「残価設定型ローン」のデメリット3つ《経済のプロ荻原博子が徹底解説》

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2026年05月08日 11:10  web女性自身

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不動産価格が高騰しています。1月1日時点の土地の価格を表す「公示地価」は、住宅地の全国平均が前年より2.1パーセント、5年連続の上昇です(2026年3月、国土交通省)。また、2025年度の新築マンション価格は首都圏の平均で約9千400万円、東京23区では1億3千800万円にのぼります(2026年4月、不動産経済研究所)。“不動産バブル”が疑われる状況です。



そんななか、住宅ローンの負担を抑える「残価設定型住宅ローン」が3月に登場しました。自動車などを分割払いで購入する際に使われる「残価設定型クレジット(残クレ)」と似た仕組みです。



自動車の残クレは3〜5年後に買い替える前提で、その時点の下取り価格(残価)を設定し、残価を除いた金額でローンを組むものです。住宅の場合も、たとえば6千万円のマンションの20年後の価値(残価)を2千万円と決め、残価を除く4千万円でローンを組むのが残価設定型住宅ローンです。借入額を減らせるので、月々の返済額を抑えることができます。



■地震など壊滅的な被害でも住宅の残価は保証されるのか



そして、残価を除いた住宅ローンの終了後には3つの選択肢が用意されています。1つ目は自宅を売却して残価を清算する方法です。老後は子供宅のそばに住み替えたい人などによいでしょう。残価は移住・住みかえ支援機構(JTI)が保証するため、自宅の市場価格が下がっても「家を売ったのにローンが残る」心配はありません。



2つ目は自宅を担保に残価分を借り入れ、返済額を金利+α程度に抑える方法です。住宅ローンの負担を抑えつつ自宅に住み続けたい人向けで、契約者と配偶者の存命中は自宅に住み続け、死亡後に自宅を売却して清算します。



3つ目は残価分を一括払いやローンを組むなどして支払う方法です。一般の住宅ローンと同じで、完済すれば自宅は自分のものです。



ただし、残価設定型住宅ローンにはデメリットもあります。



まず、利用できる住宅が限定的な点です。耐震性や省エネ性能など、JTIが認定した長期優良住宅でなければなりません。



次に、JTIの長期メンテナンスプログラムを実施し、住宅の品質維持が必須条件です。当然メンテナンスには費用がかかります。



さらに、通常の住宅ローンより総返済額が増える可能性があることです。返済期間が延びれば金利負担が増えるうえ、JTIの手数料なども必要だからです。



住宅は長期間たつと、住む人や環境などで価値が大きく変わります。残価はJTIが保証するといいますが、たとえば地震などで壊滅的な被害を受けた場合も保証されるのかはわかりません。



また、銀行などは、複雑で手間や費用負担が大きい残価設定型住宅ローンには消極的なようです。



老後の住宅ローン負担を抑えたい人は多いと思いますが、残価設定型住宅ローンの利用は、もっとシンプルで安心な方法に改善されてからが賢明だと思います。



【PROFILE】


おぎわらひろこ


家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数。

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