
社会人になればお酒を飲む機会が増えますが、やはり飲み過ぎには気をつけたいですよね。漫画『白熱日本酒教室』(作画:アザミユウコ、原作:杉村啓)は、お酒との付き合い方や日本酒について描いた一冊です。毎年成人の日になると、原作者・杉村さん(SNSではむむという名前で活動)のX(旧Twitter)にお酒の飲み方に関する解説漫画が投稿され、2025年には約9000もの「いいね」が寄せられています。
【漫画】お酒で失敗しないために…「白熱日本酒教室」全編を読む
作中に登場するのは、お酒について教えてくれる「むむ」先生と助手。日本酒についてはもちろん、「悪い酔いしない方法」「自分が飲める酒量を計算する方法」といったお酒の飲み方についても詳しく解説してくれます。計算方法についてはクイズ形式で出題してくれるので、気軽に覚えられる工夫もポイントです。
また、基礎知識として臓器や肝臓の仕組み、悪酔いの正体に加え、飲酒にあたって睡眠と水の大切さも語るむむ先生。
悪酔いの予防方法が分かりやすく描かれているため、お酒を嗜む人からは「本当に勉強になった」「酒飲みは絶対読んだ方がいい」など好評の声が相次いでいます。そこで原作者である杉村さんに、同作について話を聞きました。
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―漫画『白熱日本酒教室』が誕生したきっかけを教えてください
少しややこしい話になるのですが、もともとは作画をやってくれたアザミユウコさんの本『酩酊女子〜日本酒酩酊ガールズ〜』(ワニブックス)という本があります。その中の合間のコラムとして、お酒の解説をした「むむ先生の超やさしい日本酒講義」があります。これがプロトタイプです(キャラクターはそのときに誕生していました)。
この本が出版された後に、(酩酊女子ではページ数の都合があり、たくさん載せられなかったので)一冊にしてしまおうと、アザミさんと一緒に『白熱日本酒教室』を作りました。これが同人誌版です。
この同人誌版の完成度が、自分で言うのも何ですが、とてもよかったので、編集さんに「新書にならないかな」と送ったところ、新書の企画がスタートして新書版『白熱日本酒教室』(星海社)ができあがりました。新書版もイラスト、漫画はアザミユウコさんです。
その後、もっと広く日本酒初心者向けにいけないかということで、漫画版『白熱日本酒教室』が誕生しました。僕は原作になり、作画がアザミユウコさんとなっています。これが投稿したものです。
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そして、2024年で新書版が誕生してから10年が経ち、日本酒をとりまく環境などが大きく変わったために、8割ぐらい書き直したり加筆をした新書『白熱日本酒教室 増補改訂版』(星海社)ができました。このように、さまざまなバージョンがあります。
―Xに投稿された漫画の中で、特に注目してほしい場面があれば、理由と一緒にぜひお聞かせください。
これはもう、「水」と「睡眠」です。余分な理屈は置いておいて、お酒を飲むときには一緒に水をたくさん飲むのがとても大切ということと、そもそも体調が悪かったらお酒を分解する力も弱まるので睡眠は大事、ということを最低限覚えていれば、悪酔いを起こす可能性はかなり低くなるからです。
―そもそもの質問で恐縮ですが、お酒を研究するようになったきっかけも教えてください。
昔は本当にお酒に弱かったんです。ただ『すず音』というお酒がきっかけで日本酒に興味を持って、あれこれ飲んでみたくなりました。そのとき、友達と一緒にお店で飲んだりしていたのですが、こちらが1杯しか飲めない間に、相手は2〜3杯飲める。だとすると、こちらは1杯の値段が2〜3倍してもいいよね。そしてそんな高いお酒を飲むんだったら&お酒の量が飲めないから、しっかり勉強して飲むようにしよう、というのがきっかけです(20年前後ぐらい前の話です)。
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―読者にメッセージをお願いします
体質的にアルコールが全くだめな人はお酒を飲んではいけません。というのは大前提といたしまして。悪酔いに関しては、飲む量を調節したり、水をたくさん飲んだり、睡眠不足のときには飲まないを徹底することで、かなり減らすことができるのも事実です。こういったことを頭の片隅に入れて飲むときに少しだけ意識していただくことで、結果的に読者の皆様のお酒ライフを楽しくすることにつながれば、こんなにうれしいことはありません。今後ともよろしくお願いいたします。
(海川 まこと/漫画収集家)