スズメが消えた?! 身近な野鳥、急速に減少…研究者が警鐘 「餌と家屋」が要因に?

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2025年04月15日 07:00  まいどなニュース

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稲穂をついばむスズメ

 スズメやセグロセキレイといった、身近で見られている野鳥が急速に数を減らしている。環境省の全国調査によると、里地里山の鳥類106種のうち両種を含めた16種が、同省の絶滅危惧種の基準とする減少率を上回った。325カ所の調査地点の一つ、三瓶山北の原(島根県大田市三瓶町)でもスズメは減少しており、研究者らは里地里山の生物多様性の低下に警鐘を鳴らしている。

【写真】こちらの野鳥も減少している

■2015年以降、急速に減少

 調査で判明した2008年から22年の1年当たり個体数減少率はそれぞれ、スズメ3・6%▽セグロセキレイ8・6%▽アオサギ8・6%▽オナガ14・1%ーなどだった。

 環境省の絶滅危惧種の基準となる年間減少率は3・5%。今回は調査地点が限られるため、直ちに指定されることはないが、出現頻度が低い種を除いた106種のうち、16種が基準を上回った。

 09〜20年の結果を解析したところ、スズメを含めて里山や農地に生息する鳥類の多くが減少していた。農地の鳥は15年以降に減少速度が高まっており、急激な気温上昇との関連が考えられるという。

 山陰両県でもスズメは減少傾向にある。三瓶山北の原のデータで繁殖期(4月下旬〜6月初旬)の調査1回当たりの確認個体数は、09〜15年平均の1・08羽が、16〜22年は0・16羽に低下。年によって確認数は変動するものの、15年以降は平均0・70羽以下の低水準で推移している。

■「見掛ける機会少なく」スズメ減少の要因は

 鳥取県南部町の自然観察指導員桐原真希さん(51)は「南部町内でスズメを見かける機会が少なくなった」と話す。同町は調査地点には含まれていないものの、環境省は全域を「生物多様性保全上重要な里地里山」に指定。移住定住サイトでも「豊かな里地里山」として町を紹介するなど町内外にアピールしている。

 桐原さんはスズメが減少した要因として、耕作放棄地の増加による餌の減少と家屋の構造の変化があると推測する。

 05年に3410ヘクタールだった鳥取県の耕作放棄地は、15年は3832ヘクタールで12%拡大した。南部町でも農業委員会に「農地を誰かに譲りたい」との相談が毎日のように寄せられており、農業の担い手不足は深刻だ。

 桐原さんは、スズメは水田や畑で昆虫や米などを食べて生活しており、耕作放棄地の増加で食物の減少につながった可能性を指摘。気密性が高く、巣を作りにくい高機能住宅の普及も影響しているとみる。

 桐原さんは「スズメは昆虫を捕食して農作物の虫害を抑えるなど生態系の維持には欠かせない。分布や個体数の変化を注視したい」と今後を危ぶんでいる。

 調査は生態系の変化を捉え、保全につなげる目的で環境省が05年から継続して実施する「モニタリングサイト1000」プロジェクトの一環。里地里山の調査は全国325カ所で行い、約5700人の市民調査員が手がけた。

(まいどなニュース/山陰中央新報)

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このニュースに関するつぶやき

  • 確かに、ムクドリやオナガ、カラスはいてもスズメは見なくなったな。最近はインコをよく見かけるよ(^^;)
    • イイネ!36
    • コメント 4件

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