インタビューに答える朴※(※吉の横並び)熙・駐日韓国大使=17日、東京都港区 日韓両国が国交を正常化する基本条約に調印して22日で60年。朴※(※吉を2つ横並び)熙駐日韓国大使が時事通信のインタビューに応じ、現在の日韓関係について「過去最高の関係だ」と評した。「反日」路線への回帰が懸念される李在明大統領については「過度に心配する必要はない」との認識を示した。主なやりとりは次の通り。
―現在の日韓関係の評価は。
日本と韓国は過去最高の関係にあると言っても過言ではない。1965年の国交正常化を出発点に、98年の韓日共同宣言で国民交流が活性化した。尹錫悦前政権下では、安全保障や経済だけでなく、文化や科学技術を含む多方面で協力が進み、韓日関係が一層立体化した。紆余(うよ)曲折を経ながらも、長年の努力が実を結び、関係は今も発展し続けている。
―歴史問題を解決するためのアプローチは。
歴史的事実に正面から向き合う勇気を持ち、未来へのビジョンを共有することが重要だ。韓日に共通する課題や目標を見いだすことで、歴史問題への固執を超える知恵が生まれると考える。
―日本に求めることは。
これまでの韓日関係は、韓国が日本に要求を出し、日本がそれに応えるという形が多かった。日本には受け身ではなく、積極的に関係改善のための策を打ち出してほしい。また、両国間の問題を韓国の責任として投げ出すのではなく、共に関係改善に向けた取り組みを進めるべきだ。
―李政権で関係が悪化する可能性は。
懸念を耳にすることはあるが、過度に心配する必要はない。現在の国際情勢は、韓日の関係悪化を許さないほどに厳しい。ロシアとの連携を深める北朝鮮、周辺地域で圧力を強める中国だけではなく、現在の米国との関係も考慮すれば、韓日が対立している余裕はない。また、昨年だけで1200万人が韓日間を往来しており、このような人の流れがある中で対立をあおることは、誰の利益にもならない。
―政権浮揚に反日を利用する歴史が繰り返されてきた。
李政権はかなり強い政権だ。5年間の大統領任期が保証されており、国会でも300議席中167議席の絶対安定多数を有する。現状では急激な支持率低下の可能性は低い。また、両国を取り巻く環境や文化交流を踏まえれば、日本との問題をわざわざ政治的に取り上げないと考えられる。
―北朝鮮問題にどのように取り組むべきか。
北朝鮮の完全な非核化という目標を放棄すべきではない。紛争ではなく平和的解決を目指し、友好国を巻き込みながら取り組むべきだ。日本国内では北朝鮮の脅威がやや過小評価され、台湾有事の話が大きく取り上げられている傾向がある。北朝鮮問題は地域全体に重大な影響を与えており、直視すべきだ。