職場のなかで集中することや、休息をとることは案外難しいものだ。絶え間なく電話は鳴り続けるし、空気を読まない同僚が世間話を語りかけてくることもあるだろう。
管理者側も、新たに設けられた研修プランを社員が効果的に学習してもらうことに苦労することもあるだろう。
そんな企業内の問題を解決するのが『Orrb』である。
職場に聖域を設ける
『Orrb』は完ぺきな自分の空間、いわば聖域を持つことができる巨大なポット型のデバイスだ。
流線的でカプセルのような個室の大きさは、長さ200センチメートル、幅100センチメートル。ドアを閉めるとことで隔離空間、いわば自分の聖域が確保できる。
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『Orrb』のなかには映像スクリーンとスピーカーが内蔵されている。映像と音を使った専用のコンテンツが用意されており、『RELAX(休息)』『LEARN(学習)』『TEST(集中)』『BOOST(健康管理)』といった4つのプログラムから、自分の気分や学習意欲に合わせてプログラムを選ぶことができる。
福利厚生を解決する
では、誰が使うのか。それはビジネスモデルに目を移すと容易に想像できる。
『Orrb X』と名付けられたサービスは、月額会員制で18ヶ月の固定契約だ。会員になると『Orrb』に入るためのアクセスカードと、オンラインアカウントが発行される。ひとつの『Orrb X』に加入することで50のアカウントまで登録できる。
つまり個人で購入するよりも、法人での利用が考えられているようだ。企業の研修やトレーニング、あるいは休息空間の確保といった利用シーンが想定されている。オフィスの部屋数を増やすことは物理的に難しいが、『Orrb』を置くことによって新たな“部屋”を用意することができる。
アカウントごとにプログラムが管理されていることから、遠く離れた施設で働く従業員に、医師のカウンセリングを受けさせることもできるだろう。『Orrb』を置くことによって、企業における福利厚生制度の向上を図ることができるかもしれない。
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また、学習という面にフォーカスしていることにも注目したい。企業内の問題だけではなく、たとえば人口減少や少子化が進む地方の施設に、“オンラインの個別学習塾”のような形態で進出することも可能になるだろう。
サービス開始は2015年3月を予定。まずは米国とイギリスのみでのサービス展開を考えているようだ。デバイスによって企業における労働者の学習や健康をサポートするという試みは成功するだろうか。