来期“永世棋王”獲得に意欲 就位式で4連覇の藤井棋王

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2026年06月17日 15:20  OVO [オーヴォ]

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日本将棋連盟の清水市代会長(左)から棋王就位状を贈られた藤井聡太棋王

 藤井聡太棋王(23)の第51期棋王就位式(共同通信社、日本将棋連盟主催、コナミグループ特別協賛)が6月16日、東京都内のホテルで開かれ、将棋ファンら関係者約200人が、棋王4連覇を果たした藤井棋王を祝福した。来期5連覇を達成すると「永世棋王」の資格を得る藤井棋王は「来期は永世棋王がかかるので、より面白い将棋ができるよう精進したい」と“永世棋王”獲得に意欲を示した。

 前期と同様に増田康宏八段(28)を挑戦者に迎えた第51期棋王戦コナミグループ杯5番勝負は松山市で2月8日に第1局が始まり、藤井棋王が敗れる波乱の幕開けに。第4局までお互い一進一退の2勝2敗で迎えた第5局で最後まで冷静だった藤井棋王が、増田八段の果敢な挑戦を辛くもしのぎ、熱戦を制した。

 あいさつでこの熱戦に触れた藤井棋王は「今期はかど番に追い込まれる本当に苦しい戦いだっただけに、この場に立てることはこれまで以上にうれしい」と素直に喜びを表した上で「増田八段の局面の急所を見抜く鋭さに対して、自分は判断の甘さを痛感する場面が多かった。技術面、精神面共に課題を残す今期だったが、一方で成長のきっかけをつかむこともできた」と冷静に対局を振り返った。


 棋王戦を主催する共同通信社の井原康宏社長は、藤井棋王と親交のあった故丹羽宇一郎・伊藤忠商事元会長が藤井棋王の強さの要因として挙げた“藤井評”「人並み外れた努力家」「形勢や勝敗に一喜一憂することなく、真摯(しんし)に将棋と向き合う姿勢」を引用。「藤井棋王が今期見せた、追い込まれてからの強さ、読みの鋭さは、丹羽さんが挙げた、その人並外れた努力によるものとしか考えられない」と述べ、藤井棋王の日ごろの鍛錬に敬意を表した。


 日本将棋連盟の清水市代会長は「(負けたら終わりの)1勝2敗のかど番で迎えた第4局を制し、藤井棋王は“踏み込んで指すことができた”とインタビューで答えていた。追い込まれてなお強し、の感がある。第5局後のインタビューでは“幸運”だったと述べた。幸運はチャンスと準備が一致した時に実現する。最大限の準備とわずかなチャンスを逃さず勝利に結び付けた藤井棋王は、また一つ新たなステージに上がられた」と藤井棋王の勝負強さに言及した。

 棋王戦コナミグループ杯第1局を主催した愛媛新聞社の加藤令史社長は「明治9年(1876年)創刊の愛媛新聞は今年がちょうど150周年を迎えた。この記念すべき年に愛媛県で10年ぶりの棋王戦、それも日本将棋界をけん引する藤井棋王の初の愛媛での対局を実現することができた。愛媛の将棋ファンは喜び、2月7日の前夜祭も2月8日の大盤解説も共に大盛況だった。愛媛の小中学生4人が藤井棋王と増田八段の2人にインタビューする機会もいただき、子どもたちにとっては一生の思い出になった。愛媛ではなかなか見ることのできない将棋界の最高峰同士の対局を実現してくれた全ての関係者に感謝したい」と話した。


 第48期から棋王戦特別協賛を務めるコナミグループ株式会社の東尾公彦代表取締役社長グループCEOは「第48期以来、藤井棋王の4連覇と共に歩んだ4年間だった。立ち会った松山市の第1局は雪交じりのとても寒い日であったが、初手の張り詰めた空気と関係者の独特の緊張感がみなぎる中にあっても、藤井棋王は泰然とした様子でいつものように落ち着き払っていた」と20代にして周囲の大人たちを感銘させる藤井棋王の“王者のたたずまい”を称賛した。対局については「棋王戦の歴史に残る素晴らしい5番勝負だった」と述べ、名勝負を繰り広げた藤井棋王と増田八段の長丁場の熱戦をたたえた。


 お祝いに駆け付けた脳科学者の中野信子さんは「将棋のアマチュア棋士は対局中、論理的思考をつかさどる前頭葉(大脳皮質の前方部)を活発に使うが、プロ棋士はそうでもないと、対局時の両者の脳の働き方の違いを指摘した論文がある。その論文によると、プロ棋士は身体感覚で将棋を指しているような面があるという。先ほど藤井棋王にお聞きしたら“直観”のことやビジョンが浮かんでくる”というようなことを話されたので、この論文の研究結果と一致すると思った」と興味深い論文を紹介。

 その上でプロ棋士とAIとを比較し「前頭葉と同じような働きをするAI(人工知能)が学習データをくまなく取り込み終えて、世界のすべてのデータを“食い尽くした”と一部で指摘されているが、藤井棋王のようなプロ棋士はAIと違うアーキテクチャー(構造、設計)で“最適解”を見つけている。藤井棋王に最適解(最高の一手)が浮かぶプロセスはまだ分かっていない。私たち脳科学者はそこを知りたい」と話した。


 就位式後は、栃木県日光市で3月15日開かれた第4局を主催した下野新聞社の若菜英晴社長が「藤井棋王のますますのご活躍に期待したい」と述べて乾杯の音頭を取り、祝賀会に移行した。


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