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大阪・ミナミを舞台に不動産の所有者になりすまし、購入希望者から売買代金計約14億5000万円をだまし取ったとして、「地面師」とみられる男性らのグループが大阪府警に逮捕された。
事件を巡っては不動産の所有者を装う過程で、本人以外の第三者が住民票を取得できる制度が悪用された疑いも浮上している。
大阪市によると、住民票は住民基本台帳法に基づき、正当な理由や目的があれば第三者も写しの交付を請求することが可能だ。債権の回収や訴訟、相続の手続きなどの場合だ。その際には借用書や本人確認証などの証明できる資料が必要となる。
捜査関係者によると、グループの指示役とみられる福田裕容疑者(52)=詐欺容疑などで逮捕=らは、物件を所有する不動産会社代表の70代女性になりすますため、女性に数十万円を貸したとするうその借用書を作成。役所の窓口で債権者を装って女性の住民票の写しを入手していたという。
グループは住民票に記載されていた女性の個人情報を使い、運転免許証の偽造や虚偽の登記変更を進めたとみられている。
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制度が悪用された可能性があるが、市の担当者は「借用書には定型がなく手書きの場合もある。不自然な点があれば他に資料の提出を求めるが、不正を見抜くのは難しい」と打ち明ける。
地面師は新庄耕さんの小説を原作にしたドラマ「地面師たち」で、巨額の売買代金を得るための巧妙な手口が描かれた。
ドラマを監修した司法書士の長田修和さんは「制度の盲点を突かれた形だ」と指摘する。自治体によっては第三者が住民票などを取得した場合、希望者に知らせる「本人通知制度」を導入しているところもあり、「こうした制度を自治体でさらに広め、住民に周知していくことが次善の策だろう」と話している。【川地隆史】
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