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どんな職場でも、その職場で認められて、実績も残している人が必ず何人かはいるはずです。その人がなぜ認められ、地位を与えられているのかには必ず理由があります。
実績はもちろんですが、人格もあるはずです。どんな人が認められて地位を得ていくか、職場ごとに癖のようなものがありますから、自分の職場で認められようとするなら、その職場ですでに認められている上司や先輩のマネをするのが一番の近道だと言えます。
「あんな上司や先輩のマネをするのは、気に食わない」とか、そんなことを言っている場合ではありません。その上司や先輩が好きとか嫌いに関係なく、自分の職場で認められている人は、素直にマネするべきなのです。
別にその上司や先輩が嫌いでもいいのです。すべての人を好きになれるはずがないのですから。でも、上司や先輩が職場で認められ、地位を与えられていることは素直に認めましょう。そして、彼らのいいところはマネするべきと自分に言い聞かせるのです。
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もともと「学ぶ」は「まねぶ」からきているといわれています。つまり、マネをすることが学ぶことなのです。
トップ営業マンになりたいなら、騙されたと思って、実際のトップ営業マンのしぐさや口ぐせに至るまで何だってマネることです。
何でも自己流というのは効率が悪いものです。
学校の勉強だって、数学の公式を導き出そうとすると難解な数式をいくつも考えださねばなりません。しかし、すでに過去の数学者たちが導き出した公式を使ったほうが、より難解な数式にチャレンジできます。
人間はそのようにして、過去の偉人たちの功績を効率的に学ぶことによって、どんどんレベルアップし、それによって科学技術が発展してきました。
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職人の世界でもそうです。いまは『鬼滅の刃』が幅広い層から人気がありますが、作中に刀が出てくるからといって 、刀鍛冶を独学で始める人はいないでしょう。必ず刀鍛冶の師匠に弟子入りして、代々受け継がれてきた技術をまずは習得します。
その上で、自分なりの「自己流」を見出し、新しい伝統を形作っていくことで刀剣は美術品となり、高値で取引されるようになるのです。
このことを「守破離(しゅはり)」と呼びます。基本技術がしっかりと身についた上でなら、独自のやり方で師匠のやり方を「破」り、最後は師匠からも「離」れて、独自の世界をつくっていく。しかし、その前には基本を忠実に「守」っていく段階が必要です。つまり、師匠のマネをして基本を身につける段階です。
ビジネスでもまったく同じで、その職場で結果を出している上司・先輩を師匠として、マネていく。自己流を見出していくのはそのあとです。
もしどうしてもマネするべき上司・先輩がいないというのであれば、ビジネス書や自己啓発書でもいいでしょう。
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私の住友不動産時代がそうでした。どうしてもそんな存在がいなかったので、ビジネス書にその存在を探しました。
最も心に響いたのは、稲盛和夫さんの『生き方』(サンマーク出版)です。
これを読んだのは、私が大学4年生のときでした。将来的には経営者になりたいという目標があったので、京セラやKDDIを一代で大企業に育て上げた稲盛さんの著書は読んでおかなければならないと思ったからです。
マネをすることは、決してカッコ悪いことではありません。
マネをして、成果が出たら自分のオリジナリティーに持っていけばいいわけです。まず基礎的なところは型にはめればできあがります。
ある一定期間は、完全コピーするぐらいの気持ちで、すべてをマネていきましょう。そして、マネをするターゲットに実績が追いついたら、別のさらに上のステージにいる人にターゲットを変えて、またマネをしていきます。ステージが上がっていくにつれて、目標とする人を変えていくことで、自分の実力はどんどん高まっていきます。
【ポイント】
伸びない人は自己流でやろうとする。
伸びる人は他人のいいところをまず全部まねる。
(菅沼勇基)
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