
クックパッドのポッドキャスト番組「ぼくらはみんな食べている」。食や料理に熱い思いを持ち活躍するゲストを迎え、さまざまな話を語ります。クックパッド初代編集長の小竹貴子がパーソナリティを務めます。第86回目・87回目のゲストは、料理教室「白崎茶会」主宰・白崎裕子さんです。
卵や牛乳、小麦粉を使わなくても、ふわふわのケーキが焼ける。そんなレシピで知られる白崎裕子さんは、著書『白崎茶会のあたらしいおやつ』『へたおやつ』が料理レシピ本大賞お菓子部門を2年連続受賞し、主宰する料理教室「白崎茶会」は今も予約の取れない人気ぶり。でも、すべての発端は、母親が始めた無添加豆腐屋の"まさかの大赤字"。クックパッドのポッドキャスト番組「ぼくらはみんな食べている」で、白崎さんが教室誕生の舞台裏を語ってくれました。
天然にがりのお豆腐屋、まさかの大赤字!
すべての始まりは、高校教師だったお母様が仕事を辞め、豆腐屋を始めたこと。無農薬の大豆を使い、天然にがりだけで低温で固める、当時としては珍しい作り方に挑戦していました。
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「オーガニックなのはいいけれど、売るほど赤字になる。そもそも、1丁に大豆を100グラムも使ってたので、作ったら全部売れないと赤字になるんです。それなのに失敗する。豆乳を、ギリギリの量のにがりだけで、固めるから、固まらない日があるんですよ。すると、大量の固まらなかったドロドロの豆乳ができるんです。」
固まらなかった豆乳を捨てるのはもったいないと、パンナコッタなどのデザートを作り始めたところ、豆腐よりも先にそちらの方が評判になったといいます。都内の自然食品店に置いてもらうと、オーガニックの豆乳で作ったデザートは珍しがられ、飛ぶように売れました。この余った豆乳への"もったいない精神"が、後の白崎茶会の味の原点です。
「オーガニックカフェを始めようと思ってやっていたわけではないです。大体、何かをやろうと思ってやってないんですよね」
そう笑って振り返る白崎さん。この後、白崎さんは豆乳デザートを組み合わせた紅茶のお店を始めることになりました。
通行人を呼び止めて始めた紅茶教室
紅茶屋さんを始めたものの、田舎では客が来ない。そもそも、紅茶自体がまだ今ほど馴染みのない時代でした。「これはダメだぞ」と一念発起し、紅茶教室を開こうとした白崎さん。でも、チラシを配っても新聞折込を入れても、誰も来ません。最後の手段としてポスティングも実施したけど、反応はゼロ。
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そういったなか、たまたま立ち寄った近所の「生活クラブの班長さん」が唯一申し込んでくれます。1人でも申し込みが入ってしまった以上、もうやるしかありません。
「私は店の前にも立って、朝、野菜を農協に運ぶ方を止めました。明日、午後1時からここで紅茶教室がありますよ、もうただ座って美味しい紅茶を飲んでお菓子を食べていただくだけでいいです、もう絶対来てくださいって言って、1人捕まえて。隣の家にもご挨拶に行って、お近づきの印にタダでいいので来てくださいって、3人集めて始めたんです」
こうして始まった紅茶教室は、口コミで一気に評判が広がり、最初の3人から100人規模にまで膨れ上がります。
でも、来てくれた生徒たちが興味を持ったのは紅茶そのものより、白崎さんの豆腐屋さんで余った豆乳を使って作っていたお菓子の方。教室の主役は、いつのまにか紅茶からお菓子へと移っていったのです。
紅茶屋なのに料理教室になり、時に豆腐屋の要素も混ざる。この店を何と呼べばいいのか、白崎さん自身も説明できなかったといいます。
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「お豆腐のお菓子もあるし、紅茶もあって、豆があるから豆のカレーもあってとか、ちっとも説明できなくて。今だとオーガニックカフェって言い方でわかるけど、当時はオーガニックって何、っていう感じだから、モダン茶会って呼んでいました」
