母が泣きながら突然訪ねてきました。父の話が出たということは、ついにそのときが来たということなのでしょう。
父と母は私の結婚直後から10年以上別居しています。
今までも何度か離婚の話は出ていましたが、専業主婦の母が断固拒否していたため、離婚に至ることはありませんでした。私も夫婦間の問題や世のなかのことをそれなりに理解しているつもりです。娘の私からみて、双方のためにもさっさと離婚してしまったほうがいいと思っています。しかし、母は「ひとりになる」のが不安なようです。
母が現在住んでいる家は、父の会社の社宅なのです。別居をする際に、母は社宅から出ていきたくないと譲らなかったので、父が別に家を借りることとなりました。
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母は今さら働けないと、10年以上ずっと同じことを言っています。私が独立し、父も出て行った家で、時間の余裕もできたはずなのに、ずっと「専業主婦」に母はこだわっているのです。10年前であれば50代。そのときに働き始めていれば10年のキャリアができていたはずなのに……。現在60代、しかも社会人経験はほとんどないとなると、働くのは相当難しいかもしれません。
長年別居していた父と母の離婚話から、母との同居話になるなんて! 10年以上、父と母の関係を見てきましたが、母が父と離婚したがらない理由は、生活基盤がないからに見えます。だからといって、父の代わりに私に依存されるのも困ります。
自立して相手を思いやるタイプならまだしも、お金がなくてわが家に転がりこもうとするような母では、この先の親子関係の悪化が目に見えています。この日は「夫に相談する」と母に話し、帰ってもらいました。この離婚について、早急に父と話さなければいけません。
※演出の都合上、法的な詳細を省略している部分があります。
【中編】へ続く。
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