なぜ歯を磨かない男は「夜」もダメになるのか?歯科医が警告。歯周病とEDの意外な関係

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2026年06月05日 16:20  日刊SPA!

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歯科医師の野尻真里
「最近、なんとなく元気がない」「常に疲れている」
そう感じる男性は多いのではないでしょうか。原因は、ストレス、疲労、年齢だと思っていませんか。しかし、そのなんとなくの“不調”、実は“口の中”から始まっているかもしれません。

仕事終わりの深夜ラーメン。タバコ。睡眠不足。そして“歯ぐきからの出血”を見て見ぬふり。そんな生活習慣が、実は口の中だけでなく、全身のコンディションに影響している可能性があります。

歯周病は、単なる“歯ぐきの炎症”と思われがちですが、近年では、糖尿病や動脈硬化など全身疾患との関連も指摘されています。そして今、ある“男性特有の悩み”との関係にも注目が集まっています。それが、ED(勃起不全)です。

「下半身の問題と歯なんて関係あるの?」

そう思う人ほど、ぜひ最後まで読んでほしいです。

◆歯周病は“口だけ”の病気ではない——全身疾患への入り口

歯周病というと、「歯ぐきが腫れる病気」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。たしかに、歯周病は、歯の周囲全体が炎症することで、歯茎の腫れを引き起こします。そして、痛みがないまま進行し、気づいた時には、歯の支えである骨を溶かしてしまう口内の病気です。

しかしただ歯を失うだけの病気ではありません。近年では、歯周病による慢性的な炎症が、全身の健康にも影響を与える可能性が指摘されています。歯周病菌や炎症性物質が血流に入り込むことで、糖尿病、動脈硬化、心血管疾患などと関連があることが明らかになっているのです。

つまり歯周病は、単なる“歯ぐきの炎症”ではなく、全身疾患への入り口とも言えます。そしてその影響は、男性の“夜の悩み”とも無関係ではないのです。

◆“男の自信”にも関係する可能性

ED(勃起不全)は、加齢が主な原因と思われがちです。しかし実際には、ストレス、睡眠不足、生活習慣病、そして血流の状態など、さまざまな要因が関係していると言われています。その中で近年注目されているのが、慢性的な炎症である“歯周病”です。

歯周病は、歯ぐきの炎症が長期間、慢性的に続きます。その影響が全身に及ぶ可能性について、さまざまな研究が行われており、関連性が分かっています。

台北医学大学の行った追跡研究では、ED群に占める慢性歯周炎の人の割合は27%、EDではない群は9%と大きな差があったことを報告しています。

また、トルコの研究でも、ED患者の53%が重度慢性歯周炎なのに対して、EDではない人では23%と、差があったことが報告されています。

もちろん、「歯周病だからEDになる」と単純に言い切れるものではありません。しかし、EDは陰茎内部に何らかの理由で血液がスムーズに流れないことで生じますが、その原因の一つが「血管内皮細胞の機能低下」です。歯周病による慢性的な炎症は、この血管内皮細胞を傷つけているため、EDと深い関連があると考えられているのです。

◆EDだけではない。“口の衰え”は身体の不調のサインかもしれない

歯周病との関連が指摘されているのは、EDだけではありません。

近年では、糖尿病、動脈硬化、心血管疾患、さらには認知機能との関係なども研究されています。

もちろん、「歯周病がすべての原因になる」という話ではありません。ただ、身体に生じている慢性的な炎症を放置することが、全身の健康に影響を与える可能性は、以前より強く意識されるようになってきたと思います。

お口は、栄養や酸素、コミュニケーション(発語)の入り口であるため、そこから考えても、全身の健康に影響を及ぼすことは言うまでもありません。

お口の中の血管は全身の血管に繋がっており、慢性的な炎症が長続きすることで、歯周病菌は全身へと運ばれてしまうのです。

“口の違和感”は、身体からの小さなサインなのかもしれません。

◆歯医者に行っていない人の口内あるある

歯周病と全身の関連性や恐ろしさを感じて頂けたのではないでしょうか。歯医者に行っておらず、口内で歯周病が起こり始めているサインを紹介します。

一つでも当てはまったらもう歯周病に片足を突っ込んでいるかもしれません。

・歯磨きをすると血が出る
・歯ぐきがムズムズする
・物を噛むと鈍痛がするときがある
・歯を舌で触るとザラザラする
・歯ぐきが下がって歯が伸びた感じがする
・知覚過敏が強くなった
・歯ぐきの見た目が赤い、腫れぼったい
・口臭が気になる

そもそも、フロスや歯間ブラシを使っていない人は、すでに隠れ歯周病の可能性が大です。

◆健康は歯ぐきで決まる時代

口臭や歯ぐきの腫れ、歯周病の初期症状は自分では気づきにくいものです。知らない間に進行し、知らない間に全身に悪影響を与える。

そんな歯周病は早期に発見し、炎症を抑えることが重要になります。

毎日の歯磨き。歯間ブラシ。定期検診。

一見地味に見える習慣こそ、未来の自分を守る投資になるのです。

まずは今夜、鏡の前で自分の歯ぐきをじっくり見てみてください。赤く腫れていないでしょうか?

そして、明日の通勤途中にでも、コンビニでデンタルフロスを買ってみてください。そんな小さな一歩があなたの「男の活力」を守る投資になるのです。

実際、私のクリニックに来院される男性患者さんでも、お口のケアを怠っている人ほど「最近疲れやすくて……」と仰られるケースが少なくありません。

口腔内の健康状態が、全身のコンディションと無関係ではないことは、多くの専門家が指摘しています。お口の血管は全身と繋がっています。単なる“歯ぐきの炎症”と侮るなかれ、です。

<文/野尻真里>

【野尻真里】
一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。X(旧Twitter):@nojirimari

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