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福岡県大牟田市で2004年に起きた母子ら4人殺害事件で死刑が確定した井上(旧姓・北村)孝紘死刑囚(41)が、養子縁組をした3人との手紙のやりとりを制限されたのは不当として、親族の地位確認と国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は19日、親族と認めた1審判決を取り消し、死刑囚側の全面敗訴を言い渡した。高瀬順久裁判長は「形式的にされた養子縁組で、3人は親族に当たらない」と判断した。
確定死刑囚の親族との手紙のやりとりは刑事収容施設法で認められているが、実態がないのに養子縁組をした場合は認めないとの通達がある。
判決によると、井上死刑囚は殺人事件の公判中に養子縁組を結んだ3人宛てに18年6月、手紙を送ろうとしたが、拘置所が不許可とした。24年7月の1審・福岡地裁判決は、井上死刑囚が死刑確定前に3人と交流を深めていたことなどから親族と認めていた。
一方、高裁判決は3人について「師弟や友人関係」であり、親子の精神的安寧や財産承継の義務負担が生じる養親子関係とは「次元を異にする」と指摘。外部との交流を確保するために形式的にされた養子縁組だとし、手紙のやりとりが許された地位とは認められないと判断した。【森永亨】
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