防衛省の安居院公仁報道官のX(旧ツイッター)アカウント 防衛省・自衛隊が対外的な情報発信を強化している。従来は定例記者会見での対応が基本だった統合幕僚長や背広組の報道官がX(旧ツイッター)のアカウントを立て続けに開設。正確な情報を迅速に広げることで、中国の「認知戦」に対抗する狙いがある。
防衛省の安居院公仁報道官は6月26日に自身のアカウントを新規に作成。1週間後の今月3日には、制服組トップの内倉浩昭統幕長(空将)も始めた。同省は伝統的に自衛官が前面に出ることに消極的で、異例の取り組みと言える。いずれも3万人以上がフォローする。
契機となったのは、一方的な主張を展開する中国の存在だ。安居院氏は開設直後の投稿で、日本を「新型軍国主義」などと批判した中国国防省の見解に対し、「事実に基づかない主張が含まれている」と即座に反論。その後、英語や中国語の翻訳版も掲載した。
一方、内倉氏の運用は今のところ抑制的だ。統合幕僚監部公式Xの投稿を引用し、補足的に説明するケースがほとんど。多国間訓練に参加した艦艇や航空機の動きを紹介した動画や、オーストラリアの在日大使館付国防武官として勤務してきた海軍大佐に感謝状を贈った際の写真を載せた。
ロシアのウクライナ侵攻も踏まえ、自衛隊は偽情報や印象操作による認知戦への対処を重視する。人々の判断に影響を与え、世論の誘導や社会の分断を図る作戦のことだ。X開設はその一環。小泉進次郎防衛相は16日の参院外交防衛委員会で「黙っているだけでは、うそも本当になりかねない」と力説した。
組織の公式アカウントやホームページもあるが、防衛省関係者は「正しい情報を出すチャンネルを増やす意義がある」と強調。人工知能(AI)の進展で偽情報の拡散がスピードを増した現状を見据え、「素早く反論できる環境も必要だ」と話す。
認知戦への対応について、京都外国語大の土屋貴裕教授(安全保障)は即時の反論と平素からの発信がカギになると指摘。「防衛省・自衛隊の情報は信頼できるという評価を、継続的に築けるかが重要だ」と語る。
統幕長や報道官の取り組みについては「機微な情報や内部の判断過程などを不用意に明らかにしないよう留意する必要がある」との考えを示した。

自衛隊制服組トップの内倉浩昭統合幕僚長のX(旧ツイッター)アカウント