22日、国会内で年金制度改革関連法案の修正協議に臨む各党実務者ら 自民、公明、立憲民主3党の実務者による年金制度改革関連法案の修正協議が22日、始まった。政府が見送った基礎年金底上げ策が復活して、法案に盛り込まれるかが焦点だ。参院選を控え、協議できる残り時間が少ない中、各党は急ピッチで調整を進める。底上げ財源の確保策など負担面を含めて折り合えるかもポイントとなる。
全国民が受け取る基礎年金の底上げ策は、将来世代が少子高齢化の影響で低年金に陥るのを防ぐ狙い。政府は改革の目玉と位置付けていた。しかし、厚生年金の積立金などを活用する複雑な仕組みのため、参院選への影響を懸念した自民内の異論を受けて法案から削除された経緯がある。
立民は底上げ策が抜けた法案を「あんこのないあんパンだ」と批判する。そこで、底上げ策の将来的な実施などを明記した修正案の骨子を自公に提示。年金制度に詳しい実務者同士による22日の協議では「大きな対立点はなかった」(立民の長妻昭代表代行)という。自民の田村憲久元厚生労働相も「もともと、政府が出そうとしていたものに近い」と述べた。
3党は26日に再協議する。底上げ策は自民内で激論の末に法案からの削除でまとまっただけに、田村氏は「月曜日(26日)に最終的な返答ができるかどうか分からない」と言葉を濁した。
底上げ策は財源確保のために、高齢世代の厚生年金が一時的に減り、将来は年1兆〜2兆円程度の国庫負担も必要となることが課題だ。ただ、立民案は増税を想起させるためか財源確保策について触れていない。
立民幹部は「10年以上先に必要となる財源を今すぐ決める必要はない」と説明する。政府内では「消費税減税を掲げる立民の参院選公約との矛盾を指摘されるのを避けたいのでは」との見方が出ている。
衆院は与党が過半数を割り込んでおり、野党との協議が不調に終われば、年金改革全体が頓挫しかねない。先の立民幹部は「今国会での成立を考えると、協議のリミットは28日夕方だ」と話している。