【フォーミュラE東京/観戦ガイド】レースのポイントと基本情報をひとまとめ。今年は夜の公道で世界最速電動マシンが対決

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2026年07月22日 12:40  AUTOSPORT web

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東京ビッグサイト周辺の道路を駆け抜けるフォーミュラEマシン
 世界最速の電動レースシリーズ・フォーミュラEが、今年も東京の街を駆け抜ける。公道を舞台にした唯一の国際フォーミュラ選手権であるこのシリーズは、レースの進行方式や戦略が他のカテゴリーとは大きく異なる。初めて観戦する人はもちろん、毎戦追っているファンにとっても、東京大会を前にルールや基本情報を一度整理しておくことで、レースをさらに楽しめるはずだ。ここでは、観戦前に押さえておきたいポイントを改めておさらいしていこう。


●開催3年目の東京大会。今年は初のナイトレース

 フォーミュラEは2014年にシーズン1がスタートした比較的新しいカテゴリーで、創設以降マシンスペックのアップデートを重ねなており、今年でシーズン12を迎えている。東京ビッグサイト周辺を舞台とする東京E-Prixは2024年に初開催され、初めて日本の公道を舞台にした本格レースとして大きな注目を集めている大会だ。

 コースは東京ビッグサイト周辺の臨海エリアの公道を一部閉鎖して設置され、長いストレートとタイトなコーナーが連続するテクニカルなレイアウトが特徴だ。狭いコース幅によって生まれる予選での限界ギリギリのタイムアタックや、決勝レースでの接触スレスレの接近戦は東京E-Prixならではの緊張感をさらに高めている。

 また今年は大会初となるナイトレースとして開催され、ライトアップされた東京の街を背景に、これまでとはまったく異なる雰囲気の戦いが繰り広げられることになるだろう。


●マシンは基本ワンメイクも、一部開発競争アリ

 フォーミュラEのマシンは、世界初の本格電動フォーミュラマシンだ。現在使用されているのは『GEN3 Evo』と呼ばれるワンメイクマシンで、シリーズ史上最速のシングルシーターである。基本出力は300kw(約400馬力)で後輪駆動だが、前輪モーターも同時に使用した四輪駆動も可能で、最大出力は350kw(約470馬力)となる。

 四輪駆動を使える場面では、シリーズによれば0〜60mphを1.82秒で駆け抜けるといい、現行F1を上回る加速性能を備えている。なお最高速は公表値で時速322km(200mph)だ。四輪駆動が使えるのはレーススタート時のほか、予選デュエルやアタックモードといったフォーミュラE特有のルール下(後述)のみで、ここぞという場面で最大パフォーマンスを引き出せる仕組みだ。

 さらに最大600kWの回生ブレーキでレース中に必要なエネルギーの約半分をまかない、モーターのエネルギー効率は95%以上。環境性能と効率性の高さは、フォーミュラEならではの特徴と言えるだろう。

 また、現在のフォーミュラEマシンGEN3 Evoは、共通部品と自由開発領域が明確に分けられている。

 シャシーやボディ外装、バッテリー、電力回生用モーター、フロントブレーキ、フロントサスペンション、タイヤは全車共通で、シリーズ全体の安全性と公平性を保つ役割を担う。一方で、モーターやインバーター、トランスミッション、リアサスペンション、そしてそれらを制御するソフトウェアは各メーカーが独自に開発できる領域となる。おもに開発のポイントはエネルギー効率で、限られたエネルギーをいかに出力、回生、管理するかが最大の競争ポイントとなっている。


●観戦しやすいワンデイ開催。決勝は『アタックモード』で予測不能な展開に

 フォーミュラEのレースウィークは、主要セッションがレース当日に集中している点が特徴だ。前夜に1時間弱のフリープラクティスが行われることはあるものの、翌日は朝からフリープラクティス、予選、決勝が一気に実施されていく。観客は1日でシリーズのすべてを体感することができ、チームにとっては短時間で最適解を見つける俊敏さが求められる。

 予選は、最初に行われるグループ予選と、次いで行われるノックアウト方式の『デュエル』で構成される。まずグループ予選では、選手は2グループ(10名ずつ)に分かれ、出力300kW・リア駆動のマシンでタイムアタックを繰り広げる。各グループの上位4名が次のセッションへ進出し、下位6台はスターティンググリッドが確定する。

