
「皇室のあり方や活動の基本は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽をともにすることだと考えており、こうした皇族数の確保のあり方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」
6月11日、オランダ・ベルギー公式訪問に際した記者会見で、天皇陛下が皇族数確保策を巡る議論に関する質問に対して述べられた異例のおことばは、現在まで大きな反響を集めている。この発言を取り上げたXのある投稿は、7月上旬までに6900万インプレッションを超え、いいね数も37万件にまで増えている。
同日、この会見に先立ち、宮内庁の黒田武一郎長官も「国民のみなさまの理解や納得を得られるものとなるように願われているのではないかと拝察している」とほとんど同様の内容を話していたが――。
「長官が述べる“拝察”という言葉には、大変重みがあります。あくまで宮内庁長官の発言ではありますが、宮内庁長官という立場の人間が勝手に天皇陛下の思いを代弁することはありえません。定例会見などでの発言・発信は、ほとんどの場合、陛下にも事前に共有されることになっています。
今回にいたっては、黒田長官の“拝察”発言ののち、陛下が直後の記者会見で重ねるようにおことばを述べられています。つまり皇室典範の改正は、『国民の理解と納得を得た』内容であるべきという皇室の総意を、陛下は強くお示しになったということなのです」(宮内庁関係者)
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高市政権が今国会中の成立を目指す皇室典範の改正。与党の自民党や日本維新の会が“優先”する旧宮家の男系男子を養子縁組で皇族にする案に対しては、メディア各社の世論調査でも反対する声は根強い。
そのような状況下でなされた、前述の天皇陛下や黒田長官の発信と呼応するかのように、昨今、“皇室に近い”人物による発信も活発になっているのだ。
まず2005年から2012年まで、ご在位中の上皇さまを支えた元宮内庁長官の羽毛田信吾氏もその一人。6月26日、テレビ朝日の独占インタビューでは「民主主義のもとにおける天皇制ということを考えるならば、当然多くの国民の理解と共感を得て在り方が決まってくることは大事なこと」と語っていた。皇室担当記者は語る。
「2011年、羽毛田氏は宮内庁長官として当時の野田佳彦首相に、皇族数の減少を緊急の課題として、女性宮家創設の検討を要請していたこともあります。この要請も、黒田長官の“拝察”発言と同様、上皇ご夫妻のご意向が背景にあったと伝わります」
野田氏は、立憲民主党や中道改革連合の代表として、皇族数の確保策をはじめ皇室が直面する諸問題について自民党に対峙してきた。6月22日、インターネット番組に出演した野田氏は、自民党の麻生太郎副総裁について「麻生家が藤原家ではないか」「いくらなんでも、藤原道長じゃないか」と強い言葉で批判したのだ。
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「皇室典範の改正後、皇族が養子を迎えることが可能になれば、麻生氏の実妹である信子さまが養子を迎え、養子に男児が生まれた場合、その子は皇位継承権を持つ可能性もあるわけです。こうしたことから、養子案を第一として推進する麻生氏に対して、“平安時代に“外戚”となって権勢を誇った藤原氏のようになるつもりか“と、皮肉を込めて批判したのです」(前出・皇室担当記者)
なぜ野田氏が憤るのか。前出の皇室担当記者は、彼らが天皇家により近い環境にいることも理由ではないかと指摘する。
「まず宮内庁長官という立場は、宮内庁という組織のトップである以上に、日常的に天皇陛下の最側近として、その時々の懸案をはじめ、さまざまな相談を受ける立場にあります。また首相は『内奏』で、一対一で天皇陛下とお話しする機会があります。内奏は慣例上、原則一対一で行われ、天皇の政治利用を避けるため、一切内容を明かさないことになっています。
つまり、羽毛田氏と野田氏はそれぞれの立場で、当時の天皇陛下であられた上皇さまと直接お話しされてきたのです。この二人が、先日政府が閣議決定した皇室典範改正案の養子案を暗に批判している部分は注目に値するでしょう。天皇のお考えを直接伺う立場にあったからこそ、現在の高市政権が進める改正案に対し、皇室の方々が直面される状況への理解が深いのだと思います」
政権が皇室典範の改正に突き進む今だからこそ、“皇室に近い”人々の数々の発言に、耳を傾けてもいいのではないだろうか。
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