勝負を分けたアウトラップ。王者au坪井翔に敗れ、2位で落ち込むKeePer小林利徠斗「プロの技をまだ習得できていない」

0

2026年04月12日 21:20  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

GT500デビュー戦ながら、レース後に肩を落とし、虚な表情を見せた小林利徠斗(KeePer CERUMO GR Supra)
 GT500のデビュー戦で2位を獲得した38号車KeePer CERUMO GR Supraの小林利徠斗だったが、レース後の表情は暗かった。ポールポジションからスタートしたチームメイトの大湯都史樹がキープした首位で小林はバトンを受けて第2スティントに臨んだものの、文字どおり、GT500の洗礼を浴びる形となってしまった。

 大湯が築いた約4秒の差を受けて、33周目にピットインで交代して第2スティントに臨んだ小林。アウトラップでトップを守ったものの、1周早くピットインしていた36号車au TOM'S GR Supraの坪井翔に徐々に迫られていく。

 38周目には前を走っていた37号車Deloitte TOM'S GR Supra、そしてGT300のマシンに詰まる形となったところで、アトウッドからバックストレートでアウト側から坪井に並ばれ、実質トップの座を奪われてしまった小林。結局、2位でデビュー戦を終えることになった。

「挙動は非常に良くて、タイヤをなるべく早く温めないとなという状況だったんですけど、そんなのを考えたのは一瞬で、あっという間に36号車がすぐ後ろに来てミラーに映ってきて、前の37号車に詰まり、本当にあっという間に抜かれましたね。ちょっと情けないですね」

 オーバーテイクしていた坪井が「そこが一番のチャンスだと思っていた」と話すように、GT500のレースでルーキーにとっては最大の鬼門となる、コールドタイヤでのアウトラップの難しさ。その難しさを小林に聞く。

「(昨年までの)GT300とは違いますね。タイヤが違うというより、GT300は電子制御に頼れるので限界も掴みやすいですし、限界付近で走りやすいですけど、(GT500は電子制御がないので)そこに頼れないのと、それっぽくは走れるんですけど、たぶんそれっぽくじゃダメなんですよね」

「もっと、さらに速く走りつつどんどんタイヤをあたためなきゃいけない。そのプロの技をまだ習得できていないので、もう少しずつ詰めていく必要があるのかなと思います」

 当然、ニュータイヤでのアウトラップの経験は少ない。さらには相手は4連覇を狙う絶対王者のトムス坪井。ルーキーが戦う相手としては、荷が重い相手と言わざるを得ない。

「自分なりには結構(アウトラップ)行っていたと思いますし、走っている感触自体は悪くないんですけど、それ以上に36号車の詰めてくるペースが速い。どんなペースでアウトラップを走っているのか考えたら、まだまだ足りていないんだろうなと思います」

 さらには、坪井のオーバーテイクのスキルにも驚かされた。

「本当にあっという間に抜かれましたね。36号車が37号車に詰まってくれればと思ったんですけど、そんなこと考えてる間に37号車も抜いて行ったので、やっぱそこも差なんでしょうね。後ろにいるとやっぱりダウンフォース抜けがするのですけど、そういうところの上手な走り方とかタイヤの使い方とか、いろいろあると思うので、課題だらけですね」

 その後も、36号車坪井とのギャップは広がっていき、小林とは約20秒の差がついてのフィニッシュとなった。小林にはGT500で約50周という後半スティントのロングランの経験も初めてだった。

「GT500でここまでの連続走行はないですね。タイヤのグリップは落ちましたけど、意外と大丈夫だったのですけど……なんでしょうね……ペース配分というか、そのタイヤと燃料をどのタイミングで上手に使うかというところが、まだちょっと足りてなかったかなと思います」

 それにしても、GT500のデビュー戦で予選ポールポジション、決勝2位でここまで落ち込むルーキードライバーも珍しい。

「ポールも2位も大湯さんと速いクルマを作って頂いたチームのおかげが大半なので、僕は今のところ本当にただそこについているだけという面が強いので、そこですね。僕の実力はまだそこにないと思うので、いちで早くそこに持って行かなきゃいけないなと思ってます」

 それにしてもデビュー戦でアウトラップ勝負、GT300の処理とオーバーテイク、実戦でのロングラン、そして何よりトップ争いなどなど、まさに1戦で全部のせで経験できたことは、言い換えればドライバーのキャリアとしてこれ以上ない幸運とも言える。

「そうですね。すごくいい経験をすることができた。あとは無事にやっぱりレースを完走できたので、そこは良かったなとは思います」

 レース後の立川祐路監督は、今回の小林について「まあ、悔しさは当然ありますけど、上出来ですよ。利徠斗にとっては初戦ですからね。僕は十分だと思っています」と小林の活躍を讃えた。

 小さな手応えと本人なりの大きな反省を得たデビュー戦、GT500にまたひとり、楽しみなドライバーが加わった。

[オートスポーツweb 2026年04月12日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定