“傷ついた人の写真にトラウマ”原爆の悲惨な展示「見る」「見ない」子どもが選択に賛否【Nスタ解説】

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2026年08月06日 22:15  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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被爆81年を迎えた広島の「原爆の日」。原爆展示を子ども自身が「見る・見ないを選ぶ」という運用案が浮上し、議論となっています。

【写真で見る】悲惨な展示「注意書き」 修正案では“見ることが前提”の表現に

広島「原爆資料館」「見る」「見ない」子どもが選択?

高柳光希キャスター:
広島の原爆資料館は近年来館者数が増加しています。

理由は様々ありますが、例えばG7広島サミット、被団協ノーベル平和賞受賞、外国人旅行者の増加、国際情勢の混沌などが挙げられます。2025年度の来館者数は258万人で、3年連続過去最多となっています。

原爆の悲惨さを知ってもらうという意味では、原爆資料館に足を運ぶ人が増えるのは非常によいことです。ただ、修学旅行などで訪れる子どもたちが十分に見学できないという課題もあります。

そこで決まったのが、修学旅行生などを対象とした「子ども向けの展示」です。原爆で犠牲になった同世代の子どもたちの遺品や日記を中心に展示するというものです。2028年度から開設を予定しているということです。

また、悲惨な写真などの展示をするエリアで、壁で仕切ったり、入口に注意書きをしたりすることで「見る」「見ない」を子どもたち自身が判断をするという「選択展示」にするかが議論されています。

これまでそのような「注意書き」は、館内に表示されていなかったのでしょうか。

RCC報道制作局 隈元大樹 記者:
今までも原爆資料館の本館には注意書きが存在していましたが、大人や学校の引率の先生に向けた表示で、書き方が「ご留意ください」「凄惨な絵があります」という難しい表現になっていました。

子どもたちが通ったときにその注意書きを見てもなかなか理解が難しい、堅苦しい文面になっていたり、置かれている注意書きの場所も目立つようなところではなかっため、一応は存在はしていましたが、子どもなどはあまり気づかないような表示になっていたということです。

「全部知りたい」「小学生はちょっと…」選択展示に様々な声

高柳キャスター:
原爆の悲惨さを伝える展示を「見る」か「見ない」か。子どもたちが選択をする案について街で話を聞いたところ、様々な意見がありました。

──原爆資料館をご覧になってどうだった?

中学1年生(沖縄から / 選択展示賛成)
「(展示は)日本じゃないような感じがした。中学生はまだ見られるかもしれないけど、小学生はちょっと…」

高校3年生(沖縄から / 選択展示反対)
「ショックもあると思うんですけど、全部見たほうがいいかなと思うので、選択する必要はないのかな」

父(沖縄から)
「(選択展示のような方法も)必要かもしれないですけど、実際に日本で現実に起きたことを、みんなが知るというのも大事だと思うので。難しいですね」

──もし選択展示があったら利用した?

中学3年生(山形から / 選択展示反対)
「していないと思います。きちんと全部を知りたいからです」

母(東京から / 選択展示賛成)
「あっても良いのかなとは思いますね。これはこれで良いのかなと思うんですけど、夜泣きしないかとか、そういったところは思っていて」

東京でも同じ質問を聞いてみました。

30代(選択展示賛成)
「選択展示はありだと思います。内容によって(子どもの時に原爆資料館の展示物を見て)ドキドキ感が強くなっちゃって、本来知らなきゃいけないストーリーが、うまく入ってこなくなっちゃうタイプだった」

40代
「仕方がないんですかね。私は見せたいとは思いますけど。選択…時代なんですかね」

悲惨な展示見るか 子どもが選択に賛否

寺田さんは小学校6年生の娘さんがいらっしゃいますが、選択展示についてどのように感じていますか?

