北米のスポーツカーレースを統括するIMSAのプレジデントを務めるジョン・ドゥーナンは、隆盛を極めるトップレベルのプロトタイプ・カテゴリーに関して、世界の大手自動車メーカーが参戦するという選択肢に「投票した」と表現し、今後このカテゴリーにコミットするさらなるマニュファクチャラーからの発表がある可能性を示唆した。
1月末に行われたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のシーズン開幕戦、デイトナ24時間レースには、LMDh車両を有する5メーカー(アキュラ、BMW、キャデラック、ランボルギーニ、ポルシェ)が参戦した。今年は、GTPクラスでレースを行うFIA国際自動車連盟/ACOフランス西部自動車との共同プラットフォームであるLMDh規定にとっての3年目となる。
これに加え、アストンマーティンは、3月のセブリング12時間レースからヴァルキリーAMR-LMHをウェザーテック選手権のグリッドにつける予定だ。また、ジェネシスは、2027年にIMSAに参戦することを約束している。
デイトナ24時間レースのスタート前の土曜日の朝、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイに集まったメディアに対し、ドゥーナンはトップクラスの将来とACOとの継続的なパートナーシップに対して、引き続き楽観的な姿勢であることを語った。
「昨日、ピエール・フィヨン(ACO会長)、フレデリック・ルキアン(WEC CEO)、ティエリー・ブーベ(ACOスポーティングディレクター)と会う機会があり、5年前に我々が集まってトップカテゴリーの世界的な統合を発表した時の出来事に、ついてたくさん話をした」とドゥーナンは語った。
「いまは、ちょうど“選挙”の年が終わったところだ。マニュファクチャラーたちは我々の選手権に参戦することに、投票したのだ」
「彼らは、我々がとても誇りに思っているLMDhプラットフォームに大々的に投票し、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権であれ、WEC世界耐久選手権であれ、(そこに出場して)最高のチームと競うことに投票したのだ」
「規則をまとめ、前進の道筋を定める機会を得た我々全員にとって、とても誇りに思っている」
ドゥーナンは、さまざまなメディアの報道を引き合いに出し、マクラーレンとフォードの両社が近いうちに将来のLMDhプログラムを確認する可能性があることをこの時点で示唆していた。実際、フォードはデイトナ24時間レースから4日後の1月30日に、大々的な発表を行った。また、マクラーレンのプログラムはすでに社内で承認されているものと理解されている。
「ご存知のとおり、これで終わりではない」とドゥーナン氏は語った。
「ヒョンデ・ファミリーのジェネシスが参加を発表している。また、私はいくつかの記事を読んだ。『パパイヤ軍団』(マクラーレン)が我々に加わる予定のようで、もしかしたら『ブルー・オーバル』(フォード)も加わるかもしれない、と」
「これまでの出来事とこれから起こることに、とてもとても興奮している」
■カギは「安定性」と「長い滑走路」
ドゥーナンはさらに、トップクラスをマニュファクチャラーにとって非常に望ましいカテゴリーに変えたという近年の成果を「とても誇りに思っている」と述べている。
「我々は、この規制の導入と新しいメーカーの競争への導入に、非常に系統的なアプローチを取ろうとしてきた」とドゥーナン。
「我々は自動車業界の浮き沈みに非常に敏感だ。つまらないことをせずに、我々は規則とプラットフォームを安定させようと努めてきた。それが一番大事なことだ」
「もちろんそこにBoP(性能調整)の議論はあるが、トルクセンサーやLMDhの共通ハイブリッドなどを統合して、自動車メーカーが参入するための安定性を提供してきた。彼らが参入することを第一に考え、参入の準備を整え、彼らに長い滑走路があることを知らせようとしてきた」
「ご存知のとおり、昨年のル・マンで、我々は(2029年までの)規則の延長を発表した。これは、すでにこの規則に投資して、この場にいる人々に安定性を提供する」
「現在、ジェネシスのようなブランドが参入したいと考えているのを見て、彼らは滑走路が延長されていることを知っている」
「その観点から、我々は非常に誇りに思っている」
「我々も興奮しているんだ。もちろん、LMDhプラットフォームのクルマはWECにも参入しているし、次のセブリングでは、アストンマーティン・ヴァルキリーというLMH(ル・マン・ハイパーカー)規制に準拠した最初のクルマが、我々の仲間入りを果たそうとしている」
「私にとって、安定性は良いことだ。我々は、ルールの大幅な変更を行わず、コストをコントロールし、安定性を本当に大切にしなければならない。そして、自動車業界が直面するその他のプレッシャーや、それに対して非常に敏感であることを確認しなければいけない」
「だが、キャンディー・ショップに入った子どものように、我々はこの繁栄した状況に興奮しているのだ」