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年明け早々の1月6日、ジャニーズファン界隈である“事件”が起こった。19時から生放送された『うたうで!おどるで!THEカヴァ★コラTV』にてMCを務める関ジャニ∞が、一昨年にリリースされた嵐のシングル「ワイルド アット ハート」をカバーしたのだ。今や飛ぶ鳥も落とす勢いの両グループ、お互い同じジャニーズ事務所に所属しているだけにファンからも暖かく迎えられる…ハズだった。しかし放送を観た嵐ファンの一部が関ジャニ∞に対して怒りの声を上げたのだ。「関ジャニなんなのマジで」「関ジャニの歌の下手さにビックリ」などといった罵詈雑言がネット上では飛び交い、嵐ファンと関ジャニファンの抗争が発生したのだ。大多数の両陣営ファンはそこに加担せず冷静にことの成り行きを見守っていたが、やはりみな「どちらの歌が上手いのか」というテーマには興味があったようだ。ファンのブログやツイッターでは「嵐と関ジャニ、歌唱力があるのはどちらか」という議論が数日間に渡りホットトピックになっていた。
(参考:「嵐やAKBの歌は、なぜユニゾンばかり? ハーモニーを忘れたJ-POPに必要なモノ」)
当たり前の話だが、自分たちの曲ではない「ワイルド アット ハート」を本人たちより上手く歌えなかったからといって「関ジャニ∞は嵐より歌が下手」ということにはならない。本気で歌唱力を測りたいのなら、なにがしかの課題曲を別に用意して両グループに歌わせないとフェアではないだろう(全くその必要性は感じないが)。しかし番組を観ていて興味深かったのが、関ジャニ∞のメンバーが同曲のユニゾンパートで明らかに歌いづらそうな姿をみせていたことだ。「ワイルド アット ハート」は嵐のシングルのなかでもユニゾンとハモリパートがとりわけ多い曲であるため、その窮屈そうな様子がひときわ印象に残ったのである。
ジャニーズの曲では御存知の通りユニゾンが多用される。一般的にユニゾンはボーカルに厚みをもたせ、力強さと安定感を出すために用いられる。ある面では「ソロだと不安だから」といったネガティヴな理由もあり、実際ユニゾンの多用に対する批判もある。実はジャニーズのなかでも一、二を争うほどにユニゾンパートの割合が多い嵐。しかし彼らの場合はユニゾンを多用する理由が他のグループとは少々異なるよう
だ。以前『日経エンタテインメント!』の特集でメンバー本人たちは次のように語っている。
相葉「僕らの曲はユニゾン多いよね」
二宮「シングルでソロは歌ってない気がするな」
相葉「歌ってても2番とかだよね」
櫻井「それは僕らの最大の特徴だろうね。個々よりグループが前に出ちゃう気がす
る」
二宮「そこなんじゃないですかね。5人で歌うっていうのが嵐らしさなのかな、と思
います」
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嵐はこれまでも取り上げてきたとおり、個々の声質が特徴的なグループだ。そのため、いずれかのメンバーのソロパートを増やすと楽曲の雰囲気がそのメンバー色にガラリと変わってしまう。嵐のサウンドを作るにはグループで歌う、5人揃って歌う「ユニゾン」が極めて重要な役割を果たすのだ。先に述べた関ジャニ∞の歌うユニゾンの違和感は、こんなところから来ているのだろう。
2月12日にリリースされた新曲「Bittersweet」はそんな彼らの特徴とも言えるユニゾンをほとんど封印した、嵐にとって新境地となる曲。歌い繋いでいく流れやパート割りもこれまでには見られなかったもので、新しい彼らの姿を感じられる興味深い内容に仕上がっている。一方でカップリングの「Road to Glory」は大ユニゾン大会。これまでの嵐らしさが全開のさわやかな一曲だ。他にも櫻井のラップが炸裂する「Sync」やある意味いちばん嵐らしい応援歌「もっと、いまより」など、カップリングにも聴きどころの多い今回のシングル。ぜひ実際に手にとってそのサウンドに触れてみて欲しい。(北濱信哉)
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