米国のオンラインカジノ(資料・AFP時事) 著名人の摘発が続くオンラインカジノ。若者に広がる背景には、スマートフォンで手軽にアクセスできることから違法性の認識が乏しいことがある。警察庁は法改正を機に広報啓発を強化するほか、違法な情報の削除要請でサイトを利用しづらい環境に整える方針だ。
警察庁の実態調査では、オンラインカジノ経験者のうち4割しか違法だとの認識がなく、特に20代の認識率が低かった。海外で合法的に運営されるサイトでも、国内から金を賭けるのは違法だが、ネット上では「グレーゾーンで取り締まることができない」といった偽情報が流れ、有名人によるカジノサイト広告も多いことから誤った認識が広がったとみられる。
同庁は、カジノサイトのCMに出演するなどしたスポーツ選手や芸能人らの所属事務所に対し「賭博のほう助になり得る」などと伝えて対応を要請。プロ野球やコンサート、映画館で広報動画も流している。デリバリー業者らの協力でチラシ10万枚を配布するなど、対応を強化する予定だ。
カジノサイトでは、金銭を賭けない無料ゲームを利用する人もいるが、接続した人の75%は課金するとされる。同庁は法改正でネット情報が少なくなり、アクセス自体が減ると予想。違法な情報の削除要請を進め、海外サイトにも「日本語版」の停止などを働き掛ける考えだ。
利用を完全に止めるには海外サイトへの接続を強制的に遮断する「ブロッキング」が有効となる。ただ、憲法が保障する「通信の秘密」を侵害する恐れがあり、総務省が有識者会議を設け、是非を含めて検討している。