歯磨きをしてもむし歯ができるのはなぜ? 正しいむし歯予防法のポイント

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2025年03月13日 20:51  All About

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【歯科医が解説】「歯磨きをしても、むし歯ができる」「治療しても、すぐむし歯になる」という方はいませんか? むし歯には、必ず原因があります。原因を正しく改善することが大切です。むし歯予防に重要なポイントと今日からできることを、分かりやすく解説します。
近年、むし歯は「生活習慣病」の一つとも言われるほど、食生活を中心とした生活習慣に影響され、様々な要因が重なって生じると考えられています。

「歯医者に通っても通っても、すぐむし歯ができる」「治療を行った歯が、またむし歯になった」という経験がある方には、「むし歯になる原因」が必ずあるのです。

今回は実際の患者さんのケースを基に、なぜむし歯ができるのかを皆さんと考えたいと思います。

むし歯予防に大切な「食生活」。「糖の取り方」と「時間」に注意を

多くの方が「甘い物を食べるとむし歯になる」と思われているようです。しかし歯科医師の立場から判断すると、これは正しい情報とは言えません。
記録をつけると見えてくる、むし歯の原因。このような食生活の場合、むし歯リスクは高い

確かに、砂糖たっぷりの甘い物、特にキャラメルのような歯にくっつきやすいものは、むし歯のリスクを高めます。

これはむし歯菌が、飲食物に含まれる「糖」をエネルギーとして摂取するためです。

しかし、これらを全く食べてはいけないというわけではありません。問題になるのは「食べ方」です。

「ほぼ毎日食べている」「一回に食べる量が多い」「時間を決めずにダラダラと食べている」といった食べ方は、むし歯のリスクを大きく高めます。

歯に悪いキャラメルでも、「週に1〜2回、お昼ご飯の後に1つ食べて歯磨きをする」と決めて食べる分には、大きなむし歯リスクになることはありません。

筆者自身もおやつは量を決めて、昼ご飯のすぐ後に食べて歯磨きをするようにしています。

甘い物というとケーキやチョコレートなどを思い浮かべるかもしれませんが、ジュースや甘いコーヒー、スポーツドリンクにも砂糖は含まれています。

お菓子と同じくむし歯のリスクを高めるので、日常的な水分補給としては、糖を控えた飲み物を選びましょう。

また、甘い物だけでなく、ご飯に含まれる糖である「でんぷん」や、果物の「果糖」など、砂糖(ショ糖)ではない糖も、むし歯の栄養になると分かっています。

おやつは食べていないけど、お食事回数が多い方、内容が炭水化物に大きく偏っている方には、食事の指導も行います。

むし歯だけでなく歯茎の健康を保つためにも、十分な栄養の確保が重要です。

低栄養に偏ったお食事では、歯周病菌と戦うための免疫が低下してしまったり、健康な歯茎の維持にも悪影響を及ぼしてしまったりします。

食生活の乱れは、全身に影響を及ぼすだけでなく、むし歯や歯周病にも関連してくるのです。

むし歯予防に効果的な歯磨きのタイミングは? 「食べたらすぐ」が基本

歯垢が多く付着している

むし歯菌は、口内にいる時間が長いほど活発に繁殖し、むし歯を作りやすくなります。

飲食後はすぐに歯磨きを行うことで、歯に付着した糖や、細菌の塊であるプラークを除去し、常に清潔に口内を保つことができます。

多くの方が、歯磨きは毎日できていると言われますし、『歯科疾患実態調査』を見ても、多くの方に「1日2回の歯磨き」が定着していると感じます。

しかし当院に初めていらっしゃる患者さんのほとんどに、多くの歯磨き残しがあります。

歯磨き残しは自分では意外にもわからないものです。当院にいらっしゃる患者さんの大半が「歯磨きはしっかりとやっているから大丈夫です」と言われるのですが、実際にプラーク(細菌)を染め出してみると、歯間清掃ができていなかったり、歯と歯茎の間が磨けていなかったり、奥歯が磨けていなかったりと、多くの磨き残しが見られます。

