他人の運転免許証でクレジットカードを作り、買い物を繰り返したなどとして夫婦が逮捕された事件で、無職斎藤貴聡(32)、妻智華(33)両容疑者が、入手した他人の身分証とほぼ同数の銀行口座を開設していたとみられることが3日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁犯罪収益対策課は、クレジットカードを作る目的で銀行口座を開設していたとみて、詳しく調べる。
捜査関係者によると、両容疑者はトラック運転手やコーヒー店の客に因縁を付けたり、スポーツジムで盗んだりして、免許証など31人分の身分証の情報を入手。これを使って、ほぼ同数の口座を特定の複数のインターネット銀行で集中的に開設していたとみられる。
口座を開設した銀行はいずれも、キャッシュカードを郵送時、郵便配達員が受取人の身分証を確認する本人確認方法を認めていた。
両容疑者は別人とばれずにカードを受け取るため、不動産計15カ所を契約し、受取先に指定していた。配達員には顔写真などを偽造した免許証を提示。見破られないように、受取時間を夜間に指定したり、フードをかぶって顔を見えづらくしたりしていた。偽造免許証に触らせず、「早くしろ」「見えるだろ」などと威圧的な態度で確認をせかしていた。
同様の手口で、クレジットカードも作成していたという。
警視庁は2日、他人名義のカードでウイスキー13本(販売価格290万円相当)を購入し、転売したなどとして両容疑者を再逮捕した。2人は買い物と転売を繰り返すなどしており、被害総額は計約9500万円に上るとみられる。