なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法

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2025年04月15日 10:21  ITmedia Mobile

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NHK受信料を国民から徴収している日本放送協会(NHK)

 家にチューナー内蔵テレビがなくても、カーナビ付きの車を所有していると「NHKに受信料を支払わなければならない」――。目的地までの案内に役立つカーナビだが、そこになぜNHK受信料が絡んでくるのか、疑問に思う人はいるはずだ。そこで、この記事ではカーナビとNHK受信料の関係性を整理し、どのような場合にNHK受信料の徴収対象になるのかを解説する。


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●NHK受信料はなぜ支払わなければならない?


 そもそも、NHK受信料はなぜ支払わなければならないのか? まずはこの点から見ていこう。日本の放送局は、日本放送協会(NHK)と民放の大きく2種類に分かれる。民放の主な財源は広告収入であるのに対し、NHKは運営資金を視聴者からの受信料で賄っている。そのため、民放と違ってNHKの番組には、自社番組の宣伝映像などを除いて広告が流れない。


 NHK受信料が必要となる理由は、上記の事情だけでなく、放送法第64条第1項で「NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」と定めているためだ。つまり、NHKの放送を受信できる設備がある限り、その設備を通じてNHKの放送を視聴する可能性があり、NHK番組の視聴の有無に関係なく、NHK受信料を支払う責任が生じる、という考え方なのだ。


●カーナビとNHK受信料の関係性は?


 では、なぜカーナビとNHK受信料が関係してくるのだろうか。それは、カーナビが「NHKの放送を受信することのできる受信設備」に該当するためだ。カーナビには、地図の表示やナビゲーションの機能の他に、テレビ番組を視聴できる機能、いわゆるワンセグ/フルセグの機能が備わる製品が存在している。


 ワンセグとは、地上波テレビ放送のデジタル化に伴い、2006年に始まった携帯電話・カーナビ向けの放送サービス。1チャンネル6MHzの帯域幅を13個のセグメントに分割するデジタル放送に対し、そのうちの1セグメントを用いて放送するのがワンセグだ。カーナビや携帯電話の小型アンテナでも320×240ピクセル(QVGA)の低解像度を安定的に受信できるように設計されている。やがて視聴機器の進化に伴い、テレビ放送と同じ解像度で視聴できるようにしたのがフルセグだ。


 つまり、ワンセグ/フルセグ機能が備わるカーナビを所有している人が、仮にナビゲーションの機能しか使わない場合でも、所有している時点でNHK受信料を支払う責任が生じる、ということだ。ただし、既にNHKと受信契約をしている世帯であれば、その契約は世帯単位と見なされ、ワンセグ/フルセグ機能が備わるカーナビについて、NHKと個別に契約する必要はない。


 さらに、以下のような条件に該当する場合は、カーナビがあってもNHKとの契約義務は免除される。具体的には、B-CASカードが未挿入の場合、ワンセグ用アンテナが未接続の場合、地デジチューナーが非搭載の場合だ。つまり、カーナビが放送法第64条に基づく「NHK放送を受信することのできる受信設備」に該当しない状態であれば、NHKと受信契約を結ぶ必要はない。


 スマートフォンのアプリケーションを、より大きなディスプレイで操作したり、オーディオ再生やGoogleマップを表示したりできる「ディスプレイオーディオ」についても、ワンセグ/フルセグ機能(チューナー)がなければNHK受信料の支払い義務は生じない。


 逆に、NHK受信料の支払いになってしまう例として、外付け用のチューナーを別途設置した場合が挙げられる。言うまでもないことだが、購入時にチューナーレスのディスプレイオーディオ、カーナビであったとしても、テレビ番組の視聴を理由に後付けしたら、NHKの放送を受信できる状態になるため、その時点で契約義務が生じる。


●自家用車と事業用車では、NHKとの契約の必要性に違いアリ


 自家用車と事業用車では、NHKとの契約の必要性に違いがある。自家用車の場合、既に世帯でNHKとの受信契約を結んでいれば、例え車にテレビ番組視聴が可能なチューナー付きのカーナビが搭載されていても、追加契約の必要はないが、事業用車ではテレビ機能付きのカーナビを搭載していれば、その車両1台ごとにNHKとの個別契約が必要になる。


 2025年3月14日には、愛知県警が捜査用車両にカーナビ38台を設置していたものの、約644万円の受信料をNHKに対して支払っていなかったと明らかにした。この件だけでなく、島根県警や愛媛県警の車両などにおいても受信料未払いがあることも発覚したことから、支払い義務の有無について、十分に認知が広まっていない、と思われる。


 2023年4月以降は、不当な手段でNHK受信料の支払いを免れた場合や、正当な理由なく契約の申し込みをしなかった場合に、「未払い分のNHK受信料が2倍に割増される」可能性がある。繰り返しにはなるが、こうした事例を見ると、事業用車に関するNHK契約の扱いについて、事業用車を所有する組織が認識不足だといわざるを得ない。


 導入時からNHK受信料支払いの対象となる機器が事業用車に備え付けられており、改修コストが生じる懸念はあるものの、そもそも事業用車において「テレビ番組の視聴」行為が不要であれば、チューナー付きのカーナビを取り除き、スマートフォンとの連携など利便性の高いチューナーレスのディスプレイオーディオを搭載する選択も視野に入れるべきだろう。


●とにかく注視すべきはチューナーレスかどうか


 このように、カーナビやディスプレイオーディオを車載している場合でも、NHK受信料の支払い義務が生じるかどうかは、テレビ番組視聴機能の有無や車種によって異なる。繰り返しにはなるが、テレビ番組視聴機能を持つカーナビやディスプレイオーディオを選び、外付けのチューナーを取り付けなければ、NHK受信料を支払わずに済む。単純なことだが、NHK受信料を支払わずに済む方法を知りたい人や団体に、いち早くこうした点が伝わることを願う。



このニュースに関するつぶやき

  • そもそも、放送法が時代にそぐわない。国民から半強制的に徴収する方法も止めるべき。電波垂れ流しで、受信出来るようにしているのもおかしい。受信方法を変えればいいだけ。
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