歯磨きの癖を客観的にチェックすることは、子どもだけでなく大人にも必要です。歯科医院で行う歯磨きの確認と練習は、重要な治療の一つと思ってください。

むし歯予防に効果的な歯磨き粉の選び方は? 「高濃度フッ素」表記の確認を

むし歯予防に有効なのは、「高濃度フッ素配合」の表記がある歯磨き粉

皆さんは、どのような基準で歯磨き粉を選んでいますか? むし歯予防のために歯磨き粉を選ぶのであれば、歯磨き粉のパッケージに「高濃度フッ素配合」と表記されているものを選びましょう。

現在日本で許可されているフッ素の最高濃度は1500ppmという濃度です。実際の歯磨き粉に入っている濃度は、成分調整の関係で1450ppm配合となっています。

フッ素自体に抗菌作用があり、また、溶けかけた歯の表面を修復するはたらきもあります。

ごく初期のむし歯であれば、フッ素の働きで修復することもあります。

実際の例として、色味や感触から、そのままではさらに進行していくと考えられる初期むし歯があった初診の患者さんのケースがあります。

患者さんには最高濃度のフッ素が配合された歯磨き粉を、歯ブラシのブラシ部分にまっすぐ乗せるくらいの量で使ってもらうよう、お話しました。

継続の結果、2ヵ月後には歯の表面が硬くなり、進行が止まった初期むし歯となりました。

フッ素は使用の継続によって、歯の構造を溶けにくい構造に変化させる性質もあることから、歯を強くすると言われています。

子どもはもちろんのこと、大人の場合は、歯茎が下がることで歯の根元部分が露出し、歯の根にむし歯ができやすくなりますが、そういったケースにも有効です。

むし歯予防に役立つ「唾液の力」を、唾液検査で知ることも可能

歯科医院で受けられる唾液検査。自分の唾液の質を知っておくと、むし歯予防に役立つ

食生活、歯磨き、フッ素とお話しましたが、これらに最善の努力をしているのに、むし歯がよくできてしまうという方は、「唾液のはたらき」が弱い可能性があります。唾液にも役割があるのです。

まずは、「口内の細菌を洗い流す力」。これは唾液の量が重要になります。唾液が少ないと細菌がしっかりと洗い流されず、むし歯菌や歯周病菌が繁殖しやすくなります。

次に「口内を中性に保つ力」。飲食後は口内のpHは酸性に傾き、むし歯が作られやすい状態になります。これを中性の環境に戻してくれるのが唾液です。

この力が弱っていると、むし歯になりやすい口内環境になってしまいます。さらに、唾液の中にいる「むし歯菌の数や質」も重要です。

これらは歯科医院の唾液検査で調べることができます。現時点ではむし歯が少ない人でも、知らないうちにリスクが高まっていないかを知ることができます。

唾液検査は高額ではありませんが、自由診療でかかる費用が異なるため、かかりつけの歯科医院で確認して下さい。

むし歯予防には最も重要なのは、むし歯になる前の「歯科医院の活用」

一度むし歯になって治療で削った歯は、一度も治療していない歯と比べても、再びむし歯になるリスクが高いです。

また、歯は治療を重ねるごとに、その歯を失うリスクとがどんどん大きくなります。

むし歯になってから治療、再治療を重ねるのではなく、むし歯にならないために生活習慣を整え、予防のために歯科医院を活用することが重要です。

皆さんもぜひ、すぐに始められることから、効果的なむし歯予防法を取り入れてみてください。

野尻 真里プロフィール

歯科医師・予防歯科医。小さな子ども・現役世代の診療から、高齢者の訪問診療まで行い、特に予防を主体とした歯科診療に従事。「自分の歯で一生涯、笑顔で健康に暮らせる世の中」を作ることを目指し、精力的に啓発活動を行っている。
(文:野尻 真里(歯科医))

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  • この記事では食べてすぐ歯磨きだねえ。本当、人によって言う事が違うのはなんでなんだぜ。
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