その後、逗子の自然食品店に招かれて移住すると、店が持っていたカフェの名前を借りて「インズヤンズ茶会」に改名。さらに評判が広がり、葉山の古民家に移る際にはその店名も使えなくなり、行き着いた先が自分の名前を冠した「白崎茶会」でした。
「自分の名前を付けて白崎茶会にしたんですね」
紅茶屋、豆腐屋、そして名もない業態から、教室は少しずつ形を変えながら、今の名前に辿り着いたのです。
「モダン茶会」から「白崎茶会」へ
紅茶屋なのに料理教室になり、時に豆腐屋の要素も混ざる。この店を何と呼べばいいのか、白崎さん自身も説明できなかったといいます。
「お豆腐のお菓子もあるし、紅茶もあって、豆があるから豆のカレーもあってとか、すごい説明できなくて。今だとオーガニックカフェって言い方がわかるけど、当時はオーガニックって何、っていう感じだから、モダン茶会って呼んでたんです」
その後、逗子の自然食品店に招かれて移住すると、店が持っていたカフェの名前を借りて「インズヤンズ茶会」に改名。さらに評判が広がり、葉山の古民家に移る際にはその店名も使えなくなり、行き着いた先が自分の名前を冠した「白崎茶会」でした。
「自分の名前を付けて白崎茶会にしたんです」
紅茶屋、豆腐屋、そして名もない業態から、教室は少しずつ形を変えながら、今の名前に辿り着いたのです。
「1分に1回笑わせてた」予約殺到の理由
逗子時代の生徒さんには、小さな子どもを持つ母親が多く、卵や乳製品のアレルギー、アトピーなど、食事に悩みを抱える人も少なくなかったという。
「乳製品が食べられない子がいると、ファミレス行っても食べるものもないし、友達と会っても気を使われちゃうしって感じで。教室に来ると、みんなそんな感じだから、もう楽しんでリラックスして帰るって感じですかね」
当時はSNSもレシピ本もなく、卵や牛乳、小麦粉を使わずにふわふわのお菓子を作る方法は、白崎さんの教室でしか知ることができませんでした。この情報の希少性と、悩みを抱えた生徒たちを笑わせて元気づける教室の雰囲気が重なり、遠方からも人が集まる"予約の取れない教室"になっていきました。
年齢も肩書きも関係なく、みんなが平等に生徒として集まる教室。深刻な悩みを抱えて訪れる人も多かったそうですが、湿っぽさとは無縁の空気感でした。
「自分より年上でも年下でも、みんな平等だし。なんでしょうね、女子会みたいな」
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【ゲスト】
第86回・第87回(7月17日・24日配信) 白崎裕子さん
東京生まれ、埼玉育ち。自然食品店「陰陽洞」(逗子市)が主催する料理教室の講師を経て、葉山町の古民家でオーガニック料理教室「白崎茶会」を始める。予約のとれない料理教室として知られ、全国から参加者が集まる。現在はオンラインレッスン「白崎茶会レシピ研究室」を配信。2025年より都内で小さな教室も始める。岡倉天心を師と仰ぎ、日々、お茶や野菜、粉の言葉を聞きながら暮らしている。はじめて聞いた野菜のいいぶんは、タケノコの「まだ掘らないで」。著書『白崎茶会のあたらしいおやつ』『へたおやつ』(ともにマガジンハウス)は、料理レシピ本大賞お菓子部門で2年連続大賞を受賞。2026年4月、初めての野菜料理の本『野菜のいいぶん』(ダイヤモンド社)を発売。
HP:https://shirasakifukurou.jp
Instagram:@shirasakichakai
X:@h_shirasaki
【パーソナリティ】
クックパッド株式会社 小竹 貴子
料理愛好家・ 料理の楽しみ共創室 部長/創業期から参画し、初代編集長としてメディアづくりに携わる。現在は、料理家や生産者といった食のつくり手の声を届ける活動を行っている。「日経ウーマンオブザイヤー2010」受賞。プロの技術や食材の背景にある物語を、暮らしに馴染む言葉で伝えることをライフワークに、生活者の目線で食の楽しさを探求している。
X: @takakodeli
Instagram: @takakodeli

