チェックや話し合いが何度も行われたが、11時を前にレース中止の公式発表がなされた。
この日の気温は1℃前後ではあったものの、風も非常に強かったことから体感温度はさらに低く感じた。ピットロードの路面温度は3℃で、さらに高緯度に位置するノルドシュライフェでは路面温度がさらに低くなることが予想されるうえ、低気温で積雪や降雪、みぞれが降るなかでの危険度の高いコンディションでタイヤのグリップはまったく見込めず、安全面を考慮してやむを得ない中止判断となった。
中止が発表される前には、すでにシューベルト・モータースポーツ、マンタイ・レーシング、ROWEレーシング、ウインワード・レーシングなど、主要GT3チームらは安全面を考慮して独自に参戦中止を決定。ドライバーらは早くも帰路につき、撤収作業を開始するチームも数多くみられた。
ニュルの有名ギャラリーコーナーのひとつであるブリュンヘンには、レース前日から数多くのキャンピングカーやテントが並び、迫力あるシーンを特等席で観ようと多くのファンが詰めかけていた。公式発表で中止が告知された後もその大半が残り、時折吹雪く寒空のなかでもバーベキューを楽しむ姿が見られた。
この中止により、実質的な開幕戦となるNLS第2戦の第58回ADACバーバロッサプライスは3月21日に開催される。5月14〜17日に開催されるニュル24時間レースへの参戦を正式表明したF1ドライバーのマックス・フェルスタッペンが、このNLS第2戦にニュル24時間へのリハーサルとして参戦することが予想されている。それだけに、ドイツ国内のみならず、フェルスタッペンの故郷である隣国オランダをはじめ、世界中から多くのファンが応援に駆け付けるに違いないだろう。
[オートスポーツweb 2026年03月16日]