前回からの続き。俺はレイジです。妻のマホは3か月前にミナミを出産しました。出産予定日のひと月ほど前に実家に帰り、1か月健診を終えてから自宅に戻ってくる予定でした。しかし台風や大雨、また俺の仕事の激務によって、マホとミナミの帰宅予定は延びつづけています。「もう少し実家で育てたい」というマホの意見を尊重しようと思っているのですが……。同僚のササキから「里帰り離婚」をした知人の話を聞いて、俺はいたたまれない気持ちになったのです。
数日前、とうとう母からの電話で「まだマホさんは実家から帰ってこないの?」なんて言われてしまいました。仕方なく「ワンオペになるのがツラいらしい」「俺も仕事が忙しい」などと説明したところ、いちど実家に寄るように言われたのです。
食事していると、向かいの席で母がお茶を飲みながら話しはじめた。「赤ちゃんの成長ってあっという間なのよ。昨日までできなかったことが、翌日にはもうできるなんてこともあるし、顔だってどんどん変わるし……。私もミナミちゃんに会いたいわ。あちらの実家に行くのはさすがに気が引けるもの」
「何ヶ月も実家から帰ってこないんだもの、よっぽど居心地がいいんだろうね。ご両親もひとり娘のマホさんのことを溺愛している感じだったしね……。きっとマホさんは『妻』じゃなく『娘』に戻ってしまっているのよ」
俺は翌週、車でマホの実家に向かいました。マホは全力で親に甘え、また義両親も娘を喜んで手助けしています。考えれば考えるほど、マホは実家に依存しているようにしか思えません。
ミナミを中心に楽しそうに過ごすマホや義両親を見ていると「俺は不要なのか?」なんてモヤモヤとした気持ちが湧きあがりました。
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義両親の手厚いサポートを受けながらすっかり「娘」に戻っているマホを見て、俺は「早く自宅に連れ戻さなければ」という気持ちに駆られました。別々の暮らしのままでは俺はマホやミナミの家族ではなくなってしまいそうです。「父親」というポジションすら、義両親に奪われてしまいかねないでしょう。母から言われた「ミナミちゃんを育てていくのはレイジとマホさんなのだから」という言葉を胸に、しっかりと話し合いをしたいと思います。
【第7話】へ続く。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・煮たまご 作画・りますけ 編集・井伊テレ子