陸上100mハードル 元日本記録保持者 寺田明日香さん:
娘は昨年展示を見に行きましたが、「怖い」と言っていました。ただ、その「怖い」を、大人に言ってはいけないのではないかと思ったみたいです。なので、「あまり見られなかった」と言っていました。

その展示があることは、これほどの被害をもたらすことや、非核三原則の重要性、戦争はよくないということを考えるきっかけになるべきものだと思うので、怖いからと言って見ずに、その「怖い」だけが残ってしまうのは本意ではないのかなと思いました。

井上貴博キャスター:
一つの解がある話ではないと思いますが、個人的には選択性があっていいのかなと思っていています。海外では、例えばホロコーストの博物館や戦争博物館は、大体が選択制で、むしろアクセス制限をして、年齢制限をかけてエリア分けをしていることが一般的です。

何かを見て、ショックを受けて行動に移すことはもちろんあると思いますが、それよりも共感や共有したときに行動を起こすことの方が背中を押しやすいのかなと思います。それぞれの考えがありますが、私は選択性はあっていいと思います。

出水麻衣キャスター:
一度だけではなく、人生で何度も足を運んでほしい場所でもあります。無理に幼少期に行かなくてはならないわけではないのかなという思いもあります。

高柳キャスター:
まずは原爆について議論するということも重要なのかなと思います。街の皆さんからは「子どもが夜泣いてしまうのでは」という声も上がりました。

来館した小学生〜高校生の追跡調査では、放射線障害で斑点が出た兵士の写真や、火傷で皮膚がたれ下がる人の絵などを見て、1か月程度経過をしても、「就寝前に思い出す」「夢に出てくる」などストレス反応を示す子どもが、特に小学生の中にいたということです。

この点に関して、調査を行った広島大学の上手由香准教授は「“いったん見ない”という選択をすることも権利として守られていると、それだけで安心感が出てくると思う」と話しています。

一方で、実際に被爆を経験した内藤愼吾さんは、選択展示について「心理的な影響がありかわいそうだからと『見なくてもいい』という表示は絶対してはいけないと思う」と懸念を示し、悲惨な展示を見ることで、原爆の本当の恐ろしさが伝わると話しています。

目をそらさずに知ってほしいということを内藤さんは訴えています。被爆者の内藤さんが心配するように、仮に選択展示が行われる場合にはどのような表現で子どもたちに説明していくことが重要になってくるのでしょうか?

悲惨な展示「注意書き」 修正案では「見ることが前提」の表現に

隈元大樹 記者:
検討会でもより良い方向にと、ずっと議論が重ねられています。

最初の注意書きには「傷つき苦しむ人たちの写真や絵を展示しています」という説明書きの後に、「見ると気分が悪くなりそうな人は、ほかの展示物で原爆の被害を学びましょう」という表記でした。

この書き方では「他の展示物を見て学べるんだったら見なくていいや」と、本当は見て欲しい資料を見なくなる子どもたちが増えるのではないかという懸念が被爆者の方から出されたりしました。

そのため、その文言が修正され、「不安を感じる人は先生やボランティアに相談を。もし見学後につらいと感じたら展示室の外で休憩を」と、あくまで見ることが前提で、心理的な配慮と両立させるような文言になりました。

子どもたちが自分の意思で考えて学べるような説明方法をずっと模索を続けている状況です。

高柳キャスター:
一度見ないという選択をしても、その先、一生見ないこととは違うので、小学生にどのような選択をさせるかは非常に重要なところでもありますね。

井上キャスター:
注意書きのニュアンスは確かに難しいなと思います。ただ、展示の方法をどうするのかも重要ですが、「点」で考えるだけではなく、「なぜこれを知らなくてはいけないのか」「何で見るのか」という基礎情報は事前に知るべきだと思います。

見た後も何を感じてどう平和を紡いでいくのかを言語化するなど、事前と事後の教育がセットになるべきだと思います。

寺田明日香さん:
1回行くだけではなく、年齢を重ねて何度も見る中で、見て思うことは変わってくると思います。

なので、大人になったときに「戦争はよくないんだ」「広島でこんなことがあったんだ」と思いながら生きていくことができれば、小学生のときに見られなくても、本意だと思います。

そういう大人になっていくために、子どもにどう見せられたらいいかを考えるといいのかなと思いました。

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<プロフィール>
隈元大樹
RCC中国放送 報道制作局 広島市政担当
被爆者の声や原爆資料館の新展示議論を取材

寺田明日香さん
陸上100mハードル 元日本記録保持者
東京五輪で準決勝進出 “ママアスリート”の先駆者

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