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女性ホルモンの分泌量が減少する更年期の対策として、イソフラボンをサプリなどで積極的に摂取している女性は多いだろう。しかし、国立がん研究センターから、イソフラボンの過剰摂取ががんのリスクを高めるという驚きの調査結果が発表されている。
「肝臓がんは男性よりも女性に少ないことから、女性ホルモンのエストロゲンが予防的に作用する可能性が考えられています。そのため、この研究は、エストロゲン構造に似た成分であるイソフラボンを多く取れば、肝臓がんリスクが下がることを期待したのです。しかし、結果は逆で、イソフラボンを多く取っている女性ほど、肝臓がんのリスクが高いという結果が得られました」
こう話すのは、国立がん研究センター・がん対策研究所コホート研究部長の澤田典絵さんだ。
研究結果では、イソフラボンの摂取量が最も多いグループの女性は、少ないグループに比べて肝臓がんのリスクが約3〜4倍に上がった。本来、エストロゲンは肝臓がんの予防に作用するホルモンと考えられるが、同様の作用があるイソフラボンを過剰に摂取することで、かえってがんに予防的な作用を弱めてしまう可能性があるのだという。
よかれと思って取っていたイソフラボンが、まさか肝臓がんのリスクになるとは衝撃だ。
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■大切なのは摂取量 一日約70mg以下が目安
「この研究結果はイソフラボンが健康全体によくないということを示しているわけではありません。過剰に摂取する必要はないと捉えていただくのがよいと思います。
イソフラボン(大豆製品)の摂取によって乳がん・心筋梗塞・認知症のリスクが下がるという報告もあるので、適切に取ることが大切です」(澤田さん、以下同)
実際に厚生労働省も、健康的な生活のために大豆製品をほかの商品とともにバランスよく食べることを推奨している。過剰にならない摂取量とはどのくらいだろう?
内閣府・食品安全委員会によると、成人女性の一日あたりのイソフラボン摂取量の目安は40〜45mgだ。多めに取る場合でも、1日70〜75 mgに抑えることを推奨している。
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日本人が昔から食べてきた程度の大豆製品の摂取であれば、概ね安全であると考えられることから、多くの人が取っている量が目安量となっている。
納豆1パックのイソフラボンの含有量はおよそ33mg。豆腐一丁で71.05mg。日常的に大豆製品を食べている人が、更年期だからといって、意識的に大豆製品を多めに食べたり、サプリを摂取しすぎると、あっという間に目安量を超えてしまう可能性がある。
「イソフラボンを過剰に摂取したからといって、すぐに肝臓がんのリスクが上がるわけではありません。ただし、健康寿命を延ばすためには、特定の食品だけを極端に取りすぎず、バランスのよい食事を心がけることが大切です」
女性特有の悩みに効果が期待されるイソフラボン。1日の目安量を意識し、取りすぎにはご注意を。
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