画像提供:マイナビニュースLIFULL HOME'Sは、LIFULL HOME'Sマーケットレポート 2026年4-6月版を7月23日に発表した。調査は2026年4月1日〜6月30日の期間、同サイトで掲載された物件データおよび、ユーザーが不動産会社に問合せた物件(反響物件)データを月次で集計している。
2026年6月の賃貸物件の掲載賃料は、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)シングルタイプで100,574円(前年同月比+19.2%)となり、初めて10万円を突破した26年4月をピークに2ヶ月連続で下落した。一方、ファミリータイプは161,230円(同+16.4%)で、集計開始以降の最高値を更新している。
なお、近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府)では、シングルタイプが65,726円(同+10.6%)で集計開始以降の最高値を更新、ファミリータイプは90,459円(同+10.3%)で前月に次ぐ集計開始以降12番目の高さとなった。
首都圏では、ファミリータイプの反響数が2025年7-9月期以降、4四半期連続で前年同期を下回るなど、ファミリー層の住み替え需要(反響)は減少傾向が続く。一方で、住民基本台帳人口移動報告によると、東京圏における20〜34歳の2026年4〜5月の転入超過数は63,797人(前年同期比-1.4%)となるなど、首都圏外から流入する若年層(シングル層)を中心とした新規需要は底堅い状況が続いており、首都圏シングルタイプの反響数は、2025年4〜6月期以降、4四半期連続で前年同期を上回っている。
特に東京23区ではこれまで、そうした環境がシングルタイプ掲載賃料の上昇要因のひとつとなっていた。しかし反響賃料は、4月に初めて10万円を突破し、6月には100,252円と前年同月より上昇(+4.5%)しているものの、掲載賃料の上昇(同+16.7%)には追随できておらず、両者の乖離が拡大している。
そのようななか、首都圏シングルタイプにおける東京23区の反響シェアは、1-3月が50.1%で前年同期比-2.8pt、4-6月が51.4%で同-1.4pと、引越しシーズン(1-3月)にみられた反響シェアの郊外シフトは4-6月も継続しており、こうした需要の変化を受けて、東京23区の掲載賃料は調整局面に入っているものとみられる。
なお、2026年4-6月にユーザーが問合せた東京23区の物件のうち、新築物件のシェアは前年同期の4.2%から3.5%に、築1-10年は33.7%から30.4%に縮小する一方で、築11-20年は25.7%から26.1%に、築21-30年は12.9%から14.8%、築31年以上は23.6%から25.2%へと、反響物件に占める築古物件の割合が拡大している。築31年以上は86,809円と、新築・築浅物件に比べて依然として低い水準にあることから、賃料面で相対的に検討しやすい築古物件のニーズが高まっているものと考えられる。
2026年6月の中古マンション掲載価格は、首都圏シングルタイプで5,890万円(前年同月比+33.9%)、ファミリータイプで6,650万円(同+38.2%)と、いずれも集計開始以降の最高値を更新。近畿圏でもシングルタイプが3,627万円(同+44.3%)で集計開始以降の最高値を更新している。
特徴的な動向として、これまで首都圏ファミリータイプの価格上昇を牽引してきた東京都心6区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区)の掲載価格が、26年2月(1億8,063万円)をピークに4ヶ月連続で前月を下回り、6月は1億6,800万円となっている点が挙げられる。
2026年4-6月の都心6区の掲載物件数は前年同期比で+44.6%と大きく増加傾向に。しかし、掲載価格がピークとなった前期(1-3月)には全物件の21.3%を1.6億円台以上の物件が占めていたところ、4-6月にはその構成比が18.9%へと縮小。平均価格(6月:1億6,800万円)よりも低い価格帯である1億-1.5億円台の物件の構成比が20.7%から24.4%へと拡大したことで、平均価格を押し下げる要因となった。売り出し後に価格を改定をする物件の増加や値下げ幅の拡大も、平均価格の下落に拍車をかけている。
なお、実需層からのニーズがメインとなる1億-1.5億円台の物件では住宅ローンへの依存度が高く、反響数は増加傾向にあるものの、昨今の金利の上昇傾向や価格高騰に伴う予算の限界などが要因となり、成約に至らない物件が増えていると考えられる。
東日本レインズのデータによると、東京都区部全体では、2026年1月以降の中古マンションの成約件数は前年同月を下回る月が続いていることから、成約ペースが鈍化している市場に、それを上回るペースで新規の売り出し物件が流入し続けており、結果として在庫が大きく積み上がっていることがうかがえる。
さらに、6月には日銀が31年ぶりの水準となる利上げを発表。LIFULL HOME'Sの「住宅ローンに関する定期意識調査」(2026年6月)によると、利上げの発表を受けて購入検討者の57.4%が購入意欲について「やや慎重になった」と回答しており、今後金利動向に対する警戒感などが強まることで、住宅ローン利用層の成約ペースのさらなる鈍化や在庫の増加に繋がる懸念がある。
一方で、2億円以上の物件に対する反響数の増加はさらに顕著になっている。同価格帯の掲載・反響の増加は主に港区に集中し、なかでも麻布十番駅周辺エリアがその多くを占めている。これは、2025年から2026年にかけて引き渡しが行われている超大規模分譲マンションの中古市場での流通が本格化し、市場の強い関心を集めていることが大きく影響している。
しかし同時に、2億円以上の掲載物件数も前年比+95.6%と増加している。ランドマーク物件に反響が集中する反面、その他のエリアや物件においては、買い手のシビアな選別のもと、在庫が滞留し始めている。
2026年6月の中古一戸建て掲載価格は、首都圏で3,995万円(前年同月比+7.2%)、近畿圏で2,451万円(同+3.1%)となり、いずれも中古マンションに比べるとその上昇率は限定的なものとなっている。
これは、マンション市場では新築価格の高騰に伴う需要の中古シフトや投資マネーの流入といった上昇圧力が働いているのに対し、一戸建て市場は純粋な居住を目的とした実需層が需要の中心となっているため。LIFULL HOME’Sの流通物件では、2024年以降に、マンションと比べて一戸建ての反響割合が増加傾向にあるが、今後もマンションとの価格の乖離が拡大し続ければ、同じ予算でも広さを確保しやすい一戸建てへと目を向ける需要がさらに強まるものと見込まれている。
加えて、中東情勢の緊迫化を背景とする資材不足の影響で、現在新築住宅では住宅設備の供給不安や、引き渡しの遅延といったリスクが顕在化している。一戸建て市場は元来取引の8割以上を新築が占めるマーケットだが、前述した価格優位性のほか、引き渡しの確実性という観点からも、中古物件の価値が見直されており、今後は一戸建て市場においても実需層の中古シフトが本格化する可能性がある。
東京23区では賃貸・中古マンションともに"高騰一辺倒"から変化の兆しが見え始めている。一方で、郊外や中古戸建への需要シフトも進んでおり、市場は新たな局面を迎えつつあるようだ。(安藤美耶)