ひめゆりの塔で行われた慰霊祭で、校歌などを歌う元学徒ら=23日、沖縄県糸満市 沖縄県糸満市のひめゆりの塔で23日、太平洋戦争末期の沖縄戦で命を落とした学徒隊の慰霊祭が行われた。沖縄戦80年の節目に当たる今年の慰霊祭には、元学徒ら約250人が参列。犠牲者を追悼し、平和への誓いを新たにした。
開式前に、同市の中高生らが「別れの曲(うた)」などひめゆり学徒隊とゆかりのある3曲を合唱した。
ひめゆり同窓会の知念淑子会長(96)はあいさつで、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設や、南西諸島での軍事力強化を挙げ「沖縄では戦争の影は一向に薄まっていない。世界では無慈悲な戦争で多くの命が奪われ続けている」と強調。「私たちは90代後半だが、本日お集まりの方々が平和な未来を築いてくれることを願う」と呼び掛けた。
ひめゆりの塔を巡っては自民党の西田昌司参院議員が5月、展示に関し「歴史を書き換えている」と発言。党内外で批判が強まり、撤回、謝罪した。塔に併設する資料館の普天間朝佳館長は「元学徒が血のにじむような思いで展示を作り上げてきた努力を踏みにじるものだ」と非難。「沖縄戦の実相を丁寧に揺らぐことなく伝え続けていきたい」と決意を語った。