南野、三笘に続き、遠藤まで…主軸を欠いた日本代表がオランダ代表に勝つ手段を考える「狙うべきは“慢心”」

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2026年06月13日 16:20  日刊SPA!

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急遽離脱した遠藤航。現地ナッシュビルでの合宿では、リラックスした表情で練習に臨んでいたのだが…… ©産経新聞
いよいよFIFAワールドカップ2026が開幕した。グループFに属する日本代表は、アメリカのダラスで現地時間14日15:00(日本時間15日5:00)に、オランダ代表との初戦を迎えることになる。過去3回戦って1分2敗と1度も勝ったことがない相手との対戦になるが、「目標は優勝」と公言する日本代表にとっては負けられない相手であり、いきなりグループリーグの山場を迎えることになった。
◆出場国増でより過酷な大会に

今大会はアメリカ、メキシコ、カナダの3カ国共催で行われる。また、出場チームも48カ国に増え、過去最大の大会となる。規模が大きくなったというだけではない。全体の試合数が増えただけでなく、優勝するまでの最大試合数も増えた。暑さのなかで試合数も増え、過酷な日程になったともいえる。

さらに、今回は気温などの環境以外にもチームによっては移動、標高差、時差といった問題ものしかかってくる。英サッカー専門メディア『Squawka』の調べによると、グループリーグ3試合で最も移動を強いられるのはキュラソーで1万キロ超となっており、開催国のひとつメキシコが最少で1000キロちょっととなっている。また、メキシコの開催都市メキシコシティ(標高約2300メートル)とグアダラハラ(標高約1600メートル)はいわゆる高地といわれるところで、高地順応を強いられるチームもある。ちなみに、チェコは3試合合計で約3300メートルの高低差を味わうことになっている。

日本代表に関していえば、グループリーグでの総移動ルートは約7500キロ超となり、8番目に道程が長い。同じグループFのオランダは約3600キロ、チュニジアは約3200キロ、スウェーデンは約2700キロとなっており、日本だけが倍以上の距離を移動しなければならない。標高差はグループリーグでは支障があるほどの差はないが、仮に3位通過だった場合、決勝トーナメントの1回戦、2回戦をメキシコシティで戦う可能性も出てくる。そうなると実質2日間で、2000メートル近く高くなる環境に順応しなければならなくなってしまう。

初戦のオランダ戦ではさほど過度の負担になることではないが、時を追うごとにゆがみは出てくる。大会期間中のコンディション調整は重要であり、初戦のオランダ戦で勝ち点を得ることで、のちの戦いを楽に進められることがわかる。

◆キャプテン離脱の逆境をどう見るか

さて、そのオランダにどうやって勝つのかーー。オランダはワールドカップの優勝経験こそないものの、過去に3回もファイナリストに名を連ねている。2018年のロシア大会では予選で敗退してしまったが、前回のカタール大会ではベスト8に進出。2024年にはヨーロッパの国々でタイトルを争うEUROでベスト4入りを果たしている。ポーランドなどと同組になった予選は無敗で突破を決め、今回こそ優勝と意気込んでいる。

強豪と初戦で戦うことになった日本だが、ここ数年で相手が優勝候補であろうと勝てるということを実力で証明してきた。以前のような絶対的な差はなく、十分に勝てる可能性を秘めている。それでもフィルジル・ファン・ダイクやコーディ・ガクポなどワールドクラスをそろえるオランダは強く簡単な相手ではなく、グループリーグの最難関であることは間違いない。

しかも、日本は南野拓実や三笘薫ら主軸を負傷で欠くなか、キャプテンの遠藤航も欠くことになってしまった。メディカルスタッフは何をもってOKを出したのか、代替招集したのがFWの町野修斗だとか疑問を感じる部分はあるが、いずれにしても遠藤が離脱した影響は決して小さくない。だからといって、オランダに勝てないかというと、それは違う。今の日本はそれほど選手層は薄くない。マインド面、メンタル面を考慮すると、遠藤の代わりなど存在しないが、そういった精神面も含めて補い合えるだけの選手はそろっている。

日本は主軸を欠く状態だが、これまで積み上げてきたものを発揮すれば十分に勝つチャンスはある。先に挙げたファン・ダイクやガクポなどに代表されるように、オランダの選手は体が大きく速くて巧みな選手が多い。速くて巧みという点では日本も負けてはいないが、高さは如何ともし難く平均身長は4センチ近く差がある。とはいえ、オランダはロングボールを多用するチームではない。それゆえに注意すべきはセットプレーになる。特にファン・ダイクはDFながらヘディングシュートの技術も一級品で、マークをはずすのもうまく、隙を見せればたちまちやられてしまうだろう。

