「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77歳)が急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、殺人などの罪に問われた元妻の須藤早貴被告(28)に対する裁判員裁判の被告人質問が8日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で始まった。
弁護側による被告人質問は、野崎さんと出会った経緯の確認から始まった。
被告によると、モデルの仕事で中国・北京を訪れた2017年11〜12月、知り合いから「お金持ちの男性を紹介してあげる」と声を掛けられ、野崎さんと会うことになった。
野崎さんと初めて会ったのは帰国直後の12月。田辺市内の野崎さん宅を訪ねると、2階の部屋で帯付きの100万円を渡され、「会いに来てくれてありがとう。結婚してください」と言われたという。
被告は法廷で「最初は冗談かと思ったが、お金をくれるならラッキー」と説明。野崎さんから何度か結婚を求められたため、受け入れたという。
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被告人質問は計3日間予定されている。8日は被告が弁護側の質問に答える形で自らの主張を説明する予定。
起訴状などによると、被告は18年5月24日、野崎さんに何らかの方法で致死量を超える覚醒剤を口から摂取させて殺害したとしている。同居を避けた被告は野崎さんから離婚を切り出されていた。
検察側は冒頭陳述で、被告が「莫大(ばくだい)な遺産を得るため、証拠を残さない完全犯罪を企てた」と強調。被告が密売サイトを通じて致死量の覚醒剤を注文し、事件当時も自宅で2人きりだったとして「被告以外の犯行は考え難い」と主張する。
被告は9月の初公判で、「私は殺していませんし、覚醒剤を摂取させたこともありません」と無罪を主張している。【藤木俊治、安西李姫】
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