入社1か月も経っていないのに…3日に1回しか出勤しない40代新人。SNSに投稿された「不審な一文」に経営者が下した決断

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2025年06月24日 09:20  日刊SPA!

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「問題社員は本人が犯罪でも起こさないと解雇できない。昔はパワハラも必要悪だったのでは」と山本さん
 いまや退職はビジネスと化している。制度を悪用して1円でも多くぶんどって辞めようとする退職者を助長する退職コンサル業者。そこに対抗して予防線を張る経営者——。退職をめぐる“仁義なき争い”の実態を追った!
◆傷病手当“常習犯”と持久戦を展開

 “労働者の権利”を盾にやりたい放題の輩たちに狙われれば、経営者側も無傷ではいられない。

 東北地方で訪問介護事業所を複数経営している山本昭明さん(仮名・42歳)は、昨年12月に40代の社員Aを採用。

「人手不足で一刻も早く人員を補充したかったので、焦っていたのが悪かった」と言う。

 だがAは1か月もたたないうちに「めまいがする」などと体調不良を訴え始め、3日に1回しか出勤しなくなった。

「人づてで経歴を洗い直すと、高校卒業後から2〜3年ごとに退職を繰り返し、その都度傷病手当を受給していました。精神疾患があることを採用時には聞いていなかったのですが、それでも法的には問題ない。ただ、現場は大混乱ですよ」と山本さんは憤る。

◆「100万円の手切れ金」…最終手段に出る

 社労士曰く指導と業務評価を繰り返すしか策がないため粛々と対応したが、そもそも出勤しないので仕事を覚えられない。

 結果、他の社員に負担がかかり職場の空気も悪化。また、AがSNSに投稿した〈異次元の自分が体調不良を起こしている〉という謎の内容を見て、山本さんは疑念を深めた。

「病気を装い休職して傷病手当をゲットし、退職して失業保険の受給も狙っているのは明らかだなと……」

 そして5月には1週間もの無断欠勤をしながら悪びれた様子も見せなかったため、山本さんは弁護士を交えての対応に踏み切った。

 事前予告なしで解雇する場合に支払う「解雇予告手当」、Aへの訴訟費用を含めて、100万円程度かかると見積もるが、「その額で次の戦力を雇えるなら、むしろ安い」と話す。

◆モンスター退職者を倒す“裏技”は「場外戦」誘導

 いわゆる“職場のモンスター”を表立って排除すると、逆に会社が窮地に立たされてしまう。

 そこで、「多少強引な粛清方法に頼る企業も少なくない」と話すのは人事労務コンサルタントC氏だ。まずは金銭による強引な幕引きパターン。

「相手の感情的な反発が強かったり、時間をかける余裕がない場合には、金銭的和解での解決を選ぶ企業も多いですね。200万〜300万円を分割払いにし『手切れ金』として決着をつける形です」

◆グレーな相手にはグレーな対応も選択のひとつか

 もう一つの手段は、一見すると常道を外れた「肉を斬らせて骨を断つ」対応策だ。

「まずは注意、指導、配置転換などあらゆる方策を尽くす。それでも改善が見込めなければ、意図的に“引き金”を引いて退職を促す。不当解雇とされる可能性をあえて受け入れる構えで、労働審判に持ち込ませるのです」

 この“仕掛け”の狙いは、審判の場で主導権を握ることにある。裁判所での協議の段階で、対象者がすでに転職先を決めているようであれば、「本人も反省しているようなので、再雇用も検討しています」といった申し出を行う。

「当然ながら、相手は『戻りたくない』と言いますよね。そうなれば、形式上は会社側が再雇用の意思を示しているので、不当解雇にはなりません。戻ってくる選択をするなら、そのまま僻地に飛ばすか、窓際社員にしてしまえば自らフェードアウトしていきます」

 こうした手法は、倫理やコンプライアンスの観点で堂々と打ち出せるものではないが、「社長の一存で動ける中小企業ならば、グレーな選択肢として考慮されることもあります」という。

方策A

❶手を尽くした上で、あえて不当解雇
❷相手からの労働審判を誘発
❸「再雇用」をチラつかせ状況別判断

方策B

民事解決、和解金(分割払い)によるソフトランディング

取材・文/週刊SPA!編集部

―[泥沼[退職バトル]の舞台裏]―

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