GOODSMILE RACING & TeamUKYOの給油タワーを使用している75号車メルセデスAMG GT3エボ(75エクスプレス) 2026年IGTC第4戦鈴鹿1000km 9月10日(木)、三重県の鈴鹿サーキットでは翌日から走行が始まるIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第4戦『第50回鈴鹿1000km』に向けた準備が進められた。世界を転戦するチーム、そして日本からの参戦チームがマシンを準備し、ドライバーたちも姿を見せた。
ここでは木曜の鈴鹿サーキットのパドックから、各種トピックスをお届けする。
■相次ぐ台風で船便が足止め。機材が来ない!
今週末に開催される鈴鹿1000kmに向けて全30台のマシンが到着したものの、プロクラスに参戦する75エクスプレスは、運営に必要な機材の確保に追われることとなった。同チームの機材を積んだコンテナが、南シナ海での相次ぐ台風の影響で輸送が遅れたことが判明したためだ。
ミュンヘンを拠点とする同チームは、6月中旬にコンテナを発送していた。当初はシンガポールに寄港したが、その後1週間以上も海上での足止めを余儀なくされ、現在船は上海に停泊しているという。
この事態を受け、ケニー・ハブル率いる同チームは、日本のスーパーGTに参戦するグッドスマイルレーシングや、アルナージュレーシングといった地元チームからピットガントリーなどの機材提供を受けているほか、同じくメルセデスAMGを使用するクラフト・バンブー・レーシングからも現地で支援を受けている。
メルセデスAMGカスタマーレーシングの責任者であるステファン・ウェンドルは、Sportscar365に対し次のように語った。
「決して理想的な状況ではない。機材も、彼らがIGTCで普段使用しているものとは異なる。現在、車両の計測機器などを探しているところだし、クラフト・バンブーとも、機材を共有したり、あるいは少なくとも彼らのガレージにマシンを入れてセットアップを行えるよう調整したりすることについて、今日話し合う予定だ」
■日本人ドライバーは38名。過去のウイナーも複数参戦
今大会にエントリーした全90名のドライバーのうち、日本人は38名だ。これはグリッド全体の約42%を占め、昨年の28%から増加している。チームについても日本勢の割合が高まっており、昨年の10チームに対し、今年は13チームが参戦している。
昨年同様、日本人に次いでドイツ人ドライバーが8名と最多で、英国とイタリアが各5名、フランスが4名となっている。
今年はBMWがファクトリー体制での参戦を行わないため、昨年の優勝トリオであるラファエル・マルチェッロ/ケルビン・ファン・デル・リンデ/シャルル・ウィーツの3名は不在だ。しかし、過去の鈴鹿1000km優勝経験者は3名参戦しており、フレッド・バービシュ(2019年優勝)が復帰するほか、松田次生(2008年優勝)と脇阪薫一(2002年優勝)も名を連ねている。
さらに、スーパーGT時代の同レースで表彰台に上がった2名のドライバーが、GT3マシンで初めて参戦する。ひとりは2006年にチーム・クラフトのレクサスで3位に入った服部尚貴、もうひとりは2011年と2015年にチーム・インパルのニッサンで3位に入ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラだ。
■「鈴鹿は特別な場所。S字は他のどのサーキットにもない」
昨年、総合6位に入ったWRT BMWのもう1台のプロクラス車両でチームを組んでいたアウグスト・ファーフス、ダン・ハーパー、マックス・ヘッセの3名は、今週末はそれぞれ別々のチームからエントリーしている。
ファーフスとヘッセはチームKRCの2台のBMW M4 GT4エボをドライブし、一方のハーパーはWRTのカスタマーエントリー車両に乗り込み、WEC世界耐久選手権のLMGT3クラスでチームメイトを務めるパーカー・トンプソンおよびアンソニー・マッキントッシュと再びタッグを組む。
ハーパーは次のように語った。
「鈴鹿は特別な場所だ。走るのが大好きなサーキットのひとつだね。特に第1セクターのS字コーナーは、他のどのサーキットにもないような区間だと思う。本当に素晴らしいコースだ」
一方、ベルギー人のバービシュは2019年以来の鈴鹿復帰となる。当時彼はWRTからアウディR8 LMS GT3エボを駆り、ケルビン・ファン・デル・リンデ、ドリス・ファントールとともに優勝を飾った。これはアウディにとって日本での初の国際レース勝利でもあった。
「あの時、僕らはアウディの歴史に名を刻んだんだ」と彼は語った。
「あれが彼らにとって日本での最初で最後の国際レース勝利だった。LMP1マシンでさえ、あそこでは勝てなかったんだから。よく覚えているよ。当時、僕らのマシンはとても速かったんだ」
■大きな注目を集めた“東京無線カラー”
ジョホール・モータースポーツ(JMR)のコルベットを駆るスコット・マクラフランは、先週末にウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカで開催されたNTTインディカー・シリーズの最終戦で優勝した勢いそのままに鈴鹿に乗り込んできた。
彼にとってスポーツカーレースへの参戦は、DXDTレーシングから出場した1月のデイトナ24時間レース以来となる。
JMRは今週末のレースに向け、香港を拠点とする模型メーカー『Trends Hobby』との提携を発表した。同社の声明によると、「近い将来、チームのシボレー・コルベットZ06 GT3.Rのレプリカ・コレクターズモデルを製作する」とのことだ。
クラフト・バンブー・レーシングは『東京無線タクシー』との提携を明らかにした。同チームの77号車メルセデスAMG GT3エボのカラーリングは、東京無線の象徴的な緑と黄色の配色をオマージュしたものだ。
当初、このカラーリングは単なるオマージュとしてデザインされていたが、その後、同社からチームへ正式な提携の提案があり、最終的なデザインに同社のロゴが追加されることになったとのことだ。
この香港チームは、今年すでに鈴鹿で1勝を挙げている。4月に行われたスーパー耐久の5時間レースにおいて、ホンダのファクトリードライバーである太田格之進(今週末も77号車をドライブ)、アダリー・フォン、ジンズー・スンのラインアップで優勝を飾っている。
鈴鹿入り前の先週末、アブソリュート・レーシングは東京のいくつかの名所を巡るツアーを行った。使用されたのは、ボッシュ・モータースポーツのカラーリングを施した7号車と、AOレーシングと共同参戦する『武士レックス(Bushi Rex)』をテーマにした8号車という、2台のポルシェ911 GT3 Rだった。これら2台は、ポルシェスタジオ銀座でも3日間にわたり展示された。
また、ハーバース・モータースポーツは今週末のレースに向けてSeven x Sevenレーシングと提携しており、91号車のポルシェは、スーパーGTチームの特徴である黄色と黒のカラーリングを纏っている。
■有力チーム欠場も、来季復帰の可能性
2018年の鈴鹿10時間レースを制し、今年のIGTC開幕戦であるバサースト12時間レースでも優勝したグループMレーシングは、今回のグリッドには名を連ねていない。香港籍の同チームは、マカオでのFIA GTワールドカップを含む今シーズンの残りのレースを欠場するものと見られている。
ウェンドルはSportscar365に対し、次のように述べた。
「ケニー(・チェン)とはまだ話し合いを続けているところだ。今後の展開を見守りたいと思う。鈴鹿での参戦は実現しなかったが、来年また彼らの姿を見られるかもしれない」
コース上での走行は11日金曜朝から始まっている。この日は1時間のペイド・テストセッションが2回行われた後、レースに参加する全ドライバーの参加が義務付けられている90分間のナイトプラクティス・セッションが行われる予定だ。
[オートスポーツweb 2026年09月11日]