参院本会議で答弁する高市早苗首相=3日、国会内 自民党と日本維新の会が成立を目指す衆院議員定数削減法案を巡り、小選挙区(現行289)を25減らす措置の対象が東京、大阪、群馬、長野など計20都道府県に上ることが自民の試算で判明した。党幹部が3日、明らかにした。自民への支持が強い「保守地盤」も含まれ、党内に反発が広がる。執行部は5日の法案提出を目指す。
自民、維新は同法施行後の与野党協議が不調に終わった場合、小選挙区25議席、比例代表20議席を自動的に減らす措置を法案に盛り込む方針。
試算は2020年の国勢調査の結果を用い、各都道府県の人口比をより正確に反映できるとされる「アダムズ方式」で実施。東京が3減で、千葉、神奈川、大阪が各2減、北海道や沖縄など16道府県が各1減となった。来年秋に判明する国勢調査の確定値次第では削減数や地域に変更が生じる可能性がある。
試算を受け、高市早苗首相に近い党幹部は「自民に打撃だ。首相はこの結果を分かって維新と合意したのか」と不満を示した。党重鎮も「地方の声を反映できない」と批判した。
自民は3日、総務部会と政治制度改革本部の合同会議を前日に続き開き、法案を審査。岩屋毅前外相が「(自動削減の規定は)必要ない」と重ねて反対したものの、同会議として法案を了承し、加藤勝信本部長に今後の対応を一任した。5日の総務会での了承を目指す。維新は3日の役員会で法案を了承した。
法案は現行定数(465)を「420を超えない範囲で1割を目標として削減する」と明記し、衆院議長の下に置く与野党の協議会で具体論を議論すると定めた。与野党協議の結論に基づき、削減に関する「法制上の措置」を法施行後1年以内に講じるとした。
1年で結論が出なかった場合、小選挙区25、比例20を削減すると規定。衆院選挙区画定審議会(区割り審)が区割り改定案を検討し、政府に1年以内に勧告する。

自民党の総務部会・政治制度改革本部合同会議であいさつする加藤勝信本部長(中央)=3日、東京・永田町の同党本部