 各グループ予選を勝ち上がった計8名は、フォーミュラE特有の『デュエル』へ進む。ここでは、8台による1対1のトーナメント方式が採用されており、各対戦で2台のマシンが同時に走り出し、タイムで勝敗を競う。

 デュエルでは350kW・四輪駆動の使用が解禁され、マシンの最大性能を引き出した一発勝負に臨む。ウォールに囲まれた狭いコースにもかかわらず、0.001秒単位で競り合う迫力のアタックが展開される、見応え十分のセッションだ。

 決勝では、全20台が接近戦を繰り広げながら、限られたエネルギーをどう使い切って先頭に立つかが争点となる。さらに、土曜の第14戦(36周=92.70km)と日曜の第15戦(33周=84.97km)ではフォーマットが異なる点も特徴だ。

 戦略の軸となるのが、フォーミュラE特有の『アタックモード』と『ピットブースト(※土曜レースのみ)』である。通常時のマシンは出力300kW・リア駆動だが、アタックモードを発動すると一時的に350kW・四輪駆動が解禁され、オーバーテイクの強力な武器となる。アタックモードは特定コーナー外側に設置された一部区間を通過することで起動することができ、第14戦では6分間・1回の使用が義務付けられ、第15戦では計8分間を2回に分けて使う必要がある。この8分間は、2+6、4+4、6+2の3パターンで配分できる。

 一方の『ピットブースト』は、土曜の第14戦で義務化される30秒間の急速充電のことで、全ドライバーはレース中に必ず1度ピットインを行わなければならない。マシンのエネルギー残量が60〜40%に達すると、チームは急速充電機を用いてエネルギーを10%追加する。このピットブーストが導入されるレースでは、『アタックモード』は6分間・1回のみの使用となる。

 いずれも使いどころが勝敗を左右するため、フォーミュラEの決勝は、純粋な速さと戦略の妙が同時に味わえる。


●注目は世界の自動車メーカー VS ニッサン、ヤマハの日本勢

 こうしたフォーミュラEの魅力が凝縮された東京E-Prixは、すでに短い歴史の中で印象的な勝者を生み出してきた。初開催となった2024年大会を制したのは、当時マセラティMSGレーシングのマキシミリアン・ギュンター。翌2025年大会は1週末2レースで開催され、レース1をマセラティのストフェル・バンドーン、レース2をニッサン・フォーミュラEチームのオリバー・ローランドが制した。毎年異なる勝者が生まれる東京E-Prixは、コース特性や戦略の複雑さも相まって、誰が勝ってもおかしくないレースとなっている。

 フォーミュラEには世界の自動車メーカーやレーシングチームが参戦しているが、今年の東京でとくに注目を集めるのは、シーズン終盤のマニュファクチャラーズ選手権で上位を争うポルシェとジャガー、さらに日本のスーパーフォーミュラやスーパーGTでの活躍が知られるニック・キャシディが所属するシトロエン、そして日本勢のニッサンワークスとローラABTヤマハだろう。ランキング首位のポルシェとジャガーはランキング上位の常連で、どちらが先行して次の最終戦へ向かうのか、位置関係に目を配りたい。

 日本勢としては、ワークス参戦のニッサン・フォーミュラEチームに加え、ローラABTと提携してヤマハが参戦しており、2チームがシリーズに挑んでいる。ニッサンは今季ここまで1勝にとどまるものの、昨年ローランドが勝利を挙げた東京は相性の良い舞台であり、ホームレースで勢いを取り戻したい思いは強いはず。一方のヤマハは参戦2年目ながら上海E-Prixで初勝利を挙げ、明確に上昇ムードにある。2チームともに、ホームレースでさらなる躍進を狙える位置にいると言えるだろう。

 とはいえ、フォーミュラEは最後まで誰が勝つかわからないのが最大の魅力だ。現地で公道を攻めるマシンとナイトレースの雰囲気を楽しむもよし、展開をくまなく追いかけてウイナーを予想するもよし、自分なりの推しを見つけて応援するもよし。思い思いのスタイルで東京の特別な夜を楽しんでほしい。

[オートスポーツweb 2026年07月22日]

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