◆佐野海舟が鍵を握る「中盤の奪いどころ」

そんなオランダはロングボールこそ多用しないもののゴールへ向かう縦へのスピードが速い。ボールを奪ってから2〜3本のパスで決定的なチャンスをつくり出せる技術とスピードを持っている。ただ、高い技術を持つが故の慢心かもしれないが、縦へ急ぎすぎるきらいがある。つけ込むとしたら、つながる可能性の低い縦パスを出した場面。本来であれば、リスク管理を意識したポジショニングに優れた遠藤を欲する場面ではあるが、急成長している佐野海舟にその役目を期待したい。

オランダの慢心は守備時にも見られる。個々の能力が高く、1人で守り切れると過信しているのか、カバーリングなどリスク管理を意識したポジショニングが疎かになることがある。高い位置でボールを奪えれば、チャンスになる可能性は高い。特に、オランダはカウンターに対してセンターバックの2人で守り切れると想定しているようで、実際にその壁は世界でも屈指に強いのだが、サイドのスペースはがら空きになりがちである。だから、奪ったあとはサイドのスペースを使って相手ゴールに迫り、素早いトランジションから思い切りのいい駆け上がりで最終的にゴール前で数的優位をつくり得点へとつなげたい。

しかし、オランダはビルドアップ能力も高い。おそらくセンターバックはファン・ダイクとヤン・ポール・ファン・ヘッケになるだろうが、パスミスはほぼない。そこにMFのタイアニ・ラインデルスやフレンキー・デ・ヨングが引いてきて数的優位をつくりながらビルドアップする。一見奪いどころがないように感じるが、実は2つの奪いどころがある。

◆オランダの隙を突く2つの急所とは?

ひとつはサイドバックだ。先述のように、オランダは良くも悪くも縦への意識が強く、後方でボールを回すときもバックパスは少なく、センターバックも高い位置取り。オランダの狙いとして、左のガクポや右のクリセンシオ・サマーフィルといった両ウイングがウイングバックの裏を狙ってくる。裏へ出せなかったときのパスはセンターバックやMFに戻されるのだが、フリーの確認や単純にボールの質などで雑になりがちだ。パスが乱れる瞬間が日本のひとつの狙いどころなるが、少しずれてしまうとたちまちピンチに陥る。日本はFWとシャドーの3人でボールをサイドへ追いやることになる。

そうなったときに奪いにいくのはウイングバックになるのだが、ウイングバックが相手のサイドバックにプレッシャーに行くということは、相手のウイングを誰がマークするという問題が出る。オランダは元よりウイングバックの背後を狙っているため、相手ウイングをフリーにしてしまえばピンチになってしまうということだ。

その場合、最も近いセンターバックがマークを請け負うことになるのだろうが、この受け渡しは寸分の狂いなく実行できる連動性がなければ、失敗が即失点という可能性を十分に秘めている。ただし、敵陣の深い位置で奪えればそのまま相手ゴール付近まで迫れる可能性が高いうえに、最終局面での数的優位もつくりやすくなるので積極的に狙っていきたいところだ。

もうひとつの奪いどころは最終ラインと中盤の間になる。最終ラインを素早く崩せない遅攻の状況になると、その間のスペースへパスが供給されることが多い。また、相手はライン間から連動して次にできたスペース活用しながらゴールへ迫ってくる。

実際に狭いスペースでもボールを受け切れる技術があり、敵の足元からボールを奪うことはなかなか困難ではあるが、ここにもオランダの慢心は潜んでおり、ほぼスペースがないような状況でも積極的にライン間へパスが供給される。

ミスを見逃さずにボールを奪い切りたい。展開するには相手の人数もそろっているのでなかなか困難ではあるが、奪った直後には必ずサイドバックの裏にスペースは空いているので、攻撃の狙いどころとしては同じになる。

◆勝敗を分ける「サイドの攻防」に注目

長々と細かく解説したが、勝敗のポイントはサイドの攻防になり、見どころも間違いなくサイドの攻防になる。オランダのサイドバックは右にデンゼル・ダンフリース、左にミッキー・ファン・デ・フェンと高さ、速さ、強さを兼ね備えた選手になるが、隙がないわけではない。

日本はウイングバックに誰が出場するかがカギになり、守備的に長友佑都と菅原由勢あるいは伊藤洋輝と冨安健洋といったことも考えられる。こと攻撃面だけに関していば、伊東純也や前田大然といった猛スピードで上下動できる2人は相性がいいように映る。もちろん森保一監督は状況に応じて使い分けることも考慮しているはずだ。よって、采配が勝敗を分ける可能性も十分に考えられる。

<TEXT/川原宏樹>

【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる

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