大河「べらぼう」効果!島根の美術館に取材殺到 主人公・蔦重が見いだした、北斎初期作品に熱視線

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2025年03月16日 11:40  まいどなニュース

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富本節正本「女夫合愛相鉄槌」(島根県立美術館所蔵)

 江戸時代に浮世絵の版元として商才を振るった蔦屋重三郎(蔦重)を主人公にしたNHK大河ドラマ「べらぼう」の放送が始まり、世界有数の葛飾北斎コレクションを誇る島根県立美術館(松江市袖師町)にメディアの取材依頼が相次いでいる。蔦重が才能を見いだした北斎の作品が多く所蔵されているためで、同館はドラマを機に浮世絵の魅力を伝え、来館者増につなげたい考えだ。

【写真】北斎が「春朗」を名乗った頃の作品「朝日奈三郎平ノ義秀」

 同館によると昨年4月以降、雑誌社やテレビ局から27件の取材や資料提供の依頼があり、うち蔦重と北斎の関係性に関する取材は17件に上った。

 同館の浮世絵コレクションは作品と資料合わせて約3千点ある。松江市出身の実業家新庄二郎氏(1901〜96年)から取得した「新庄コレクション」と、島根県津和野町出身で北斎研究の第一人者、永田生慈氏(1951〜2018年)が寄贈し、永田氏の遺志で“県外不出”となっている「永田コレクション」に、県独自購入分を加えて構成する。

 北斎(1760〜1849年)は、2代目蔦重との仕事で「東都名所一覧」などの代表作を生み出し、浮世絵師として名をはせた。その道筋をつくったのは初代蔦重だ。

 永田コレクションは北斎が「春朗」と名乗った20〜35歳の作品も多い。春朗期の作品は数が少なく、収蔵数は世界トップクラス。うち、鎌倉時代の武将を描いた「朝日奈三郎平ノ義秀(あさひなさぶろうたいらのよしひで)」は蔦重から依頼を受けて手掛け、「蔦重新板」との描き込みがある。このほか、浄瑠璃の詞章を版本にした「女夫合愛相鉄槌(めおとあいあいにあいづち)」や、北斎と蔦重の最後の仕事になった「柳の絲(いと)」のオリジナルなどがある。

 北斎研究の中核を担う大森拓土専門学芸員は「蔦重は北斎の才能を見抜き、さまざまな題材を依頼した。絵師のキャリアにおけるキーパーソンであったのは間違いない」と解説する。

 北斎の版画作品や肉筆画を並べる特別展示室も人気で、アジアや欧米からも観光客が多く訪れているという。大森専門学芸員は「ドラマでは浮世絵の制作過程も描かれており、背景をつかんだ上で展示を見てもらえれば、より理解が深まる。浮世絵の魅力を伝え、面白さを感じるきっかけにしたい」と話した。

 ドラマではまだ北斎役の俳優は発表されていない。物語が進み、北斎が登場すればコレクションへの関心がより高まりそうだ。

(まいどなニュース/山陰中央新報)

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